女の中にいる他人 [DVD]

監督 : 成瀬巳喜男 
出演 : 小林桂樹  新珠三千代 
  • 東宝
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988104032867

感想・レビュー・書評

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  • 好きな映画です。モノクロの作品は、とても新鮮な感じです。昭和40年代の風俗に魅力を感じます。生活様式、家族のあり方、街の風景、ファッション。今の時代より、遥かに素敵です。名優達の懐かしい顔。名脇役という印象の強い小林桂樹さんの苦悩する演技、「細腕繁盛記」の印象が色濃い新珠三千代さんの貞淑な妻でありながら強い女性を演じる見事さ。物語に終始流れる重い空気。前半30分、ほとんど雨。こういう部分も影響を与えているんでしょうか。上質のサスペンスです。

  • 日本映画チャネルの「成瀬巳喜男劇場 ファイナル ~キネマ旬報ベスト・テン入り作品 一挙放送~」特集で、『流れる』に続き、「成瀬巳喜男」監督の『女の中にいる他人 /1966』を観ました。

    -----story-------------
    東京の雑誌社に勤める平凡なサラリーマン「田代」は、同じ鎌倉で隣同士に住む親友「杉本」の妻と、不倫の関係にあった。
    そんなある日、「田代」は情事の最中に、「杉本」の妻を誤って殺害してしまう。
    誰からも疑われなかったにも関わらず、ショックと良心の呵責から、ノイローゼになってしまう「田代」。
    やがて「田代」は、精神的な重圧から逃れるために、みずからの罪を妻に告白した。
    それを聞いた妻の「雅子」は、自分たちの暮らしを守るために、事件そのものの隠蔽に走るのだが…。
    -----------------------

    心理的に怖い作品でしたね。

    「小林桂樹」が演じる、誤って不倫相手の女性を殺してしまった男「田代勲」、、、

    不倫と殺人という二重の犯罪を犯したという罪の意識から、ノイローゼに陥りますが、自分の気持ちを楽にするために、妻だけでなく、殺害した女性の夫で親友でもある「杉本」にも、罪を告白してしまう。

    小心者が犯罪を犯し、その罪の重さに耐えられず、やむを得ない行動なのかもしれませんが… 告白を聞く方の気持ちや立場を考えない、自分勝手な行動ですよね。

    奥さんも「杉本」も、そんな告白なんて聞きたくなかったはず。

    結局、その告白が、身を滅ぼすことになるなんて皮肉なものですよね。

    自分たちの暮らしを守るために夫の犯した罪を隠蔽しようと画策する妻の心の動き、そして、自分たちの生活を守るために実行した行動とは… 怖かったです。
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    今までに観た「成瀬巳喜男」作品とは、ちょっと毛色の違う作品。

    作品としては愉しめたけど、あまり「成瀬巳喜男」らしい作品じゃなかったですね。


    -------------------------------
    監督: 成瀬巳喜男
    製作: 藤本真澄
        金子正且
    原作: エドワード・アタイヤ
        『細い線』
    脚本: 井手俊郎
    撮影: 福沢康道
    美術: 中古智
    編集: 大井英史
    音楽: 林光
    出演:
     小林桂樹 田代勲
     新珠三千代 田代雅子
     稲吉千晴 田代広志
     塩崎景子 田代まり子
     長岡輝子 田代栄子
     三橋達也 杉本隆吉
     若林映子 杉本さゆり
     草笛光子 加藤弓子
     稲葉義男 友田警部
     加東大介 酒場のマスター
     黒沢年男 バーテン
     十朱久雄 平井
     藤木悠 黒岩
     中北千枝子 千代子
     田辺和佳子 野村和子
     河美智子 小原雪子
     伊藤久哉 記者A
     小川安三 記者B
     一の宮あつ子 生花の先生
     佐田豊 旅館の番頭
     河辺昌義 旅館の客A
     鈴木治夫 旅館の客B
     関千恵子 川崎夫人
     毛利幸子 女中A
     矢野陽子 女中B
     中山豊 男A
     二瓶正也 男B
     浦山珠美 女A
     内山みどり 女B
     宮田芳子 看護婦長
     庄司一郎 刑事
     大塚秀男 田口に似た男
     坂本晴哉 運転手
     小野松枝 家政婦

  • 後半、夫を守るようで実質自分本位なことを言い、自分の正当性を主張することで不甲斐ない男をねじ伏せていく、妻=新珠三千代の言葉の発し方と表情の力強さに軽く震えた。

  • 成瀬巳喜男監督、井手俊郎脚本、エドワード・アタイヤ 原作(『細い線』)、1966年作。小林桂樹 新珠三千代 三橋達也 草笛光子 若林映子 長岡輝子 加東大介 藤木悠 十朱久雄 黒沢年男 中北千枝子 出演。

