麦秋 [DVD]

監督 : 小津安二郎 
出演 : 原節子  笠智衆  淡島千景  三宅邦子  菅井一郎  東山千栄子  杉村春子  二本柳寛 
  • 松竹
4.23
  • (23)
  • (25)
  • (8)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 114
感想 : 23
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988105027541

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 間宮家長男康一の妹紀子(28歳)の結婚話を軸に展開する物語。昔も今も結婚適齢期の女性に対する周囲の反応は同じだ。しかし、現在の結婚への自由度と比べ、昔の女性の結婚へは家族というしがらみが今以上に関係している。そこで改めて家族の大事さを感じさせてくれる映画。紀子の家族の紀子への思いやりの気持ちが深く最後は涙が止まらなかった。シリアスな場面があるものの、紀子と義姉とのやり取りや子供同士、親と子、祖父と孫のやり取りなどユーモアたっぷりで125分という少し長い映画だが最後まで飽きずに楽しく観れる。

    紀子とその友人達の未婚組と既婚組に分かれたやりとりが、今の勝ち組と負け組に通じていて面白い。女性は結婚を軸にして相反することは昔も今も変わっていないのだと思う。

    最後の場面の麦畑が白黒なのにとても美しく、本当に心に残る作品だった。この作品に出会えて幸せだ。

  • 約2年の歳月を経てFilm Forumにて再鑑賞。いやはや、ありがたい街だ。

    前回鑑賞時は同時期に読んでいた妹尾河童氏の「少年H」や、鶴見俊輔氏による著「戦後日本の大衆文化史」のお陰でハッとするような気付きを与えてもらっていたことが当時の日記を読み返してみて鮮明に蘇ってきた。今回の鑑賞においてはまた別の側面がいろいろみえてきたのであるが、それは多くの部分においてその間に鑑賞した昭和期作品群のフィルターを通してのものであった。

    小津作品になれない頃は似たようなタイトル、似たようなキャストに惑わされたまま終わっていた感もあったが、ひと通り再鑑賞してみるとその中でも世に名高い「紀子三部作」の中ではやはりこの脚本が気に入っていることがより明確になった。なかでも原節子と杉村春子のシーンが抜群で、この杉村という人も多彩な役どころを演じ分けられる人だけに、彼女の演じる「いい人」にみてる側の心があっさり奪っていかれるのを感じる瞬間があるのである。「東京物語」で香川京子も嫌がる人とはまるで別人なのだ(笑)

    またあくまで脇役の菅井一郎については木下惠介監督作品「肖像」を通して、東山千栄子に関してはむしろ「東京物語」ではなく黒澤明監督作品の「白痴」を通して、印象が二倍にも三倍にも増幅されていた。本作鑑賞直前に楽しんだ「早春」で主演女優姿を拝ませていただいた淡島千景様はいうまでもなく。

    そういやこの二年の間に本作に対するリリー・フランキー氏の評論も読んだことを思い出した(笑) 世の中にはいろんな小津評があって良いと思われ。

  • 紀子三部作

    今も昔も。
    悩み方や風当りは同じ。
    そして、決断や覚悟の瞬間すらも同じ。

    時代や男女感も一緒。
    更に、家族感や人間関係すらも一緒。

    違うのはスピード感と空気感。
    それと日本語の美しさ。

    浮雲と海岸と揺麦、全てが重なった。
    一度も出てこない弟がいい味付けに。

    沁みわたる時間でした。

  • 話はある家族の、当時にあっては自由に働き自由に遊ぶ娘の結婚話を中心に回る。相当昔の映画にも関わらず、現代でもさほど変わらない構図もあり、とっつきやすい。主題は結婚自体よりも、結婚を切り口に浮かび上がる家族の相互の思い方と、関係を変えていく家族とそれに対する各人の受け止め方、ひいては人生における変化とその受容・対応と思える。それにしても、美しい風景の切り取り方の上手いこと、展開の大筋に直接関係のない、なにげない会話の上手いこと。

  • 紀子三部作をこれで見終わった。

  • 28歳の女性が、友人が結婚していく中、独身で、周りから結婚しないのか等言われてなやみながら自分の人生を決めていくというような内容。原節子さんは今作でもとても素敵です。自分とダブって共感しながら観てしまいました。いつの時代でも30歳近い女性は自分の意志と違うところで言われることに悩んだり同じなんだなと。北鎌倉駅のプラットフォームが昔から長かったのねーと観ていて発見があるところも良かった。

  • また観たい
    平屋に住む家族の人間模様

  • 麦秋 1951年の作品・・・・

    小津監督は、
    『麦秋』で、無常と輪廻をえがきたかった という。
    小津監督の墓には、『無』が書いてあるという。

    小津の世界は・・・
    『ビジネス』という世界を表現せず・・・
    それ以外の世界をえがいている。
    アフターファイブというんだろうか。

    そこにあるのは、家族というもの・・・
    感じるのは、『大人の成熟』・・・
    それが、時代の荒波の中で、どう変遷していくのか?
    それを丹念に追いかける。

    激しさはないが、日常のゆったりしたさま
    家族の苦悩が、時折裂け目のようにうまれる。

    3世代家族が 分散していくさまを・・・
    『麦秋』では扱っている。
    家族が始まり、増殖し、そして、分散していく
    家族も生き物のようだ。
    家族の描き方が丹念であり、昇華している。

    原節子が一番輝いている作品に見える。

    間宮紀子(原節子)28歳が選んだ、結婚相手は・・
    ホンの1瞬で決める・・。
    家族をびっくりさせる・・・・
    笠智衆が、医者でお兄さん役。東山千栄子がお母さん役。

    彼女は、『大丈夫よ』という・・・
    その表情 目が輝いているのがいい・・・

  • 製作年:1951年 製作国:日本 時間:124分
    監督:小津安二郎

    (3.5点)

  • 家族を描いた作品で、観ている人を飽きさせることなく最後までもってくるといのはほんとに凄いですね。
    一見、ゆったりした流れのように見えて凄くテンポが良い作品ですね。

全23件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1903年東京深川に生まれる。1923年、松竹キネマ蒲田撮影所に撮影部助手として入社。大久保忠素組の助監督を経て1927年、時代劇『懺悔の刃』で監督デビュー。以来1962年公開の『秋刀魚の味』まで、全54作品でメガホンをとり、サイレント、トーキー、モノクロ、カラーそれぞれのフィルムに匠の技を焼き付けた。1963年腮源性癌腫により死去。1958年紫綬褒章受章、1959年芸術院賞受賞、1962年芸術院会員。作品『生れてはみたけれど』(1931)、『出来ごころ』(1933。以上、松竹蒲田)、『戸田家の兄妹』(1941)、『晩春』(1949、芸術祭文部大臣賞)、『麦秋』(1951、芸術祭文部大臣賞)、『東京物語』(1953、芸術祭文部大臣賞、ロンドン映画祭サザランド賞、アドルフ・ズーカー賞)、『早春』(1956)、『東京暮色』(1957)、『彼岸花』(1958、芸術祭文部大臣賞)、『秋日和』(1960、芸術選奨文部大臣賞。以上、松竹大船)、『宗方姉妹』(新東宝、1950)、『浮草』(大映、1959)、『小早川家の秋』(宝塚作品、1961)ほか。

「2020年 『小津安二郎「東京物語」ほか【新装版】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×