海がきこえる [DVD]

監督 : 望月智充 
出演 : 坂本洋子  飛田展男  関俊彦 
  • ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント (2012年5月26日発売)
3.42
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4959241980267

感想・レビュー・書評

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  • 実はジブリで一番好き。

  • 1992年に大学1年の若者の高校時代を描きます。
    主な舞台は高知の高校ですが、
    冒頭と結末に主人公の下宿先の最寄り駅、
    吉祥寺が描かれます。

    私事ですが主人公と同じ歳、吉祥寺は地元です。
    本作品の背景は写真を元に作画したようで、
    映った瞬間に、あ!中央線下り!と判ります。
    今はなきロンロンや昔の中央線、東西線...
    柱の駅名看板のデルモンテの広告、ベッカーズ!
    TAKA-Q!ここで初めてスーツ買ったんだった。
    30年前の吉祥寺駅を懐かしく思い出しました。
    映画館の「紅の豚」の看板の隣にある、
    ゴルフしてる禿げちょびんのおじさんの広告、
    よくぞ再現してくれました!
    すっかり忘れてましたが思い出しました。

    白いTシャツにGパン、ノースリーブのワンピース
    主人公たちのファッション、髪型、水着、
    ビールじゃなくコークハイ。
    (大学行ったらレッドアイね)

    高知出の同じ歳の大学の友人も思い出しました。
    彼はこんな街で暮らしてたのか、
    そして今高知で暮らしておっさんになってるんだなあと思いました。

    私なりに、大いに楽しめた作品でした。

    作品のストーリーについて。
    東京の大学に進学した杜崎拓の回想で始まります。
    高知の進学校の高校生達の日常が描かれます。
    東京からの美人の転校生、ハワイの修学旅行、
    2人きりの東京お泊まり、文化祭。
    何かが起こりそうな期待と予感はありますが
    結局何も起きず時間が過ぎていきます。
    それでも皆、恋に悩み、友人とつるみ、喧嘩し
    それぞれ進学していきます。
    そして吉祥寺で偶然彼女と再開したところで
    この物語は終わります。
    ここから物語が始まるのかな?

    美人の転校生 里伽子は親の離婚を受け入れ難く、
    高知の生活にも馴染もうとしませんでしたが、
    気取らない拓にはズケズケ言いました。
    拓は振り回されっぱなしでしたが、
    徐々に里伽子に惹かれていきました。
    多分、寂しいし苛立っていた里伽子は
    気取らず話を聞いてくれる拓に救いを見出だし
    甘えていたんでしょうね。
    里伽子は唯一できた友人 小浜 裕実に対しても
    彼女の優しさに癒されてたのかも知れません。

    色々妄想したり期待するんだけど、
    特に行動するでなく、何かが起こるでなく、
    物語の主人公にはならない、っていうところに
    とても共感を寄せ、美化した青春時代を思い出し
    ちょっぴり甘酸っぱくなれる作品でした。

  • 中高の同級生の芳本が僕に勧めてくれたのが、本作の原作。
    当時大江や中上やに熱中していた私が青春小説を読むはずもなく忌避し軽蔑しまっていた。悔いる。
    んで約20年を経て本作を鑑賞したら、うーん武藤里伽子に半分恋をしてしまった!
    いや距離を保って批判していたつもりが取り込まれたというか。

    1989「魔女の宅急便」、1992「おもひでぽろぽろ」、1992「紅の豚」、1993テレビで「海がきこえる」、1994「平成狸合戦ぽんぽこ」、1995「耳をすませば」、1997「もののけ姫」。
    おい駿、本作に嫉妬した結果の「耳すま」じゃねーか!
    というかベテランと若手のバチバチというダイナミクス(いい意味で)で出来上がっているものも、ベテランが若手をねじ伏せるという作りも、フィルモグラフィー上では混在している。
    そんな中で、80年代前半はファンタジー、後半で日本回帰し、90年代前半は主に現代日本、後半で急に中世に振ったかと思いきや、ゼロ年代で日本回帰したと思いきや西洋ファンタジー、と、結構西洋ファンタジーと現代日本リアルをほぼ交互に描くのが、ジブリという会社。
    その中で、本作は無視できない。
    「耳がきこえる」と言い間違ってはいけないのだ。

