Mr.インクレディブル [DVD]

出演 : ディズニー 
  • ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
3.77
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本棚登録 : 1138
感想 : 205
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4959241950260

感想・レビュー・書評

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  • かつてスーパー・ヒーローが活躍していた時代があった。しかし、彼らのパワーは時に破壊をまねくこともしばしで、やがてその活動を禁止された。それから15年、今はしがない保険会社の一社員として働く鬱屈した日々の中、けなげに妻子(彼女らもまたスーパーヒーロー)を養うボブのもとにスーパーヒーローとしての仕事が密かに舞い込んだ。ミラージュという謎の女からの依頼は、やがてボブたちスーパーヒーロー一家を巻き込む大騒動となる。
    元スーパー・ヒーローの活躍を通して家族のきずなをコミカルに温かく描いた、ピクサーならではのフルCGアニメ。スーパーヒーローそれぞれの個性やスーパーパワーを生かしたダイナミックかつユーモラスなアクションシーンの連続が実に楽しく、またその見せ方や乗せ方の上手さは神業的。 スーパーマン(Mr.インクレディブル)、ファンタスティック・フォー(イラスティーガール、ヴァイオレット)、X―MENなどアメコミスーパーヒーロー(フロゾンはシルバーサーファー、ジャックジャックはハルク、ダッシュはフラッシュ)のオマージュがたっぷりで、「ウォッチメン」のように、ヒーローの活動が法律で禁止されている世界で、過去の栄光を忘れられず密かに活躍したり市民に紛れ込んで生活するのに苦労するスーパーヒーローの人間性や葛藤をコミカルに描いているし、悪役がかつてのスーパーヒーローのマニアで、スーパーヒーローになるために他のスーパーヒーローを殺したり市民を救う真似事をしてスーパーヒーローになろうとするのがユニークです。吹き替え版の三浦友和、黒木瞳、綾瀬はるか、宮迫博之の演技もハマっています。

  • アメリカのスーパーヒーロー像というのはさまざまな形で語られるが、ここ数年トレンドとなっているのはスーパーヒーローを必要としない社会でスーパーヒーローがいかに生きていくか、の物語だ。『ダークナイト』『ウォッチメン』『X-MEN』なとなど、スーパーヒーローが社会で生きていくには法律や制度がどうあるべきか、ということを無しには語れなくなってきている。

    それも当然、冷戦の終結により巨大な仮想敵とされた共産主義が次々消滅していっているからである。スーパーヒーローはアメリカの象徴だ。平和を脅かす者には超権力で罰を与えることができる。
    この図式は80年代までは成り立つのだが、ベルリンの壁崩壊やソヴィエトの崩壊を機に、スパイと同様に職を失った。スーパーヒーローは共産主義と闘っていたわけではなく、社会悪や犯罪とも戦っていたわけだが、成熟する社会の中で超権力自体に疑問が投げられることになった。民主主義は民衆から選ばれた者に権力が与えられるのであって、力のあるものがそれを自由に使っていいわけではない。

    堅苦しいことを書いてしまったが、Mrインクレディブルは内容はこのような流れの中にあるごくシンプルなエンターテイメントだ。スーパーパワーを持った「個人」が日常でどう過ごすかは『スパイダーマン』の分野だが、スーパーパワーを持った「家族」がどう過ごすのかはこの『Mrインクレディブル』の分野だ。
    ヒーローは活躍していた時代の栄光を忘れられない。過去の栄光にすがり、家庭という日常に押し込められたくないという想いが噴出する。
    夫婦で活躍する姿は『Mr.&Mrs. スミス』のようだ。

    『Mrインクレディブル』というタイトルだが、ネタバレをしてしまえば、彼はこの作品の中では囚われのお姫様だ。彼は家族を守ろうとするが調子にのってつかまってしまう。後半は始終手足をつながれたままだ。
    そこで活躍するのは家族、女性も子供も対等に戦場に立ち、戦うことで家庭の苦難を乗り越えられる。子供が父親を超える能力を持つことがあり、それを制限してはいけない、そんなメッセージが映画から飛んでくるような気がする。

