魚影の群れ [DVD]

監督 : 相米慎二 
出演 : 緒形拳  夏目雅子  佐藤浩市  矢崎滋 
  • 松竹
3.63
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988105028388

感想・レビュー・書評

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  • 相米監督4作目。1983年。
    つまり「ションベン・ライダー」1983年と「台風クラブ」1985年の間にある作品で、どういう連続性!? という感想。
    監督のフィルモグラフィ上では異色作といえると思うが、しかし当時の邦画の雰囲気をしっかり湛えた、むしろ邦画的には本流に近づこうとしたのかも。
    まあ映画の企画は個人の意図に依らないものだからだろうけれども。
    まさか相米と吉村昭が組んでいたとは知らなかった……。

    とにかく役者の顔、佇まい、演技が、凄い。
    "最強"は緒形拳だが、若夫婦としての夏目雅子、佐藤浩市も、いそう!
    自分が生まれた年の公開なので、当時の青森(や北海道)の漁村の風景を想うのが楽しい。
    土地や職業は違えどこんなふうに、自分の父母も部屋を借りたんだろう、とか。
    もちろん夏目雅子は素晴らしい演技をしつつ、どこかしら一段ファンタジックなフェアリーのようで、それは決してリアルではないということではなく、いいのだ。
    途中で「北海道編」が挟まるが、ここでの元夫婦の追いつ追われつ雨の中、もまた凄みのあるシーンだった。
    で、相米の劇中歌をいずれまとめたいなと夢想している者にとって、本作は作中人物が口ずさむ演歌たっぷりで、人の生活を描くには「歌を引用する」って効果的だと感じた次第。
    結論:テグスは恐い。

    • 傍らに珈琲を。さん
      こんばんは~☆ミ

      夏目雅子さんに触れていらっしゃる部分で、昨日NHKのプロフェッショナルでとりあげられていた山田洋次&吉永小百合を思い出し...
      こんばんは~☆ミ

      夏目雅子さんに触れていらっしゃる部分で、昨日NHKのプロフェッショナルでとりあげられていた山田洋次&吉永小百合を思い出しました。
      夏目雅子さんのフェアリーな感じとは路線が違うけれども、吉永小百合さんも"永遠"じゃないですか。
      今回監督は吉永さんに「お婆さんになれる?」ってオファーしたそうなんです。
      世の中の皆さんが思い求める"吉永小百合像"を保たなきゃいけない呪縛がありながら、でも演技では、ふと、お婆さんになってみせなきゃならない。
      でも吉永小百合さんで居なきゃならない。
      番組中で仰られていたのは助監督さんなのかな…「吉永さんは体幹がいいからね」。
      美と健康を保ちながらも、役者としては年齢を重ねてゆく。
      矛盾のなかを生きる、プロ中のプロだなぁと。
      すみません、話がぶっとんでますよね(汗)
      2023/09/28
    • knkt09222さん
      傍らに珈琲を。さん
      こんばんは。
      確かに吉永小百合さんも永遠の少女感ありますよね。
      「お婆さんになれる?」っていう言葉、すごく気が利い...
      傍らに珈琲を。さん
      こんばんは。
      確かに吉永小百合さんも永遠の少女感ありますよね。
      「お婆さんになれる?」っていう言葉、すごく気が利いていますね。
      で、超具体的な体幹。笑
      「求められる仕事」はいい意味でも悪い意味でも大変なんでしょうね……。
      2023/09/28
  • 「大間のマグロ」を全国区にした作品。巨大なマグロに一本釣りで挑むというのは格闘技そのものです。緒形拳は叩き上げの漁師を見事に演じ、方言も滑らかです。夏目雅子や佐藤浩一も緒形拳に触発されたのでしょうか、いい演技をしています。出番は少ないけれど十朱幸代も特筆すべき演技です。皆さん良い仕事をされ見応えがありました。余談ですが、大昔に読んだ「老人と海」を思い出しました。非常に高価ですが、機会があれば大間のマグロを頂きたいものです。

