本作は、本土復帰間もない頃の沖縄を舞台に、沖縄の利権を狙う本土ヤクザとそれに対抗しようとする地元の沖縄ヤクザとの抗争を描いている。
戦災孤児から共にのし上がった3人のヤクザ(松方弘樹、佐藤允&千葉真一の兄弟)。
かつては一緒に暴れまくった彼らも、それぞれの組織で重責を担うようになり、やがて子分たちの小競り合いから互いの組織の生き残りと面子を賭けた全面戦争へと突入していく。
クールな松方弘樹、堅実な佐藤允、バイタリティ溢れるの千葉真一と三者三様の個性が際立つ。
親分を殺されたことで佐藤&千葉の組と対立せざるをえなくなった松方は、進出してくる関西錦連合から沖縄を守るため、自分の情婦の弟の命を差し出してまで沖縄ヤクザたちの一致団結を求める。
暴れまわる役の印象のある松方だが、人の上に立って口数少なく常に遠い目をしているのもかっこいい。
佐藤允が途中で一時的にムショに入ってしまうので基本線は松方と千葉の対決になるが、それぞれに互いを親友と思い、信頼しあっている者同士が敵対し合うというのは、やっぱり燃える展開だ。
同じようなタイトルの『 沖縄やくざ戦争 』での千葉は、「戦争だーいすき♡」の名台詞からもわかるように一般的な感覚など持ち合わせていない完全にイッちゃってる暴れん坊で、松方がクールなら千葉もそれぐらいやってしまった方がいいのにとも思ったのだが、そこまでやってしまうとリアリティと、そこから醸し出される悲哀(これが本作の肝)が出なくなってしまうのでこの塩梅で正解。
脇を固める役者陣も素晴らしく、明るいお調子者でありながら悲しく散っていく山田隆夫や、ボクサー崩れで人生を捨てているにもかかわらず最後まで生き残ってしまう錦野旦など、配役にも意外性があって面白い。
関西ヤクザを演じる小池朝雄は相変わらず仁義を屁とも思わない “ 喰えないヤクザ ” を演じたら堂に入っているし、逆に藤田まことは小池の部下でありながら佐藤允との仁義を重んじようとする昔気質の一面を持ったヤクザを好演している。
展開も素晴らしく、松方や千葉といったお気に入りのスターが出ていることもあって、個人的に大好きな一本である。