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- / ISBN・EAN: 4988104021380
感想・レビュー・書評
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はじめのうちはセリフが聞きとりずらいのだけれど
だんだんと志村喬と三船敏郎の演技――とくに表情に惹きこまれていっていた
終戦から3年後という戦後の街の様子(闇市や焼け残った建物など)が描かれていることが興味深い
そして
これでもかと「対比の関係」が出てくるのがすごい
黒(赤)と白 死と生 ……
明と暗の対比があることで、未来への希望と今の悲しみがくっきりはっきり描かれていた
ある沼も数年すれば新しく土地開発され、まったく面影がなり忘れられていくのだろうな……
松永の死と重なり、とても切ない -
これは名作!志村喬と三船敏郎の主演のコンビは見ている側を熱くさせる演技だったし、また、そういうキャラクターと演出だったと思う。ストーリーは普遍的でも、その分ストレートに伝わってくるものがあって、力強い個性とか希望みたいなものをすごく感じる作品だった。
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三船敏郎の圧倒的な魅力、古き良きエンターテイメント。モノクロ映像でペンキまみれになって揉み合う殺しの場面は圧巻。また、台詞がいい。「ふぬけ!」と言ってみたくなるね・・・。最後に、人間を救うのは理性だというような台詞が重みをもっていたが、黒澤監督の考えがよく現れていると思う。そして同時に、本当にそうなのか?と・・・考えるきっかけになる。初期の作品は、観る者に考えさせる余裕がある。後期にはそれが無いように思えるが。(070523)
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三船敏郎さんの初黒澤作品。
主役は志村喬さん(真田)なのですが、三船さん(松永)の存在感が大きすぎて、物語にぐいぐい引き込まれていきます。
ギラギラと輝く眼がカッコいいです。
日本映画界に歴史的スターが舞い降りた記念すべき作品といえるでしょう。
「ねえ先生 理性さえしっかりしていれば
結核なんか ちっとも怖くないわね」
「うん 結核だけじゃないよ
人間に一番必要な薬は 理性なんだよ」 -
Film Forumで開催される待望の「Shitamachi 下町」シリーズ、3週間で38本とホンキで集められた作品群の中から、トップバッターとして掲げられたのが本作。(正確には前週の金曜から一週間枠で上映された寅さん第一作目「男はつらいよ」(1969) がそれなのかもしれないけれどそれはさておき。)なぜか未鑑賞作品と残っていた本黒澤作品、どうやら「35mm上映の機会に巡り会えるまで待っておけ」ということだったらしく。
そもそも本作が志村喬を主役に据えた最初の黒澤作品であったということが知らない事実であったし、そのタイトルこそが彼の演じる役どころであったという想像力さえ働いていなかった。終戦からまだ三年とすさんだ住環境がまだそこここにあった時代に発表された本作の脚本はその後の黒澤作品にも度々現れてくる社会派的要素が十分に滲み出ている。
性悪女を好演する木暮実千代は鑑賞済みの出演作品のなかでも一番初期のものだったようでなるほど若さにあふれた役どころがはまっていた。しかしながら今回最も気になったの女優さんは飯田蝶子でも千石規子でも久我美子でもなく、志村喬演じる医者の助手を務める過去に陰のある美代という役を好演する中北千枝子という女優さん。名前をみてもピンとこなかったのにその出演作をながめると五本以上もあったのだから驚いた。まさに名脇役といういい意味での賛辞を贈りたい。手元にある寅さん第31作「男はつらいよ 旅と女と寅次郎」(1983) もしっかり観なおそう。
山本礼三郎という役者さんも気になり、そうなるとやっぱり…
同じくラインナップに含められている「野良犬」(1948) も再鑑賞かね! -
非常に面白かった。貧富の差と社会の高低を上手に描いている。天使のような医師はアル中で、仁義を通す硬派なやくざは病に恐怖して弱く、病弱な女学生は最後まで学業を貫く。社会の触れ幅を丁寧に描いている。時間的まとまりも良い(98分)し、とても観易かった。