    今の世の中では家庭内で父親は最強ではないのだ。この映画ではアメリカにおける父性の変化を表している。もはや家庭は父親が守るものではない、母親も子供もその一員であり、自ら意志を持って守るべき構成員なのだ。
    この映画が盛りだくさんなのはそれぞれの子供の持つ悩み(力を制限され自分らしくあれない、ふさぎ込みがちで明るくなれない)という問題を自ら打ち破り、大人に成長する機会(イニシエーション)を与えている。そういう意味でも自立した個人というものを強く前に打ち出している。

    興味深かったのは「悪役の更生」が無かったことだ。シンドロームはただのヒーローにあこがれた少年であり、ヒーローにそれをたしなめられたことを恨みに悪行に走るのだが、きっかけはヒーロー側が与えたように見える。彼の最後には救いがないのだが、ここにどのようなメッセージが込められているのだろうか。マントの複線回収だけに使われたような気がしてならない。

  • Disney+で視聴。
    先にインクレディブルファミリーを鑑賞してからの、視聴。
    先に2を観ちゃうと能力などは知っていたので、インパクトに欠けたかな。個人的には2の方が好き。

  • ピクサー映画のなかでも、特に大好きな作品。スーパーヒーローの裏側をちょっとシニカルに描いてる感じが良い。ちっちゃな子供向けではなくって、思春期の子供がいるイマドキな核家族向けだったり、昔ヒーローに憧れた大人向けにも作られているのが良いです。

    • GMNTさん
      (コメント、読まれてるかどうかわかりませんが)
      僕も最近観て、レビューに書いたばっかりだったのでびっくりしました!
      めちゃくちゃ面白いですよ...
      (コメント、読まれてるかどうかわかりませんが)
      僕も最近観て、レビューに書いたばっかりだったのでびっくりしました!
      めちゃくちゃ面白いですよね。

      もしご覧になってなければ、前作の『アイアン・ジャイアント』も観てみてください。
      ピートがソロアルバム化してたり、映画のプロデューサーのひとりになってたりもしますし。

      僕もこれからブラッド・バード祭りにします。
      2013/05/03
  • ブクログでもわりと高評価っぽかったので鑑賞しましたが、めちゃくちゃ面白かったです。

    これに関しては、今までのピクサー≒ラセター作品の流れというのを一旦置いといて、『アイアン・ジャイアント』のブラッド・バード作品なんだ!ってことを念頭に置いて観て欲しい。

    『アイアン・ジャイアント』は'50年代が舞台だったけど、
    これは'60年代っぽさが強い。
    '60年代って、スタン・リーがマーヴェルで『ファンタスティック・フォー』『ハルク』『ソー』『アイアンマン』『スパイダーマン』『X-メン』など、現在も人気のキャラクターをボコボコ作ってた時代。
    さらに、『サンダーバード』や『謎の円盤UFO』などジェリー・アンダーソン作品の影響。
    音楽もよくて、JJエイブラムスとずっと組んでるマイケル・ジアッキーノなんだけど、当初は007のジョン・バリー本人が参加してたそう。
    イデス・ヘッドがモデルのデザイナー、最高に笑える!

    ストーリーは『ウォッチメン』がバイオレンス+エロ描写で完全に大人向け作品なので、それと裏表な感じ。
    アクションも素晴らしいし笑える。
    家族ものでもあるし、「徒競走で並んでゴール」に対する皮肉等々
    色んな要素が詰め込まれてるけど破綻していない。


    毎回思うんだけど、日本での売り方がちょっと残念。
    『アイアン・ジャイアント』の時って日本での劇場公開運動がネット上でされてましたが、ピクサー作品になって手の平返したような。
    で、俳優を声優に起用してキャンペーンをする。

    そこんとこ、気に食わないけども
    声優に関しては気にならないのでこれもよかったです。
    亡くなった滝口順平さんがちらっと出てるのもよかった。

    映画マニアの人も、そうでない人もどちらも楽しめる。
    こういう作品がほんとに良い映画だと思うので、
    観ないと勿体無いなあと感じました。
    (自分がそうだったので。)

