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- / ISBN・EAN: 4988101096824
感想・レビュー・書評
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いい映画だった。
いわゆる「姥捨山」のお話。
舞台はある貧しい寒村。村の掟は3つ。
1、結婚し、子孫を残せるのは長男だけ
2、他家から食料を盗むのは重罪である
3、齢70を超えた老人は、「楢山参り」に出なければならない
くされ奴として村で蔑まれているリスケ役の左とん平、辰平のところに嫁いできた若後家のあき竹城、おりんにリスケの性の相手を頼まれた鼻が悪いおかね婆さん役の清川虹子など、脇役陣がすばらしいです。
蛇やカエルなどの自然の動物もしかり。
この時まだ40代だったおりん役の坂本スミ子、母親を山に捨てに行く道すがら葛藤する辰平役の緒形拳。ラストシーンは音がない分、静かにドーンと胸にきて、涙がとまりませんでした。
印象に残っているのは、生き埋めのシーン。
生と性のリアルを、見る側にこれでもかと突きつけてきます。ちょっと前まで本当にこういうことがあったんだなあと。
死ぬ前にこういう映画を見れて良かったです。 -
今村監督版。原作に同じ作者(深沢八郎)の「東北の神武たち」をミックスさせたもの。むき出しの生々しさをこれでもかと見せ付けてくれる作品なので、不快な場面も少なくないのだけれど、それも込みで、清清しいほどの力強さがいいと思う。
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ただ邪魔になった母親(ばあさん)を
山に捨てに行くって話ではない。
昔の山奥で暮らす厳しさ、
独特の風習、
色々なことが重なって、
山に行くのが良しとされる。
悲しい話でも無く、生きるってこと。
これが日本の一部だったのだから
強烈な話。 -
若干時間が経過してしまったが、「観たら読む。」今村作品第三弾。
「今村昌平ワールド」と題した制作関係者本人たちによる回想記がネット上に存在しており、そのことを言っている。これまでには「人間蒸発」と「神々の深き欲望」を鑑賞後になぞっており、観賞直後に読むことによって、もしくは繰り返し鑑賞しながら読むことによってスルメのように噛めば噛むほど味が出てくるようになっている。なにより贅沢だったのは今村監督が構想を練っていた段階からのいきさつが感じられることである。ありがたや。
先にオリジナル版ともいえる木下惠介版を鑑賞してしまっているが故に、それを超えるものがありうるのだろうかという猜疑心をもって鑑賞していた自分がいたことは確か。だがそう時間も経過しないうちに、正確に言うと冒頭部からいきなり持って行かれてしまった。木下版が舞台風映画化であるのに対し、今村版はいきなり「空撮」から入ってくるのだから。
「神々の…」で聞かされた三國連太郎のような役者魂のありようは、本作においても緒形拳、坂本スミ子といった人達の行動録からも十分感じられた。とうぜんスタッフのみなさんがたについても同様である。
さて、次の「観たら読む。」はどの作品となるか。 -
姨捨の慣行のあった地域についての物語。冬が厳しく食べ物も少ない地域のため、小さな村落では盗みなどに対して厳しいルールがあり、間引きや姥捨もなされている。主人公の緒形拳が老婆をおぶって山に登っていく最後のところは素晴らしい映像。B
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作品そのものについての素晴らしさは今さら言うまでもあるまい。人をいやらしい気持ちにさせる映画だ。
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木下監督の後に鑑賞。こちらは泥臭い。性と死。
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姥捨山の話というのは有名なので、悲劇だと思って観るのを先延ばしにしてたら全然違ってトラジコメディ、まさにイマヘイ監督の「重喜劇」でした。
最後どうなるかはわかってるから別にして、途中はめちゃくちゃ笑えます。というか有名な例の歯のシーンなんかは、笑っていいのか悪いのかわからない、これまた後期松本人志のコントに近いシュールな感じにもなっている。
例の「通過儀礼という見方」をするなら、まさにこの映画はそのもの。
「親殺しの話」であることはもちろんなんですが、閉鎖された村社会というのは完全に宗教団体そのものなんですね。親を捨てに行くというのも儀式で、ルールや手順に則ってやる。信仰対象はもちろん楢山さま。
その他にも村の掟を破ったものには制裁や死が与えられる。
話はそれるけど、戦後村落の共同体が崩壊し、労働者として若者が都市部に流入すると、彼らが支持したものは○○党や○○学会であったそうで(仲が悪い方ね)、ある意味では日本人も宗教からは逃れられない、宗教的空白ができた部分は結局なにか似たようなもので補完している……と話がつながってる気がします。
それは資本主義教もそう、我々オタクが二次元やフィギュアを偶像崇拝するのもそう、女子がスイーツ(笑)やスタバを信仰するのもそうで、他人事ではありませんよ。
キャスト、あき竹城や左とん平、小沢昭一や常田富士男などなど脇役も最高でした。
※追記。
甲州弁ラップをずーっと聴いてるので、甲州弁のヒアリングはなんら問題なかった笑。