  • 1983年10月29日公開
    夏目雅子の映画では 一番良い。

  • マグロで有名な大間漁港が舞台。津軽弁のセリフがリアルなんだけど聞き取りづらいなぁと思って我慢して見ていましたが、そのうちにつらくなり…。ただ佐藤浩市が釣り糸に絡まって血だらけになるシーンだけ巻き戻してみるほど大笑い。

    最初は溌剌としていた夏目雅子が、次第に父や恋人とのすれ違いが起き、だんだん陰鬱になっていくのも見ていてつらい…。

  • 夏目雅子さんは物心ついた頃にはもうすでに亡くなられてたんで、世代としては違う。
    20歳前後の頃に寮生活してて、そうするとエロ本・・・じゃなくて写真週刊誌とかが回ってくるんですけど、「昔のグラビアアイドル特集」みたいなのがけっこうあって。蓮舫とかよく出てました。クラリオンガール、ユニチカ・・・
    夏目雅子さんの顔をそれで初めてちゃんと見たんですが、若い頃のこの人はほんとかわいい。普通は「かわいい系」か「美人系」かあるけど、この人はどっちもで。80年代になると痩せるんで美人系の方に寄る気がする。
    『西遊記』はその後再放送でちょっとだけ観たけど、あれ玄奘三蔵だから髪がない(笑)。

    相米監督は好きだけど観たあと「ハァ・・・」と溜息が出る・・・。
    青春映画ばかり撮ってるイメージがあったんだけど、なんでこれ撮ったのかがよくわかりません。元々映画化企画はかなりあったようだけど撮るのが難しいから何回も流れたそうです。たしかにこの映画をモノにできるのは相米監督しかいないとは思うんですけど、長回しのせいで撮影の難易度上がってるでしょ!!w

    お話は大間のマグロ漁師の話です。メインの3人、夏目さん、緒方拳、佐藤浩市の演技はよい。けど、青森・・・大間弁が何言ってるか全然わからない。半分ぐらいしか聞き取れません。これ、リアリティがものすごいってことではあるけど。
    さすがに「したらの」ぐらいはわかるんですが(北海道とかだと「したっけな」とかなりますよね)、このセリフがやっぱりすごく重要でした。

    相米さんの毎回の長回し、この作品ではかなり素晴らしいんですけど、例によってとある重要なシーンでは緊迫感がなくなってしまう。普通のシーンだと長回しって緊迫感出るんです、実際の生活には「カット」とかありませんからね。だから俳優にはものすごく高い演技力が要求されると思う。
    とある重要なシーン、佐藤浩市がただのバカ野郎にしか見えない・・・脚本のせいでしょうか。緒方拳演ずる父親がずっとかわいそうな感じ。

    脚本はまた田中陽造さん、音楽はまた三枝成彰さん。
    毎回出る寺田農、出てたっけ?と思ったら全カットだそうでw

  • 魚影の群れ 1983年作品。
    相米慎二監督 吉村昭原作。

    下北半島 大間の マグロ漁師房次郎/緒形拳。
    頑固一徹の親父。
    最初に、180キロのマグロが見事。
    1キロ 5000円。54万円。
    娘/トキ子/夏目雅子が、若くて、新鮮。弾けている。
    声が おおきい。
    求愛する男/俊一が、佐藤浩市。若い。
    喫茶店の経営をやめて、漁師になろうとする。

    俊一は房次郎の船に乗るが、
    船酔いで ほとんど 漁が できず。
    そして、テグスに巻き込まれて ひん死の状態になる。

    トキ子は マグロを釣ることを優先した 房次郎に
    怒り、絶縁状態に。
    それでも、俊一は 自分で 船を買い
    漁師になるが なかなか マグロを 釣ることができない。

