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- / ISBN・EAN: 4982509310872
感想・レビュー・書評
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鳴海章の同名小説を映画化した、相米慎二の遺作(2000年。公開は2001年)。
酩酊状態でコンビニの商品を万引き(ただし、本人は犯意なし)したことから職を追われた文部省のエリート官僚(浅野忠信)と、人生に疲れた場末のピンサロ嬢(小泉今日子)が出会い、女の実家がある北海道へと旅するロードムービー。
トウの立った風俗嬢を演じる、小泉今日子のうらぶれた雰囲気が素晴らしい。映画の中でタバコ吸いっぱなしなのだが、その吸い方にえもいわれぬ風情がある。小娘にはけっして出せない「疲れた色気」全開。「こんなにいい女優だったっけ」と目を瞠った。アイドル時代より、酸いも甘いもかみ分けた三十路以降の彼女のほうが、私は好きだ。
北海道ならもっと「絵になる」ロケ地がいくらでもあるだろうに、相米慎二はむしろ「絵になる」場所を避けて撮っているように思える。そもそも、2人が乗る悪趣味極まるピンク色の車からして、「いちばん絵にならない車」をあえて選んだとしか思えない。
「絵にならない」カットの積み重ねは、クライマックスだけを浮き上がらせるための仕掛けなのだろう。
クライマックスとは、小泉今日子が雪景色の中で睡眠薬自殺しようとし、浅野がそれを助けるシークェンス。そこだけは、ここぞとばかりに「絵になる」カットが連打されるのだ。
そのシークェンスは、明らかに「死後の世界」を模して撮られている(だからこそ、浅野は川を越えて小泉を助けにくる)。何やら相米の早すぎる死を暗示してるようで、切ない。
そして、主人公2人が「もう一度生きよう」と再生に向かうラストのみ、明るい原色に満ちたシーンとなっている。
「生きることに疲れた男女が死の淵まで歩を進め、最後にそこから『再びの生』へと向かう」プロセスを描いたロードムービー。なんとも地味な映画だが、私は好きだ。 -
見どころ
日本映画界をリードしてきた相米監督の遺作。風俗嬢とエリート官僚を演じるのは、小泉今日子と浅野忠信。ふたりの自然な演技が生きることの賛歌となり、静かな感動を呼ぶ。
ストーリー
エリート官僚の澤城廉司は酒癖が悪く、飲むと必ず記憶を失くす。ある日、満開の桜の樹の下で目覚めると、隣には見知らぬ風俗嬢・ゆり子がいた。彼女の話によると、北海道への帰郷に付き合うと約束したらしい…。状況も分からないままふたりの旅が始まる。 -
死にたいふたりの話.
女の住むマンションの屋上から見える新宿のビル群も,
道のアップダウンのせいで目の前の風景ががデタラメな北海道のどこかの土地も,
たいして変わんないな,ってなんかそう思った.
淡々と進む感じとか終わり方とか嫌いじゃない. -
複雑な事情を抱えた風俗嬢を演じる小泉今日子の存在感が凄い。ふとした弾みに積み重ねた感情が零れるような演技は見事。べろんべろんに酔った浅野忠信の迷惑だけど憎めない感じも巧く、思わず笑ってしまう。両者の貫禄の演技を堪能しながら最後にはテーマも収束させていく構成も上手くできている。
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制作年:2000年
監 督:相米慎二
主 演:小泉今日子、浅野忠信、麻生久美子、鶴見辰吾
時 間:116分
音 声:日:ドルビーステレオ
東京でひとり暮らしをしているキャリア官僚の廉司は、酔っ払って起こした万引き事件が週刊誌ネタとなり謹慎中の身の上。
ゆり子は、死別した夫の残した借金返済の為に幼い娘を故郷の母親に預け、東京でひとり暮らしをしているピンサロ嬢。
そんなふたりが出会い、ゆり子の故郷である北海道へ行くことになった。
しかし、性格も生活も全く違うふたりの旅はぎくしゃくしっぱなし。
その上、ゆり子は親の反対で娘に会うことが叶わず、廉司も上司から一方的に解雇を言い渡されてしまう。
行き場を失くしたふたりは、まだ雪の残る山へ車を走らせ、一軒の山荘に宿泊することに。
ところが夜も明け切らぬ早朝、ゆり子が姿を消してしまった。必死でゆり子を捜し出す廉司。
お陰で、睡眠薬を飲んで自殺を図った彼女は一命を取り留め、実家でやり直すことを決意する。
そして、実家へ戻ったゆり子は娘との再会を果たし、そんなふたりの姿を廉司は遠くから見守るのだった。 -
その時の気分によって、当然観たい映画は違う。
そして、映画の観方も違う。
色んな観方があると思うけど、僕はBGM的に映画を観たくなる時がある。
何も考えずに、ぼんやりと眺めていたい気分の時がある。
それにはもってこいの映画だと思う。
むしろ寝るときに流しっぱなしにしててもいい。
雰囲気だけで、なんとなく癒される。
僕はこの映画を何かしらやりながら、BGM的に観ていたので詳しい内容はあんまり頭には入ってはいないけれど、小泉今日子がいいなと思った。
そして前向きに生きていこうと思った。 -
好きな映画の一つ。
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「帰る場所のない女と男」
東京でひとり暮らしをしているキャリア官僚の廉司は、酔っ払って起こした万引き事件が週刊誌ネタとなり謹慎中の身の上。
ゆり子は、死別した夫の残した借金返済の為に幼い娘を故郷の母親に預け、東京でひとり暮らしをしているピンサロ嬢。
そんなふたりが出会い、ゆり子の故郷である北海道へ行くことになった。しかし、性格も生活も全く違うふたりの旅はぎくしゃくしっぱなし。その上、ゆり子は親の反対で娘に会うことが叶わず、廉司も上司から一方的に解雇を言い渡されてしまう。
行き場を失くしたふたりは、まだ雪の残る山へ車を走らせ、一軒の山荘に宿泊することに。ところが夜も明け切らぬ早朝、ゆり子が姿を消してしまった。必死でゆり子を捜し出す廉司。お陰で、睡眠薬を飲んで自殺を図った彼女は一命を取り留め、実家でやり直すことを決意する。
そして、実家へ戻ったゆり子は娘との再会を果たし、そんなふたりの姿を廉司は遠くから見守るのだった。