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- / ISBN・EAN: 4934569621450
感想・レビュー・書評
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あいかわらず暑いです。空いてそうな映画館で映画を見ようと思い、スチームボーイにする。観客は意外と多い。
予告編がありきたりで熱が感じられなかったので、本編もきっと駄目だろうな思っていたらそのとおりダメだった。
いったい誰向けに作った映画なんだろう。少なくとも大友克洋ファン向けではないことは確かだ。なんのひねりも驚きもないストーリー展開。お手本通りに話が進み、たんたんと終わるだけ。これだったらコナン君とか毎年今頃上映されてる劇場版ポケモンシリーズの方がよほど工夫が凝らされていて見た甲斐があるというもの。
この手の話はそういう映画でさんざんやられてきてるんで、3番煎じ4番煎じがつまらないのもあたりまえ。せめて主人公が空を飛ぶとき宮崎駿あたりの飛翔感や高揚感があればいいけどそれもないし。
そんな芸のないシナリオにのっかった大友克洋の絵とCGは見事だけど、舞台となる19世紀中頃のイギリスの雰囲気を出そうとすればするほど、じゃあ別にアニメじゃなくていいじゃない、実写にすればという気がしてきてしようがない。実写にすればリーグ・オブ・レジェンドみたいな感じで、もっとましになったんじゃないかな。
鉄製の機械の持つ重厚さを出したかったんだろうけど、彼の絵柄は重厚さにむいてないし。
第一、登場人物の顔がいつもの彼の絵と変わってないのに、突然イギリス人ですアメリカ人ですって言われてもなあ。
ああそうか。この映画はコナン君やポケモンよりもっと下の世代向けなんだ。コナン君や劇場番ポケモン(ストーリーが長い方)はだいたい小学生以上だから、4、5歳向けということか。なんだ、それならそうと早く言ってくれればいいのに。今日の観客はきっと皆それを知らずに来たんだと思う。
まあ、親子連れ映画としても、あんまりいいできではないですけどね。
悪口を最後にもう一つ。
声優の声。いかにも、アニメです、作りものです、といったわざとらしさが耳につく。せめて声優ぐらいはその世界に入り込んで喋ればいいのに。
特にロイド役の中村嘉葎雄。舌がもつれがちなのは論外。
結論
あ~、つまらんかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
映像はピカイチ。これだけは見る価値がある。
しかし、いかんせん脚本がへぼすぎる。非常に残念。
冒険活劇にしたかったのか、科学との向き合い方を考えさせたかったのか、どれも中途半端。
でも、映像が良いので、何とか最後まで観られた。
いやー、もったいない。 -
あえておすすめはしないが、「天空の城ラピュタ」なんかと見比べると面白いと思う。子供ウケしない感じだが、大友氏の作品は、それはそれとしてかなりの見ごたえあり。
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※暴力及び流血描写の含まれる作品です。
【印象】
19世紀英国で蒸気的な争いに巻きこまれる少年。
科学の立ち位置、科学に携わる人間の立ち位置。
【類別】
SF、スチームパンク。
【脚本等】
期待しない方がよいかもしれません。
【画等】
蒸気機関、歯車、独特な機械、そういったものに興味のある人へお薦めします。緻密な描写が魅力です。
【音等】
中世ファンタジーを想起させる牧歌的な音楽から、ありがちな劇伴クラシックまで。 -
映像はいい、素晴らしい。大好きだ。しかしなにせ話があまりにもお粗末。
キャラクターの心理も何も描かれないし、結局何の話だったのかすらはっきり見えてこない。雑過ぎる。キャッチコピーの「少年は未来を発明する」←お前ほとんど改造しかしてねえだろ……
お父さん(髪の毛しがみつきすぎ)の理想もおじいちゃん(フガフガ言い過ぎ)の理想もイマイチ見えてこない。ラストで「きれい……」っていうシーンなんてあれ大量に人死んでるだろ。綺麗とかいってる場合じゃねえ。くだらん親子ゲンカに人を巻き込むな。
ヒロインもムカつく奴だけど実は……?みたいな描写が始まるかと思いきや始まらない。描かれるかと思いきや描かれない。逆にすごい。3くらいで10を了解しなきゃいけないこの雰囲気すごい。
しかもネーミングのスチーム押し。ミドルネームに無理矢理スチムってかちこんで来てうざいと思ってたらスチーム城だ!とかドヤ顔しちゃったし。うざい。そして名前がださい。なんなの。
これに10年費やしたと思うと感慨深い。 -
迫力ある映像に現実と虚構のうまく混じりあった世界観と、それなりによかったけど、不満な点も多々。まず声優がへた。演技力以前に滑舌が悪くて聞き取りづらい。次に、科学をめぐる見解をしゃべらせすぎ。説明くさくてテンポが悪いし、台詞に魅力がなければやり取り自体も特におもしろくない。さらに、「科学は何のためにあるのか」的なテーマがあるわりに、科学の負の面ばかりが目立って恩恵や魅力的要素はほとんど描かれていない。そんな中で主人公が特に葛藤もせず、大惨事と家族内の不和を招いた科学に対して肯定的な見方を変えないというのは、違和感を通り越してかなり無理があると思う。
総評として、子ども向けアクションアニメ映画としては及第点、大友克洋監督作品としては残念でもったいない出来だった。 -
GENGA展で30年ぶりの大友ブーム(マイブーム)が来て、TSUTAYAで借りてみた。何よりもこれみて思ったのは、未来少年コナンの復刻版だね。スチーム城は、まんまインダストリアのギガントだし、お父さんは、ラオ博士。少年はコナン。
しかし、映像は素晴らしい。製作費23億円、興行収入11億円って、どんな赤字だよ。でも、こりゃあそのくらいの費用かかっているよね。海外での評価が知りたいです。ボクには、一連のジブリより、ずっと良かったけどな。 -
何か「へい、お待ち!」てセリフつけたくなるパッケージ。やっぱキャラクターの魅力が薄い感じ。
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「AKIRA」の大友克洋への期待度の高さゆえに本作の評判は良くないようですが、元々「AKIRA」にはさほどの思い入れがないこともあり、個人的にはこちらのほうが好みです。
近未来の東京を舞台にしたサイバーパンクが、19世紀ロンドンを舞台にした冒険活劇になってしまったわけですから、その落差にがっかりした人の気持ち理解できます。中盤までのストーリー展開の退屈さ、どこまで行っても家族喧嘩の話に終始してしまうスケールのショボさなど、欠点も見受けられます。
それでも、文字通り「スチームパンク」のビジュアルにカッコ良さと作画レベルの高さ、崩壊するスチーム城から脱出するスリリングなクライマックス。賞賛すべき点は多々あります。制御できない大きな力を得ようとする人間の愚かさを描くという点では「AKIRA」と通ずるところはあり、SFとしての批評性も見てとれます。私は結構好きです。
BS12「日曜アニメ劇場」にて。