ペパーミント・キャンディー [DVD]

監督 : イ・チャンドン 
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4932487021628

感想・レビュー・書評

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  • 酔っ払っている男性が列車で自殺する衝撃的なシーンから映画は始まる。この男がなぜ自殺したのかを理由を字間を逆行して描いていく。妻から追い出されて、ホームレス同様な生活をしている所に昔付き合っていた女性の夫が訪ねてくる。時間はさらに昔に戻ると、彼が刑事であり共産主義者を弾圧していたこと。友人と店を経営していて羽振りが良かった時代。個人史が走馬灯のゆうに廻る。そして、彼の心の傷の正体が明らかになる。軍隊に収集されていたときに光州事件が発生したのだ。当時は光州で何かあったらしいという噂はあったが、この映画で描かれた事実は秘密だった。映画は再び最初の場面と同じ場所になる。しかし、それは20年前の純粋な初恋をしていた青春時代の若かった自分。韓国現代史が良く解る良質の映画だ。

  • (1999年作品)

  •  1999年春。鉄道の高架下で男ヨンホは全てを失ったいま、過去を振り返っていた。3日前、ヨンホは危篤状態にある初恋の相手、スニムを見舞う。数年前には行きずりのバーのホステスにスニムの面影を見る。さらに3年前、新米刑事のヨンホのもとにスニムがやって来るが、彼はそっけなく追い返してしまう。その4年前には兵役についたヨンホを訪ねたスニムだが面会許可がおりなかった。そしてその1年前、青年ヨンホはスニムとこの高架下で互いの将来を語り合っていた。

     この作品は韓国のだというのを見れば納得することができる。ヨンホが自殺をするシーンから始まり、その人生を少しずつ戻っていくことで物語は進んでいく。韓国の民主化、独裁政権時代など様々な政治的な状況を踏まえながら主人公は生きてきた。
     タイトルの示すペパーミントキャンディーは作中にも登場するが、ハッカ味のキャンディー。今でこそメントールでスッキリ感を与えてくれるので食べますが、若いころはなかなか食べなかった食品。やはり大人の食べ物なのでしょうか。
     日本と違い、兵役の義務があるシーンも個人的には興味深かった。この監督はいつもなんて深い映画を作るのだろうと感じます。決して全員に共感される作品を作りませんが、一部の人には絶賛されるでしょう。

  • 現実には、歩んできたレールの後戻りはできない。
    しかし、自殺にいたった男の過去をたどることで、
    世の中の流れにかすかにあらがいつつも、流されざるをえなかった原因がひもとかれる。
    女優は美しくないが、魅せた。

  • 韓国386世代の一部には共感できる気分なんでしょうねえ。としか言えないなあ。

  • ベテラン俳優、ソル・ギョング出演映画。
    自殺した男性の一生を、自殺するシーンから遡って追っていく。
    人生を遡っていくというかたちが、なかなか面白かった。

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著者プロフィール

【著者】イ・チャンドン(Lee Chang-dong)
1954年生まれ。1981年慶北大学校教育学部国語教育科卒。1987年まで高校の国語教師として教壇に立つ。1983年小説「戦利」が東亜日報新春文芸中編小説部門に入選。1987年『焼紙』、1992年『鹿川は糞に塗れて』の2冊の作品集を刊行、作家として高く評価される。本書『鹿川は糞に塗れて』で第25回韓国日報文学賞受賞。1993年より映画の世界へ。2003〜04年、韓国文化観光部長官を務める。長編映画監督作品として「グリーンフィッシュ」「ペパーミント・キャンディー」「オアシス」「シークレット・サンシャイン」「ポエトリー アグネスの詩」、村上春樹の原作による「バーニング 劇場版」がある。2023年、フランスのアラン・マザール監督によるドキュメンタリー映画「イ・チャンドン アイロニーの芸術」が日本で公開される。

「2023年 『鹿川(ノクチョン)は糞に塗(まみ)れて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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