花とアリス 通常版 [DVD]

監督 : 岩井俊二 
出演 : 鈴木杏  蒼井優  郭智博  相田翔子  阿部寛  平泉成  木村多江  坂本真 
  • アミューズソフトエンタテインメント
3.83
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本棚登録 : 2229
感想 : 426
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4521458002140

感想・レビュー・書評

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  • 『リリイ・シュシュ〜』が思春期を描いた「陰」の作品なら『花とアリス』は「陽」という印象。

    飄々と生きる彼女たちに訪れる何気ない瞬間の表情や、仕草や、感情の揺れ動きが生き生きと切り取られていて、なにか温かい膜に守られているような気持ちになった。輝け青春!(キラーン)的なノリではなく、かといってほんわかした日常系というのでもなく、作品全体が飄々としていてどこか危うげでもある。その絶妙にとらえどころのない外してくる感じが良かった。なんだかだんだん俊二のことが解ってきた気がする!

    特に蒼井優は僕がいくつか観た出演作の中では圧倒的に良かった。かなり最高であった。可愛いとか綺麗とかいうのともちょっと違うが、そういう人が確かにそこにいるのだ、という存在の説得力が凄かった。蒼井優は岩井監督がリリイ・シュシュで映画に初出演させたらしいが、さすが魅力をわかっている人が撮ると違う。

    わりとフィクションっぽいところも多い話だったが、不思議と主役二人の「そこに存在している」という感じがしっかりとしていて、思わず花とアリスの二人の関係がずっと続いていくことを願わずにはいられなかった。

    ☆5にするほどガツンと来た何かがあったかというと正直それほどでもという感じもするのだが……いや、あった。あったあった。最後の鈴木杏の泣き顔ドアップとか蒼井優のダンスシーンとか。そういうことです。

  • 観た。
    まあストーリーはやっぱりあんま重要じゃないのかな。
    そんな無茶な!と言いながら観てたらちょうど良かった。でも思春期の行動は非論理的くらいがリアルなのかも(?)。マー君はあれね、たんに舞台装置なのね。

    これは凄い!と思うシーンが散りばめられていて、そういうところ素敵。
    桜満開のシーンとか、雨の中で踊るシーン、部活勧誘の箏曲部(ここしか出ないのもったいなくない)、バレエ教室で写真を撮るシーン、それになんと言っても圧巻の制服ポニテバレエシーン!このバレエだけでこれを観る価値があるな。

    オープニングが「殺人事件」のラストから繋がったり(順序逆だけど)、「似合わねー」のシーンも殺人事件と被せてたりはとても好き。
    お話のテーマというか、前後編の連続性はあんまり作らなかったんだなーと。あんなに執着してたユダのユの字も出ないの寂しい。

    アリスパパが、「殺人事件」のおじさんと同じ人だったので「あのおじさんと定期的に会ってんのアリス!!??」と大変混乱しました。

  • とてもきれいでかわいい映画だと思いました。

    女子高生のあざといかわいさと言いますか…
    とにかく蒼井優のかわいいことと言ったら!

    バレエの写真を撮るシーンがお気に入りです。
    あとはアリスが踊る場面、踊る楽しさと喜びが溢れていて、またそれを祝福するかのようなあたたかい光の射し方がとてもよかったです。

    花の恋の物語でもあり、アリスの家族の物語でもあり、2人の友情の物語でもあり…
    お話の回収の仕方もとても好きな感じです。

    おにぎりサンド食べてみたい。

  • この映画で蒼井優ちゃんがバレエを踊るって、
    あちこちで見かけていました。
    やっとBS録画して見ました。

    BGMは高尚なClassic風
    花ちゃんちはお花が綺麗で
    アリスちゃんちはアンティックで(散らかっているけど)
    でも、めちゃくちゃコメディ。
    しかもバレエ教室なんて、普通あんなじゃないでしょう?

    でも…、クライマックスといっていいのかな。
    蒼井優ちゃんのバレエシーン。

    それまでが可笑しかったせいか
    すごく美しく感じられて。

    非常に感動しました。
    他がぜんぶ変でも
    バレエが美しければ帳消し!みたいな。
    本物には絶対かなわない。

  • 好きな映画はたくさんあるけれど、そのなかでもこの作品は特別です。始終春の柔らかな優しい日の光に包まれているような、淡くあたたかい映像もすてきだし、サウンドトラックも買いました、登場人物も魅力的です。幼馴染の女の子二人の友情と、どこか風変わりな先輩をめぐる恋の話です。好きなシーンをあげていくときりがないのだけれど、やはりいちばん胸に残ったシーンは、花が宮元先輩にすべてを打ち明けるシーン、アリスがオーディションでバレエを踊るシーンです。花もアリスも宮元先輩も魅力的だけれど、やっぱりわたしはアリスが大好きです。花が宮元先輩に対してついたうそに協力するために、宮元先輩の前でぎこちなく演技する姿がとてもかわいらしかった。花とアリスが二人で笑い声をあげているシーンは、本当に可憐でほほえましいです。女の子って良いですね。年頃のおんなのこの、たくさんのきらきらが詰まった作品。

  • 2004年 日本 135分
    監督:岩井俊二
    出演:鈴木杏/蒼井優/郭智博/木村多江/相田翔子

    中3の荒井花(鈴木杏)と有栖川徹子=アリス(蒼井優)は仲良しで同じバレエ教室に通っている。高校も同じところに合格。電車の中でアリスが一目惚れした男子といつも一緒にいる別の男子に花も一目惚れする。彼は二人が入学した高校の1学年上の先輩で宮本雅志(郭智博)。花は宮本の所属する落語研究会に入部、ストーキングを続けるが、ある日、宮本がガレージのシャッターに頭をぶつけ転倒、気絶したのを幸いと、突拍子もない嘘をつき…。