    房次郎の もとツマ アヤ/十朱幸代 にあい
    わずかの間に 復縁するかに思えたが、
    結局は 暴力を ふるう 房次郎に 愛想を尽かす。

    房次郎は 限界を感じ 漁にでるようにしなかったのだが、
    俊一が 漁に出たまま 帰ってこない という
    トキ子の話で 俊一を迎えにいく。

    厳しい自然環境の中で
    たった一人で 大きなマグロを つりあげる。
    それは ギャンブルに近い 闘いでもある。
    暗いトーンの 大きな海の持つ 自然の厳しさに
    寄り添うように いきている 人々が
    たくましくもあり,たよりげだった。

    最後の 海を見つめる夏目雅子の 後ろ姿が
    この映画の すべてを語るようだった。

  • 何よりも、まず夏目雅子が美しい。そして、相米監督の徹底した演出が、迫力あるリアリズムを生んでいる。佐藤浩市が釣り糸にからまれるシーンがすごい。

    緒方拳が本当にマグロを釣っているのかは、画面上では判別不明だが、釣っているにしろいないにしろ、「釣っている」と見えること自体、相米演出あってこそだろう。

    【ストーリー】
     小浜房次郎は、娘トキ子が結婚したいという、町で喫茶店をやっている青年・依田俊一に会った。彼は養子に来て漁師になっても良いと言う。マグロ漁に命賭けで取り組んできた房次郎は、簡単に漁師になると言われて無性に腹だたしく感じた。店をたたみ大間に引越してきた俊一は、毎朝、房次郎の持ち船(第三登喜丸)の前で待ち受け、マグロ漁を教えて欲しいと頼む。
     十日以上も俊一を無視し続けた房次郎が、一緒に船に乗り込むのを許したのはエイスケの忠告に従ったからだった。エイスケに指摘されたとおり、房次郎はトキ子が、家出した妻アヤのように自分を捨てて出て行くのではないかとおびえていた。
     数日間不漁の日が続き、連日船酔いと戦っていた俊一がようやくそれに打ち勝ったある日、遂にマグロの群れにぶつかった。そして、餌がほうりこまれた瞬間、絶叫がおきた。マグロが食いつき凄い勢いで引張られる釣糸が俊一の頭に巻きついたのである。またたく間に血だらけになり俊一は助けを求めるが、房次郎はマグロとの死闘に夢中だ。
     一時間後、マグロをようやく仕留めた房次郎の見たのは俊一の憎悪の目だった。数ヵ月後に退院した俊一はトキ子と一緒に町を出ていった。一年後、北海道の伊布港に上陸した房次郎は二十年振りにアヤに再会する。壊しさと二十年の歳月が二人のわだかまりを溶かすが、アヤを迎えに来たヒモの新一にからまれた房次郎は、徹底的に痛めつけ、とめに入ったアヤまで殴りつけた。
     翌日伊布沖でマグロと格闘していた房次郎は、生まれて初めて釣糸を切られ、ショックを受ける。
     大間港に、すっかり逞しくなった俊一がトキ子と帰って来た。ある日、俊一の第一登喜丸の無線が途絶えた。一晩経っても消息はつかめず、トキ子は房次郎に頭を下げて捜索を依頼する。房次郎は、長年培った勘を頼りに第一登喜丸を発見。俊一は房次郎の読みのとおり、三百キロ近い大物と格闘中であった。
     重傷を負っているのを見た房次郎は釣糸を切ろうとするが、「切らねでけろ。俺も大間の漁師だから」という俊一の言葉にマグロとの闘いを開始する。二日間にわたる死闘の末、大物は仕留められた。しかし、帰港の途中、来年の春にトキ子が母親になる、生まれた子が男の子だったら漁師にしたいと告げて、俊一は房次郎の腕の中で息を引き取った。
     厳しい北の海で小型船を操り、孤独で苛酷なマグロの一本釣りに生命を賭ける海の男達と、寡黙であるが情熱的な女達の世界を描く。吉村昭原作の同名小説の映画化で、脚本は、「セーラー服と機関銃」の田中陽造、監督は「ションベン・ライダー」の相米慎二、撮影は「ふしぎな國・日本」の長沼六男がそれぞれ担当。

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