風花 kaza-hana [DVD]

監督 : 相米慎二 
出演 : 小泉今日子  浅野忠信  麻生久美子  鶴見辰吾  柄本明  椎名桔平 
  • タキ・コーポレーション
3.16
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本棚登録 : 210
感想 : 37
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4982509310872

感想・レビュー・書評

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  • 原作者は鳴海章。1958生まれ。原作出版時1999には41歳。
    初めて知ったが、航空サスペンスを主戦場とするエンタメ作家が書いた、人間ドラマ。
    映画化が2001。
    相米慎二は1948生なので、原作刊行当時51歳で、映画化した53歳で没。
    浅野忠信は1973生。出演当時は28歳。
    小泉今日子は1966生。35歳。
    麻生久美子は1978生。23歳。
    私は1983生なので、映画公開当時は18歳。
    初めて見たのは200207、おそらくWOWOWで。
    ちなみにその前後に見ていたのは、断然邦画が多い。
    洋画で映画を好きになり、今もつい洋画を邦画の上に置いてしまう者だが、当時は邦画の季節だったのだ。
    その2007年に鑑賞した100本前後から印象深いのをピックアップしてみると、
    春琴抄 火まつり 海と毒薬 ゴンドラ 金髪の草原 海潮音 金閣寺 幻の光 潮騒 ロビンソンの庭 恋物語 狗神 回路 降霊 カリスマ CURE DOORⅢ 廃市 復讐運命の訪問者 鉄男 スウィートホーム ユリイカ 青春の蹉跌 沙耶のいる透視図 BU・SU ニンゲン合格 呪怨 Kids Return 風花 ひまわり Helpless たどんとちくわ 完全なる飼育愛の40日 カンゾー先生 お引越し 台風クラブ リリイ・シュシュのすべて 歯科医 渚のシンドバッド オーディション 1999年の夏休み 愛の新世界 非・バランス 愛のコリーダ 二十歳の微熱 バタアシ金魚 櫻の園 二十世紀少年読本 この子の七つのお祝いに LoveLetter けものがれ、俺らの猿と 赤い橋の下のぬるい水 トイレの花子さん 華岡青洲の妻 女優霊 蛇女 死者の学園祭 さびしんぼう コールド・フィーバー
    もっと厳選すべきだろうが、どれも捨てがたい。
    決してたくさん見た自慢というのではなく、鬱屈した10代後半が、たまたまVHSビデオ資料の充実した図書館と、レンタルビデオ店数店を経巡れる圏内に住んだら、こんな作品を借りて見て内面化していた、という備忘録。
    あと連想したのは、ヴァイブレータ 豚の報い ユリイカ あたり。
    おお、90年代の名残り……。
    今40歳なので、20年前を振り返って、時間の伸び縮みにいろいろ思う、という趣旨の、以下駄文。

