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- / ISBN・EAN: 4988021121064
感想・レビュー・書評
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脚本家坪井と映画監督木下が、田舎の普通の民家を宿として紹介されて、あまりの生活感溢れる宿泊経験を、臭い布団のなかで2人で笑いながら語っているシーンが最高にいい。
自分も経験がある、失望とか、幻滅というのは期待していたものとの葛藤の渦中にいると、怒りや悲しみに閉じ込められているけど、それを超えると脱力して笑うことしか出来なくなる。これはひとりでも味わえるけど、こうやって2人で体験すると共感は破裂するくらいデカくなる。
『国英駅』を降りてからの2人の経験はその連続だった。
少なくとも旅の気分を味わいたいのに、どこ行っても、普通の日常以上に普通、それも他人の生活臭が染み付いた“普通の王道”みたいなリアリズムの世界は、求めたくない経験だからこそいい。“旅”はそんなもんだ。ハプニングがデカイ方がいい。
そんな、輝きのない2人の旅のなかに現れた敦子(尾野真千子)と過ごした時間はより輝いた記憶として残りつづけるコントラストだ。
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「くりいむレモン」はまだ観てないけれど、今のところ山下監督の中ではコレが一番好きですね~。
レンタルしてる間に3回も観ちゃいましたが、観れば観るほどおかしくて、こんなに腹の底から笑ったのいつぶりだろう?ってくらい笑ってしまいました。
で、この笑いが思わず吹きだしてしまう即効性の笑いと、三年殺しのようにじわじわと効いてくる遅効性の笑いとの二刀流だからすごい。
やっぱただ者じゃないわ、この監督。
本作はまだ初期の荒削りな雰囲気をだいぶ残していて、この荒さがすごくいい味をだしてます。
まだ洗練されてない、未熟だからこそ撮れる作品の良さって、やっぱりあると思うんですよね。
☆満点はちょっと甘い気もするけれど、名作の誉れ高い作品や世界の映画祭で評価されてる作品にばっかり満点つけるのも面白くないですからね。
この作品ですっかり山下監督の虜になっちゃいました。
(2004年 日本) -
山下敦弘監督の映画は愛おしい。
一番ショックだった「どんてん生活」
一番駄目男っぷりがいい「ばかのハコ船」
一番青春している「リンダリンダリンダ」
そして一番笑った「リアリズムの宿」。
コメディではある。
そこが好きであるとも言える。
一見すると普通。
でも何か不思議な時間がある。
そこも好き。
人がちょっと悲しい。
ここも好き。
人がちょっと愚か。
ここも好き。
ちょっとアウトロー
そこが肝かな。
・・・もう虜と言っても過言じゃないです。 -
尾野真千子がかわいかった。くるりの歌も良かったな。なんかこういう映画いいなぁ。
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今は少なくなりつつある田舎にある木造の駅から始まる若者2人の旅。
会話の間といい、主人公2人の醸し出す雰囲気といい、シュールだなぁって思ってたらつげ義春原作の映画だったってエンディングロールで知った。うん納得。
淡々としてるので、眠くなりそうになると小さな出来事がたまに起こってえっ?ってなったり、クスって笑えたりもする。
ただゆるい感じなのでそういうのが耐えられない人はリタイアするかもしれない。
ラストの宿は正直ヤバくてグェってなったけど、つげ義春さんが漫画で描く日本の田舎の古くからある独特の汚い感じって映像化するとこんなにリアルになってしまうのかな。。
彼らの旅を描くことがこの作品の目的だと思うから、多分メッセージ的なものはないと思う。
旅でちょっと成長したり、新しい自分に出逢ったりする作品みると、旅に出かけたくなるけれど、これを観たらずっと家にいたいと思ってしまうのは私がまだ未熟なだけなのかもしれない。 -
音楽が良かった。
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オフビート・コメディってなんぞや? と思ったけれど
見てみて、ひとことで言うとしたら「ゆるい」ってイミかなと(笑)思った
主人公ふたりが、
ほぼ知らない者同士のよそよそしい距離感からはじまって、
だんだんと気心知れてくる
ビミョーな空気感がなんとも面白かった
そこにポーンっと尾野真千子がふたりの間におさまって3人になる
不自然なのに、すごく自然なのが、すごく良かった
冬の日本海側特有なのか荒れまくりの天気や海のロケーションと相まって
計算じゃない偶然が生み出したものが、なんとも予想できない映像になっていて面白かった