    10年後に前日譚をアニメ化した『花とアリス殺人事件』を先に見たのですが、ようやく17年前のこちら本編を観賞。まず花とアリスの二人がとにかく可愛い。自然体で、どこにでもいそうで(実際にはいないけど)、二人のなんてことない会話はずっと聞いてられる。(そういう部分は男子版だと『セトウツミ』に近い感触)。宮本先輩役の郭智博も不思議な存在感で、キャスティングと、映画全体のテイストはとても好きだった。

    ただね、個人的にどうしても花のついた「嘘」が受け入れられなかった。彼女は憧れの先輩が気絶するほど強く頭をぶつけたのをこれ幸いと、彼が記憶喪失であると嘘をつく。あなたは私に好きだと告白したのに、それを忘れているんですよと。ちょっと不思議ちゃん味のある宮本先輩は、変だなと思いながらもその嘘を信じてしまい、つきまとう花となんとなくデートっぽいことを続けるようになる。

    演じているのが鈴木杏ちゃんだから、花のついた嘘はただのお茶目で、終盤それが嘘だと告白する場面も彼女の切ない恋心爆発、感動的な感じになってるけど、いや、ふつうに虚言癖だしもはやサイコパスじゃね?…というドン引きする気持ちがどうしても最後まで晴れず、心から彼女を応援できなかった。心の片隅にずっと、いやこれふつうにサイコホラーだし、男女逆だったらめちゃめちゃ危険な犯罪じゃん、可愛い女子がするからオッケーとかおかしいでしょ、というモヤモヤが…。

    花のパソコンから、自分を隠し撮りした写真を大量に発見してしまった宮本先輩はさすがに変だと思うが、花はそれをさらなる嘘=元カノのアリスから送られてきた云々で塗り固め、アリスをもこの嘘に巻き込み、元カノのふりをさせる(しかしアリスはどうやらその理由をかなり終盤まで知らなかったらしいという矛盾)

    嘘に嘘を重ねるサイコな花を、不思議ちゃんとはいえなんか気味が悪いと思い始めた宮本先輩は、元カノだというアリスのほうに事実を確認しようと接近。彼はなんとアリスのほうに惹かれてしまうように。悩みながらも花は嘘をつき続け…。

    一方、アリスのほうは花に比べるとずっとまとも。しかし彼女のほうは家庭の事情が複雑。両親は離婚しており、いつまでも少女のような母(相田翔子)と二人暮らし。母親は家事もせず男を作り(彼氏役は阿部寛)、娘をいないことにしようとしたがっている。相田翔子だからなんか可愛いけど、このお母さんめっちゃ毒親では…(怖)アリスは離婚した父(平泉成)と時々会っており、ちょっとファザコン気味。

    ある日、アリスはタレント事務所の女性(ふせえり)にスカウトされ、CMやドラマのオーディションを受けに行くように。いくつかのオーディションシーンがあるけれど、キャストが無駄に豪華。AD役で大森南朋、オーディション参加者に伊藤歩、有名カメラマン役で大沢たかお、彼が表紙撮影する雑誌の編集者が広末涼子など。

    いちばんの見せ場は、この大沢たかおの撮影する雑誌表紙のオーディションで、アリスがバレエを踊るシーン。蒼井優は確かホントにバレエ経験者、のちに『フラガール』でも見事なダンスを披露していたけれど、本作でもとても美しい。この場面以外でもバレエ教室のシーンは好きでした。先生はちなみに木村多江。

    花の落研の先輩・猛烈亭ア太郎(坂本真)は良いキャラだった。花のついた嘘が個人的に全然笑えなかった点だけを除けば、基本的にはとても好きな映画。

  • 制服姿でのバレエシーンなのですが、どうしても引っかかる。大沢たかおが戸惑って君下何かはく、と声をかけて、大丈夫です減るモンじゃないんでと蒼井優が答える。でも映像には彼女のパンチラシーンは映らない。映画の中のその場に立ち合ったひとたちの戸惑いが感動に代わるその瞬間を観客が共感できない。どれほど美しかったのか想像するだけ。あとその場面、広末涼子が彼氏からの電話を受けてその場を離れてバレエシーンが終わる頃に戻るという思わせぶりの演出も自分にはノイズに感じられる。個人的な戯言ですが。

  • 美しさにため息が出る。
    綺麗な袋に密封して心の奥底の宝箱にしまっておきたい作品。


  • 透明感といやらしさの比率が素晴らしい。

  • ほわーん、としました。

    観てて、花はとにかく不器用なんだろうなと思うけどイライラして、男にとにかく魅力がなくて、なんでこの人が好きなんだろうとも思ってイライラしました。

    嘘はつけなくても、お父さんを重ねてみることならできた。
    なんだか本当に…。
    でも、あ、この人はお父さんじゃない。

    人生の哲学なんて語れなくても、アリスのバレエはとにかく美しかった。
    蒼井優が素晴らしかった。

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著者プロフィール

映像作家。1963年1月24日仙台市生まれ。横浜国立大学卒業。主な作品に映画『Love Letter』『スワロウテイル』『四月物語』『リリイ・シュシュのすべて』『花とアリス』『ヴァンパイア』『花とアリス殺人事件』『リップヴァンウィンクルの花嫁』など。ドキュメンタリーに『市川崑物語』『少年たちは花火を横から見たかった』など。「花は咲く」の作詞も手がける。

「2017年 『少年たちは花火を横から見たかった 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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