    といって、本作をいかに整理するか……結構難しい。
    ・高知追手前中高をはじめ、しっかりロケハン→聖地巡礼の先駆け。
    ・「おもひでぽろぽろ」から繋がる、リアルさ。ここが一番の焦点だと思うが、高校2、3年生、大学1年生のリアル。(語り手杜崎と、結果的恋敵松野が、どうも「コクリコ坂から」の男子ふたりに絵的に似ているのは別にして、)結局は、武藤里伽子という少女から大人女性の端境期の「脈絡のなさ」「脈絡の見えなさ」がリアルさにつながるんだろう。
    ・武藤里伽子の「いけ好かなさ」はおそらくジブリ最上レベル。人を騙すし利用するし(じゃあお金をハンカチに包んで私に渡してくれない)、自分の見た目の良さを理解して、どう振る舞えばいいかも分かっている。都会と田舎のギャップに戸惑いつつ、自己防衛のために田舎を軽蔑することは忘れない。他者軽蔑という処世術に緊縛されている。
    ・高校生当時の上京冒険にも、友達とか男友達とかを利用して、感謝も何もない。かといって、すべて傲慢さやポーズかといえば、そこまでの内省もない。ただ中途半端で我が儘な少女なのだ。が、そこが今までのジブリに、いや駿にない視点だ。

    ・結構びっくりするのが、相手の頬をはたく、あるいは殴る場面の、多さ。男が女を叩くという驚愕が始まり。
    ・ラウンド1.「おまえ松野に高知弁ゾッとする言うたんか」と言われて「ずいぶん友達思いじゃない!?」武藤、叩、杜崎。カウンターとして「迷惑したのはこっちぞ!」杜崎、叩、武藤。
    ・ラウンド2、女子連中に詰問されても折れなかったが、「すごいのう。吊るしあげられて負けんかったのう」「見てたの!?」武藤、叩、杜崎。追い打ちをかけて、「あいつ女子らに負けとらんかったよ」「止めんかったんか」松野、殴、杜崎。
    ・この中で武藤が、結構我を忘れて男を叩く。ここ駿にない新鮮さ。
    ・杜崎が、武藤が松野を振るときに「高知弁がゾッとする」と言われたのが衝撃だった……直後友人のために女をはたくが、実は数年後、自分が否定されたと思ってはたいてしまった、と。
    ・本作で性欲は結構抑制されているが、この「叩く」を再度吟味すれば、性欲の在り方が浮かび上がるかも。

    ・修学旅行と金の貸し借りが背骨になっているが、それらは決してすぐに解決されないままに、その他の肉=日常の場面がダラダラ続いてるのも、リアル。杜崎が垣間見た東京行きにおける、里伽子の反母親、親父親が、結局どうなったのかわからないし。そして東京で見栄を張る里伽子への落胆も、里伽子の自分への落胆も、過不足なく描いて、高校時代は作中ではいつの間にか終わって大学編へシームレスに。

    ・個人的には、里伽子がサプライズ訪問した父のマンションのピロティーに、銀色の円を斜めに連ねて回転させることでくるくる永遠に上昇しそうに見えるインテリアが、執拗に描かれる……アレ確かに親戚のおばちゃんの家にあった! いまは見ないなー、という、細部への共感と驚愕が、嬉しかった。

    ・さて大学生編へ……と、いかにも数年経て成長したかのように見えるが、待って待って、大学初めての夏休みだから、たかだか4か月なんだよ。
    ・それでいて、帰省した杜崎を、あれ以降喋ることのなかった松野が「サプライズ青葉マーク車お出迎え」するとか(防波堤で、おまえ 里伽子好きじゃったろうと言われて、慌てず繕わず、そうそうと淡々と受け入れる、この場面が、実は一番好き)、18.5歳がガンガン飲酒するとか、ジョッキがデカすぎてもはやピッチャーじゃない!? とか、数か月前の恋心を、いかにも昔のものとして告白したりとか、酔い潰れたデブ男(実は声優は緑川光!)を、介抱しに行ったかと思いきや「あいつは駄目じゃー」とさもトイレに置きっぱなしにしたような感じとか、以上すべて土佐人がすべて酒豪だからなのか、とか。
    ・大学生編が、松野の達観ぶりからいかにも数年後成長しましたと見えてしまうが、実は数ヶ月後に高校生に毛が生えたのが背伸びしているに過ぎない、その藻掻きの可愛らしさを、読み取れるのはオッサンオバサンだけだろう。
    ・果たして里伽子は同窓会に現れなかったが、現れなかった里伽子を思い出す6人程度が、散会しても別れられずに、集まる。高校生当時仲良かったわけではない彼らが、つい集まってしまった中心に、不在の里伽子がいて、さて杜崎が東京で里伽子に……という。この敏感さよ。結局大学は高校の延長なのだ。