  • [2012.09.24]
    すごいおもしろかったしすごくわたし好みの映画。友人からおもしろいと聞いていたからハードル高めだったけど余裕でハードル超えました。
    家族のことや、仕事、子育てや、それぞれの個性とかで悩んでるところはきっと誰でもみんなおなじなんだろうな。できれば敵の心の闇をなんとかしてあげてほしかったけど、そこはヒーロー物だし仕方ないのかな。もしくはなにか理由があるのか。
    敵が意外な人物だった(個人的には次作くらいで出てくるとおもってた)り、さいごにちゃんとマントのオチを入れてくれたりというところもよかった。とくにダッシュの見せ場は最高です。ダッシュかわいいよダッシュ。全体的にテンポが良くてぜんぜんダレなかったし、悪役の最期以外は文句なしの★5!

  • 夏休みアニメまつり第1弾。

    特別な力を持ったヒーローが民衆のエゴで社会的に抹殺された。
    能力を隠し、一般市民として馴染もうと努力していた矢先、
    インクレディブル一家は思わぬ事態に巻き込まれていく。

    ベースは勧善懲悪ストーリーだが、
    ヒーローである主人の機微や悲嘆に力点を置いた異色作。
    太宰が作品でひいたフランスの詩人・ヴェルレーヌの
    「撰ばれてあることの恍惚と不安と二つわれにあり」が
    何となく思い出された。

    何とか能力を隠して生活しようとするとママが、
    両親の飛び抜けた能力を受け継いだ長男ダッシュに
    「みんな、ひとりひとりが特別なのよ」と言うと、
    ダッシュが「じゃあ、誰も特別じゃないじゃん」とぼやくシーンが印象的。

    インクレディブル氏がヒーローの看板を下ろさざるを得なくなった要因に、
    訴訟大国アメリカへのちょっとした皮肉を感じた。

  •  もうスーパーヒーローはいらないとされた現代。ヒーロー達は一般人としての生活を余儀なくされる。かつての栄光が忘れらず社会に適応できないボブ(Mrインクレディブル)。子供たちも自分の能力が発揮できないことや普通でない自分に苛立つ毎日。必死に社会に溶け込むよう諭すヘレンも彼らを怒ってばかり。
     そんなある日、ボブにヒーローとして密かに働いてほしいという依頼が来るのだが。。。

     この映画は深い!  元ヒーローが悪名高い保険会社で働いてるんだよ! 顧客を守らず利益を上げろとか言われて。すごい設定。
     子供たちのことも、個性とか才能とかをどう扱うかというテーマがあると思う。ダッシュとママの会話が好き。「僕は特別な力があるのに」 「皆特別なのよ」 「じゃあ誰も特別じゃないんだね。。。」
     もちろん大きなテーマは家族愛。夫婦は助け合うことを取り戻し、子供たちは家族の一員として(ヒーローとして)成長していく。
     個人的にバイオレットが好き。最初は暗い子だったのに、ほんと変わります!綾瀬はるかの声もいい!
     CGもすごい!髪の毛とかの質感とかがおーって感じ。技術どんどん進化してます。ピクサー初の人間が主人公の話だけど特に違和感はない。

     見てて綺麗だし、動きがおもしろいから引き込まれる。
     ストーリーも色んな伏線があって、最後にそれらがピタッと収まる。最後まで見て本当にすっきりするし感動する。
     ピクサーの最高傑作。

  • すっごく面白かった!大爆笑。
    音楽もかっこよくて最高でした。ピクサーは細部までこだわりがあって大好きです。

  • アクションが痛快なヒーロー物。

    しかしよくよく考えてみると、悪者の少年は昔、ボブに憧れていた少年であり、そもそもボブが彼を慕っていた少年を邪険に扱ったために、少年の心がはげしく屈折したとも考えられる。

    そして15年後、ボブとその一家が輝くための引き立て役にされてしまう(笑)。ヒーローは子どもに与える影響力を考えて行動すべきだ。

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著者プロフィール

くまのプーさん ブランケットBOOK _ 【特別付録】3WAYふかふかブランケット

「2016年 『くまのプーさん ふかふかブランケットBOOK 【特別付録】3WAYふかふかブランケット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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