- Amazon.co.jp ・映画
- / ISBN・EAN: 4988013979208
感想・レビュー・書評
-
尊厳死をめぐる愛の物語。
『アザーズ』のアレハンドロ・アメナーバル監督。
実話ベースだそう。
主役の役者がハビエル・バルデムで良かった。
彼のキャラクターが役に軽快さと深淵さを感じさせる。
あとセクシーさも。そういえば昔『スペインの種馬』なんて呼び名がついてたっけ。この役では髪の毛を抜いて役作りに挑んだらしい。相変わらずお顔でかすぎ、顔圧もすごい。
バルデム×女性三人で見事な四角関係ができている。
考えさせられるが、決して難解ではない。
アカデミー賞外国語部門受賞。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
事故で28年間、首から下が動かなくなってしまったラモンは、自ら命を絶つことができないので、尊厳死を希望する。
この映画は尊厳死を推奨するわけでも禁ずるわけでもなく、ただただ一人の死を願う男を描いている。その姿勢がいい。
尊厳死をするために多くの人と交流を持つようになるラモンは、今までにない生の充実を感じる。でも彼は死にたいという気持ちを持ち続ける。 「なぜ俺は死にたいんだ?」 と叫ぶラモンに、人生には答えが出せないものがあることを強く感じた。
死を迎えようとするラモンのものの感じ方、考え方のユニークさがいい。愛とは、生きるとは。。。 同じ障害を持つ神父との対話もおもしろい。
タイトルにもある、自由に動けるラモンの空想シーンは綺麗。よく見ると最後の方で車に乗ったり、人にベット押してもらってる時も同じような視点になってる。そこに意味があるような気もする。
無常だけど後味の悪さはない。考えさせる問題提起の映画として秀逸。 -
若くして事故で全身麻痺になった主人公が、尊厳死を求める話。
スペインでの実話が元になってるそうで…。
主人公は勿論だけど、周りの人間を丁寧に描くことで、生きることの重さをすごく考えさせられた。
うーん、感想を言葉にするのが難しいな。
自分が主人公の立場なら、やっぱり尊厳死を望むだろうし、主人公の家族や友達の立場だったら理解はしてもその選択を哀しむだろう。
どんな形でもいい生きていて欲しいというのはエゴだ。
けれど、愛は往々にしてエゴの形をしている。
持病を持っている女性弁護士の存在がスパイスのように効いている。
最後のシーンで見せた彼女の、混沌としているゆえの無垢な瞳が、むしろ悲しい。
地味だけど、いい映画だった。 -
安楽死、尊厳死について公的に戦った人の記録と結末。
彼の人生の悲しさや孤独感みたいなものが棘のように鋭く細かく描かれていて、でも周囲の人間のすべてに感情移入もしてしまった。全員が同じ時間と愛を共有しながらもみんな結末が違うのがいいな。
主人公のハビエル・バルデムと、義姉のマベル・リベラの演技も素晴らしかった。ハビエルは倒れたフレスを助ける為にマヌエラを呼ぶところ、マベルはずっと静かなんだけど抑えてる家族愛と理解が漂うところが良かった。
割とラストが衝撃的というか「こうなったか〜」という感じだったかな。
もともとジュリアン・シュナベール監督の「潜水服は蝶の夢を見るか」を観て、同じテーマということで本作を観たいと思ったんだけど、今度はもっかいそっちを見返して比較したい。 -
ラモンにとっての愛は「命を終わらせてくれること」だったけれど、彼の家族や友人たちにとっての愛はそれとは違って、でもフリアだけは彼の愛を理解してくれたんだと思った。
-
最初は、うっすーい色の、暗そうな映画だな。
と思ったけど、美しい映画だった。
深刻な題材を扱いながら、登場人物の心の葛藤や、ふれあいを描く。最後にきちんと結論を出すあたりもすばらしい。たまに出てくる空想の場面でドッキリさせられる。 -
MAR ADENTRO
2004年 スペイン
監督:アレハンドロ・アメナーバル
出演:ハビエル・バルデム/ベレン・ルエダ/ロラ・ドゥエニャス
ちょうどスペイン旅行帰りのタイミングだったこともあり、スペイン映画だし、と思って観たんですが、スペイン語はやっぱ全然わかりませんでした(苦笑)。
原作は実話で、四肢麻痺の障害者のひとが書いた手記をもとにしているわけですが、テーマの重さや状況の苛酷さにも関わらずユーモアセンスにあふれた陽気な主人公の性格にかなり救われつつ、でもやっぱりいろいろ考えさせられます。
個人的には安楽死というのはアリだと思っていて、それは映画の中で主人公も主張するように「死ぬ自由」「死を選ぶ自由」というのはあってしかるべきだと思うのですよ。でもなんか、やっぱ安易に結論を出せない問題というか…「自分ひとりの命じゃない」的な、やっぱり周囲の人間の愛情とかも含めて「生かされている」自分もいると思う。
だから、主人公の気持ちがすごくわかると同時に、腹立たしかったのは、最後のほうで彼が「生きてていいことなんかひとつもなかった」みたいなことを言ったとき。私自身は五体満足ですけども、それでそんな風に思うのは贅沢だと思われるかもしれないけど、誰だって1回や2回は「死にたい」って思うことくらいあるじゃないですか。五体満足だって、誰からも愛されない人もいれば、犯罪を犯す人も、狂気に落ちる人もいるわけで、なんかこう、少なくとも周囲の人間は彼を愛して生かしたいと思って献身的に支えてきたわけで、それを全否定するようなことだけは、言わないでほしかったなあというのが本音。
ラストはきっと賛否両論あるのでしょうけど、偽善的な意味じゃなくて、私は素直に肯定できませんでした。しかし映画としては、こういう問題を正面から取り上げていることも含めて、いろいろ考えさせられる良い映画だったと思います。
(2005.10.06) -
尊厳。
尊厳をもって生きる。
尊厳をもって死ぬ。
それがどういうものなのかは人それぞれ違うと思うし答えはなくて常に考え続けていくものだと思う。 -
ラモンを支える家族や友人たちの愛情のさりげなさがよかった。それが当たり前のような。家を出ていく彼を家族が送り出す瞬間にその愛情がはっきりとみえてわかった。未来が悲しすぎるけど。この映画をいつかまた観たくなる気がする。