    DVDには、テレビ放送10年後に、メインスタッフが再度高知を訪ね、自己聖地巡礼と、カツオなど刺身を囲んで酒宴座談会が、収録されている。
    同時に当時の資料が差し挟まれる。
    本作は劇場映画ではなく、テレビ放映用であること、「進め!青春少年」と新聞のラテ欄にあったり、しかも四時放映であったこと、など、放映環境の恵まれなさ。
    またメインスタッフの「冴えなさ」。みんなチェックの服で、メガネをかけて、喋るときには口元を隠したり、頬杖をついたり(里伽子の頬杖はあんなに魅力的なのに!)。
    この感じも面白かった。
    駿は、かくあるべし、本作は、かくあった、を描く。

    連想したのは、
    超薄味「ハルヒ」ヒロインの読めなさ。
    超薄味「ハイスコアガール」っぽく同室で一泊。
    超薄味漱石「こころ」っぽい男性ふたりのホモソーシャル。
    超薄味「響け!ユーフォニアム」の高坂麗奈のツンツンぶり。

  • とにかくリカコの性格がいじらしくてわたしは大好き。
    リカコ性格悪くてイヤ。そんな意見もあるでしょう。
    しかしそこがいいんです。
    気が強くて、負けず嫌いで、素直じゃなくて、プライド高くて、でも繊細で弱かったからこそそうならざるを得なかったのかな…彼女は。

    舞台が高知なのも好きな理由のひとつ。

  • 東京の大学に進学した杜崎拓は、吉祥寺駅の反対側ホームにある人影を見た。中央線下り列車に姿を消したその人影は確かに武藤里伽子に見えた。だが、里伽子は高知の大学へ行ったのではなかったのか。高知へと向かう飛行機の中で、拓の思いは自然と里伽子と出会ったあの2年前の夏の日へと戻っていた。里伽子は勉強もスポーツも万能の美人。その里伽子に、親友の松野が惹かれていることを知った拓の心境は複雑だった。拓にとって里伽子は親友の片思いの相手という、ただそれだけの存在だった。それだけで終わるはずだった。高校3年のハワイの修学旅行までは・・・。

  • ラピュタ騒動の結果奇しくも最初に観賞することになったのはもともとテレビ上映用に作成されたという本作。93年のことと結構昔のことながら自分の記憶には全くない。もう当時その頃にはあまりテレビを見なくなっていたということの象徴か。

    分類としては「耳をすませば」(1995) と同様少女漫画原作の学園モノということで率先して選択して鑑賞する分野ではない。が、シーンの中にはカセットテープなんかの昭和の小物があちこちに姿を表し、そうしたものが自分たちもそうだった頃のお話なんだ…と心が遷移するのを助けてくれる。あったんだよね、このおっさんにも似たような時代が…と。(苦笑)

    で。

    後日古本屋を巡ってたらイラスト入りの本作の後編本を見つけて買ってしまった(笑) まだ読み始めてはいないけど、ページをめくるとまたこの面はゆい時代に引き戻されてしまうのだろうか。

    こないだ飲み屋で盛り上がった「17歳の体型を取り戻せるか。」という話題をつい思い出した(笑)

  • T屋でレンタル、久し振りのジブリ作品。

    観ている途中で気が付いた、以前TVで観たよなぁ、と。

    ”携帯電話”登場以前のストーリー、いやインターネットも未だだ。

    雰囲気的に80’s終わり頃かな?と思ったが93年作品だった。

    ファッション、髪型、車・・・、懐かしい。

    やっぱり共学って良いよな、男子校は灰色だ(文字通り)。(笑)

  • もっかいみたいな

  • 土佐弁いい〜!
    ムトウの身勝手さも、すぐ大人になってしまうようなところも、杜崎がムトウに嫉妬するのも、なんか可哀想なところも、ぜーんぶ好き!学校とか親とかなにもかもが気に食わないかんじとかさ、だれもが懐かしいはずだよ。
    吉祥寺の駅で出会うところも日差しのかんじとか風が吹くところとかいいい

  • 水彩画の優しい画風が素敵。
    もちろんキャラ描写は素晴らしいんだけど。
    松野くんとの三角関係も。
    りかこの妙な魅力も。

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