    ・男は携帯。女はテレホンカードで公衆電話や家電話。もちろんスマホなし。
    ・北海道を運転し始めてからは、カーナビ標準搭載なし。荒涼としたロードサイド。荒涼とか風光明媚とかではなく、単に発展していないだけ。
    ・結構頻繁に過去回想が挟まる。しかも忘れていたことをそのタイミングで思い出して行動に移るという、なかなか安易な筋立て。初期相米の強烈な演出はなく、むしろよくある映画的文法(いわゆるウェルメイド)に回帰しようとしていたのだろうか、が、円熟という感じではなく、たどたどしく都合のいい回想の活用だと思った。相米じゃなくてもいいじゃん、というのが忌憚ない感想。
    ・その回想に麻生久美子が! 記憶の蓋が開いたが、麻生久美子を好きだった大学生だった。「ニンゲン合格」(1999)、「カンゾー先生」(1998)、「ひまわり」(2000)、本作、「回路」(2001)、「贅沢な骨」(2001)あたり。なんと、晩年の相米と、盤石な黒沢清が、同じ女優を起用していたのだな。いや、清は浅野も小泉も出しているぞ。キャスト周りで関連を見ることもできそう。いずれ。
    ・人物配置は20年前には気づかなかったが、ただの男女でなく、母を亡くした男と、子を育てられない母親、なんだな。心中モノというジャンルがあることすら知らなかったな。
    ・当時なんてオトナな映画だだろうと感じていたが、いやーそうでも。むしろ悲しみを酔いで誤魔化しヘラヘラするのはまだ若い。自分がその段階を経ているからわかる。というか、そんな側になるとは当時思っていなかったのに。オトナな男女に憧れていたのかもしれないが、当時の想定外、というか憧れから逸脱した地味な生活に落ち着いている。
    ・また当時は、映画で知らない日本を見て予習していた段階だった。上に挙げた作品でも、北海道、紀州、沖縄とか。あと本作で佐賀の唐津への言及があって、仕事で通ったあとの今聞くと別の意味が立ち上がる。
    ・映画は、鑑賞時の気持ちや経験に沿っているものと、未来に憧れを託すものと、過去の実感を再獲得するものと、単に映像を追体験するものと、いろいろあるんだなあ。
    ・と、つい自分語りになってしまうくらいには愉しめたわけだが、堂々たる(結果的)遺作とはいいがたく、方向展開の最中の小品という印象。同じ北海道の運転ということで安易に連想した「ドライブ・マイ・カー」のどっしりした構えとは、そもそもベクトルが違う。
    ・細かい点は心に残った。腕飾りの音が印象に残っていたと思ったら、女のセックスを想像するとき男にバングルの音が聞こえる気がする、とか(勃起しないことの不甲斐なさとか当時知らなかった)、線香花火と渓流、つまり火と水が並置されるのだが、なんと雪解け水なんだな、とか、旅館でシロートが演じる「座頭市」における「暖かいところへ早くお帰りよ」というセリフの優しさ、とか、旅館の部屋の壁に架けられた小さな鏡、とか、桜の落下、雪の落下、とか。

  •  鳴海章の同名小説を映画化した、相米慎二の遺作(2000年。公開は2001年)。
     
     酩酊状態でコンビニの商品を万引き(ただし、本人は犯意なし)したことから職を追われた文部省のエリート官僚(浅野忠信)と、人生に疲れた場末のピンサロ嬢(小泉今日子)が出会い、女の実家がある北海道へと旅するロードムービー。

     トウの立った風俗嬢を演じる、小泉今日子のうらぶれた雰囲気が素晴らしい。映画の中でタバコ吸いっぱなしなのだが、その吸い方にえもいわれぬ風情がある。小娘にはけっして出せない「疲れた色気」全開。「こんなにいい女優だったっけ」と目を瞠った。アイドル時代より、酸いも甘いもかみ分けた三十路以降の彼女のほうが、私は好きだ。

     北海道ならもっと「絵になる」ロケ地がいくらでもあるだろうに、相米慎二はむしろ「絵になる」場所を避けて撮っているように思える。そもそも、2人が乗る悪趣味極まるピンク色の車からして、「いちばん絵にならない車」をあえて選んだとしか思えない。

     「絵にならない」カットの積み重ねは、クライマックスだけを浮き上がらせるための仕掛けなのだろう。
     クライマックスとは、小泉今日子が雪景色の中で睡眠薬自殺しようとし、浅野がそれを助けるシークェンス。そこだけは、ここぞとばかりに「絵になる」カットが連打されるのだ。

     そのシークェンスは、明らかに「死後の世界」を模して撮られている(だからこそ、浅野は川を越えて小泉を助けにくる)。何やら相米の早すぎる死を暗示してるようで、切ない。

     そして、主人公2人が「もう一度生きよう」と再生に向かうラストのみ、明るい原色に満ちたシーンとなっている。
     「生きることに疲れた男女が死の淵まで歩を進め、最後にそこから『再びの生』へと向かう」プロセスを描いたロードムービー。なんとも地味な映画だが、私は好きだ。

  • 見どころ
    日本映画界をリードしてきた相米監督の遺作。風俗嬢とエリート官僚を演じるのは、小泉今日子と浅野忠信。ふたりの自然な演技が生きることの賛歌となり、静かな感動を呼ぶ。
    ストーリー
    エリート官僚の澤城廉司は酒癖が悪く、飲むと必ず記憶を失くす。ある日、満開の桜の樹の下で目覚めると、隣には見知らぬ風俗嬢・ゆり子がいた。彼女の話によると、北海道への帰郷に付き合うと約束したらしい…。状況も分からないままふたりの旅が始まる。

  • 死にたいふたりの話.
    女の住むマンションの屋上から見える新宿のビル群も,
    道のアップダウンのせいで目の前の風景ががデタラメな北海道のどこかの土地も,
    たいして変わんないな,ってなんかそう思った.