    <コメント>
    •自ら犯した罪によって生まれた心のわだかまりに耐えられない男が、周囲の好意を無視したため、妻に毒殺される話。
    •単なるサスペンスタッチの映画ではない。木下惠介ばりに、成瀬流の女の生活感覚が示されている映画である。
    •タイトルの「女の中にいる他人」にいう「他人」とは「夫」のことか。恭順を示すようにみせて、雅子は結局、夫を子供や自分が平穏に生きる道具のように始末したところからは。
    こう考えることもできる。田代は悪事を隠せず、告白後も自首を考えた。それは、自分の中に、良心の呵責を感じるような「自分自身でないもの」を居させたくなかったからだ。これに対して雅子は、子供の将来、広くは自分のためにも、夫の罪という呵責を心に留める耐性があった。そのような夫の罪を「他人」と表現したともいえる。要は、平気で知らんぷりできるのが女だということ。得心の視点である。
    渋谷の狭い歩道でも、対面から、ぶつかりそうな位置を歩いて来る女は、大抵、こちらに気づかないふりをしてまっすぐ歩いて来る。知らんぷりが日常化しているのだ。
    ラストで雅子は自問自答するのだけど、女は秘密を墓場まで持っていけるのだろう。
    •それにしても、この田代という男、なぜこうも心が弱く、しかも家族マターを独善で決めてしまうのか。あまりに身勝手だが、それが、当時まだ一般的だった「亭主関白」の残滓なのかもしれない。
    •成瀬巳喜男の作品一般がそうなのだが、ネタバレ後もワンシーンを引っ張ることが多く、あーもうそこはわかったからと何度か心でつぶやいてしまった。

    <あらすじ(ネタバレ)>
    田代(小林)は、親友である杉本(三橋)の妻さゆり(若林)と浮気し、請われるままに首しめセックスをしているうちに彼女を扼殺してしまう。
    連絡を受けた杉本は疑うことなく田代に接するが、田代は良心の呵責から塞ぎこむことが多くなる。そして1人で温泉に養生に行った田代は、妻の雅子(新珠)を呼び出し、ついに一部始終を告白する。雅子は自分が夫とどこまでも共に歩むことを宣言しつつ、2人の子が人殺しの子と肩身の狭い思いをせずに済むように、2人だけの秘密にして忘れようと提案する。
    それでも黙って居れない田代は、杉本にも自分が犯人だと告白する。杉本は何度かビンタをするが、もう終わったことと流そうとする。
    帰宅後、そのことを告げられた雅子はその行動を論難しつつ、事の経緯が杉本まででとどまることに一縷の望みを託す。
    しかしさらに田代は、花火の日、雅子に、翌日自首することを告げ、書類整理を始める。雅子はついに、田代から預かっていた劇薬の毒物をウイスキーに入れて飲ませる。
    砂浜で2人の子を遊ばせながら、「自分にも黙っていられなくなる日が来るのだろうか」と自問自答し、幕。

  • 『女の中にいる他人』
    NHK BSプレミアム/毎週日曜放送
    2017年1月8日から

  • サスペンス映画という事になっているこの映画の主人公の男は庶民的でとても主役にはなれない冴えない人物で、何か強い動機も無く事故的に不倫相手である20年来の友人の妻を殺してしまう。ただの不倫のみでもきっと堪えられないだろうという程幼稚な彼自身が起こした大罪に精神を病み、ついに妻に告白するが、それでも治まらない彼はなんと被害者の夫にも事実を話す。これでも満足する結果が得られないので相変わらずの身勝手で、自首すると言い出した夜、観客誰もが望むことをその妻が行う。
    はじめに夫を主人公と書いたのは間違い。だからサスペンス。最後はもっと娯楽的に、夫を罵り甚振って欲しかった。そうすれば大ヒットしたに違いない。監督は大衆的な人気を得るキンタマが無かったのか。

    こんな人間がどうしていっちょまえに結婚し子供までつくって暮らしいるのか。そう思う。でもそれはホラー。

  • 大人の見る映画ですから、今になったわけです ^^;
    予告ですでに犯人は明かされていますから、サスペンスでも推理映画でもありません。
    最初から「犯人」は想像がつくようなのですが、それでも「もしや違うのでは・・・」とも思わせるくらい、あからさまに「怪しさ」を小林圭樹は出しているかな。
    「表から堂々と出ると言う夫には、裏からこっそりと出てもらおう」という最後のせりふがすべてを語っているのでしょうね。

  • 成瀬巳喜男のサスペンスと聞いて楽しみに鑑賞しましたが。。。
    う~ん。本作も悪くはないのですが、成瀬はやっぱり日常を描いた作品のほうが断然にいいなと思いました。
    サスペンスといっても謎解きなんかの要素はほとんどなくて、人間の心理にせまったところが見所でしょうか。
    そこがなんとも成瀬監督らしいですね。
    女って強いな、こわいなぁ~とつくづく思ってしまいました。

    しかし。。。殺人を犯してしまう理由がびっくりですね。
    もっと他になかったんだろうか。。。

    (1966年 日本)

  • 成瀬作品のような・・・・そうでないような・・・・
    新珠三千代 さん目線のシーンがもっとあれば成瀬作品!
    まあ原作はミステリだからしょうがないのか。

  • 脚本(井手敏郎)
    誤って不倫相手を殺してしまった男。それを知った妻。

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