    淡々と進む感じとか終わり方とか嫌いじゃない.

  • 小泉今日子なのでで観たが 退屈。役柄が小泉今日子に合わない。

  • 複雑な事情を抱えた風俗嬢を演じる小泉今日子の存在感が凄い。ふとした弾みに積み重ねた感情が零れるような演技は見事。べろんべろんに酔った浅野忠信の迷惑だけど憎めない感じも巧く、思わず笑ってしまう。両者の貫禄の演技を堪能しながら最後にはテーマも収束させていく構成も上手くできている。

  • 制作年:2000年
    監 督:相米慎二
    主 演:小泉今日子、浅野忠信、麻生久美子、鶴見辰吾
    時 間:116分
    音 声:日:ドルビーステレオ


    東京でひとり暮らしをしているキャリア官僚の廉司は、酔っ払って起こした万引き事件が週刊誌ネタとなり謹慎中の身の上。
    ゆり子は、死別した夫の残した借金返済の為に幼い娘を故郷の母親に預け、東京でひとり暮らしをしているピンサロ嬢。
    そんなふたりが出会い、ゆり子の故郷である北海道へ行くことになった。
    しかし、性格も生活も全く違うふたりの旅はぎくしゃくしっぱなし。
    その上、ゆり子は親の反対で娘に会うことが叶わず、廉司も上司から一方的に解雇を言い渡されてしまう。
    行き場を失くしたふたりは、まだ雪の残る山へ車を走らせ、一軒の山荘に宿泊することに。
    ところが夜も明け切らぬ早朝、ゆり子が姿を消してしまった。必死でゆり子を捜し出す廉司。
    お陰で、睡眠薬を飲んで自殺を図った彼女は一命を取り留め、実家でやり直すことを決意する。
    そして、実家へ戻ったゆり子は娘との再会を果たし、そんなふたりの姿を廉司は遠くから見守るのだった。

  • その時の気分によって、当然観たい映画は違う。
    そして、映画の観方も違う。
    色んな観方があると思うけど、僕はBGM的に映画を観たくなる時がある。
    何も考えずに、ぼんやりと眺めていたい気分の時がある。
    それにはもってこいの映画だと思う。
    むしろ寝るときに流しっぱなしにしててもいい。
    雰囲気だけで、なんとなく癒される。
    僕はこの映画を何かしらやりながら、BGM的に観ていたので詳しい内容はあんまり頭には入ってはいないけれど、小泉今日子がいいなと思った。
    そして前向きに生きていこうと思った。

  • 好きな映画の一つ。

  • 「帰る場所のない女と男」


    東京でひとり暮らしをしているキャリア官僚の廉司は、酔っ払って起こした万引き事件が週刊誌ネタとなり謹慎中の身の上。
    ゆり子は、死別した夫の残した借金返済の為に幼い娘を故郷の母親に預け、東京でひとり暮らしをしているピンサロ嬢。
    そんなふたりが出会い、ゆり子の故郷である北海道へ行くことになった。しかし、性格も生活も全く違うふたりの旅はぎくしゃくしっぱなし。その上、ゆり子は親の反対で娘に会うことが叶わず、廉司も上司から一方的に解雇を言い渡されてしまう。
    行き場を失くしたふたりは、まだ雪の残る山へ車を走らせ、一軒の山荘に宿泊することに。ところが夜も明け切らぬ早朝、ゆり子が姿を消してしまった。必死でゆり子を捜し出す廉司。お陰で、睡眠薬を飲んで自殺を図った彼女は一命を取り留め、実家でやり直すことを決意する。
    そして、実家へ戻ったゆり子は娘との再会を果たし、そんなふたりの姿を廉司は遠くから見守るのだった。

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