海を飛ぶ夢 [DVD]

監督 : アレハンドロ・アメナーバル 
出演 : ハビエル・バルデム  ベレン・ルエダ  ロラ・ドゥエニャス  マベル・リベラ  クララ・セグラ 
  • ポニーキャニオン
3.74
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感想 : 81
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988013979208

感想・レビュー・書評

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  • 尊厳死をめぐる愛の物語。
    『アザーズ』のアレハンドロ・アメナーバル監督。
    実話ベースだそう。
    主役の役者がハビエル・バルデムで良かった。
    彼のキャラクターが役に軽快さと深淵さを感じさせる。
    あとセクシーさも。そういえば昔『スペインの種馬』なんて呼び名がついてたっけ。この役では髪の毛を抜いて役作りに挑んだらしい。相変わらずお顔でかすぎ、顔圧もすごい。

    バルデム×女性三人で見事な四角関係ができている。

    考えさせられるが、決して難解ではない。

    アカデミー賞外国語部門受賞。

  •  事故で28年間、首から下が動かなくなってしまったラモンは、自ら命を絶つことができないので、尊厳死を希望する。

     この映画は尊厳死を推奨するわけでも禁ずるわけでもなく、ただただ一人の死を願う男を描いている。その姿勢がいい。
     尊厳死をするために多くの人と交流を持つようになるラモンは、今までにない生の充実を感じる。でも彼は死にたいという気持ちを持ち続ける。 「なぜ俺は死にたいんだ?」 と叫ぶラモンに、人生には答えが出せないものがあることを強く感じた。
     死を迎えようとするラモンのものの感じ方、考え方のユニークさがいい。愛とは、生きるとは。。。 同じ障害を持つ神父との対話もおもしろい。
     タイトルにもある、自由に動けるラモンの空想シーンは綺麗。よく見ると最後の方で車に乗ったり、人にベット押してもらってる時も同じような視点になってる。そこに意味があるような気もする。

     無常だけど後味の悪さはない。考えさせる問題提起の映画として秀逸。

  • 実話を元にーという映画。
    ストーリーはよく練られているが、若干間延びした感は否めない。

    合法的安楽死(尊厳死)を臨む本人。
    それに賛成する者、唾棄する者、協力しようとする者。
    作品の中で多くの登場人物の想いが錯綜する。
    誰が正しいとも言えないし、誰が間違ってるとも言えない。
    (ただし、個人的には安楽死に反対する主人公の兄に与したい)

    最後の日没のシーンは綺麗でした。

  •  若くして事故で全身麻痺になった主人公が、尊厳死を求める話。
     スペインでの実話が元になってるそうで…。

     主人公は勿論だけど、周りの人間を丁寧に描くことで、生きることの重さをすごく考えさせられた。
     うーん、感想を言葉にするのが難しいな。
     自分が主人公の立場なら、やっぱり尊厳死を望むだろうし、主人公の家族や友達の立場だったら理解はしてもその選択を哀しむだろう。

     どんな形でもいい生きていて欲しいというのはエゴだ。
     けれど、愛は往々にしてエゴの形をしている。

     持病を持っている女性弁護士の存在がスパイスのように効いている。
     最後のシーンで見せた彼女の、混沌としているゆえの無垢な瞳が、むしろ悲しい。

     地味だけど、いい映画だった。

  • 安楽死、尊厳死について公的に戦った人の記録と結末。

    彼の人生の悲しさや孤独感みたいなものが棘のように鋭く細かく描かれていて、でも周囲の人間のすべてに感情移入もしてしまった。全員が同じ時間と愛を共有しながらもみんな結末が違うのがいいな。

    主人公のハビエル・バルデムと、義姉のマベル・リベラの演技も素晴らしかった。ハビエルは倒れたフレスを助ける為にマヌエラを呼ぶところ、マベルはずっと静かなんだけど抑えてる家族愛と理解が漂うところが良かった。

    割とラストが衝撃的というか「こうなったか〜」という感じだったかな。

    もともとジュリアン・シュナベール監督の「潜水服は蝶の夢を見るか」を観て、同じテーマということで本作を観たいと思ったんだけど、今度はもっかいそっちを見返して比較したい。

  • ラモンにとっての愛は「命を終わらせてくれること」だったけれど、彼の家族や友人たちにとっての愛はそれとは違って、でもフリアだけは彼の愛を理解してくれたんだと思った。

  • 最初は、うっすーい色の、暗そうな映画だな。
    と思ったけど、美しい映画だった。

    深刻な題材を扱いながら、登場人物の心の葛藤や、ふれあいを描く。最後にきちんと結論を出すあたりもすばらしい。たまに出てくる空想の場面でドッキリさせられる。

  • MAR ADENTRO
    2004年 スペイン
    監督:アレハンドロ・アメナーバル
    出演:ハビエル・バルデム/ベレン・ルエダ/ロラ・ドゥエニャス

    ちょうどスペイン旅行帰りのタイミングだったこともあり、スペイン映画だし、と思って観たんですが、スペイン語はやっぱ全然わかりませんでした(苦笑)。

    原作は実話で、四肢麻痺の障害者のひとが書いた手記をもとにしているわけですが、テーマの重さや状況の苛酷さにも関わらずユーモアセンスにあふれた陽気な主人公の性格にかなり救われつつ、でもやっぱりいろいろ考えさせられます。

    個人的には安楽死というのはアリだと思っていて、それは映画の中で主人公も主張するように「死ぬ自由」「死を選ぶ自由」というのはあってしかるべきだと思うのですよ。でもなんか、やっぱ安易に結論を出せない問題というか…「自分ひとりの命じゃない」的な、やっぱり周囲の人間の愛情とかも含めて「生かされている」自分もいると思う。

    だから、主人公の気持ちがすごくわかると同時に、腹立たしかったのは、最後のほうで彼が「生きてていいことなんかひとつもなかった」みたいなことを言ったとき。私自身は五体満足ですけども、それでそんな風に思うのは贅沢だと思われるかもしれないけど、誰だって1回や2回は「死にたい」って思うことくらいあるじゃないですか。五体満足だって、誰からも愛されない人もいれば、犯罪を犯す人も、狂気に落ちる人もいるわけで、なんかこう、少なくとも周囲の人間は彼を愛して生かしたいと思って献身的に支えてきたわけで、それを全否定するようなことだけは、言わないでほしかったなあというのが本音。

    ラストはきっと賛否両論あるのでしょうけど、偽善的な意味じゃなくて、私は素直に肯定できませんでした。しかし映画としては、こういう問題を正面から取り上げていることも含めて、いろいろ考えさせられる良い映画だったと思います。

    (2005.10.06)

  • 尊厳。
    尊厳をもって生きる。
    尊厳をもって死ぬ。
    それがどういうものなのかは人それぞれ違うと思うし答えはなくて常に考え続けていくものだと思う。

  • ラモンを支える家族や友人たちの愛情のさりげなさがよかった。それが当たり前のような。家を出ていく彼を家族が送り出す瞬間にその愛情がはっきりとみえてわかった。未来が悲しすぎるけど。この映画をいつかまた観たくなる気がする。

  • 尊厳とは何だろう。
    人間が、人間らしく生きるということは、
    一体どういうことだろう。

    いくつもの素晴らしい言葉が交わされ、
    意識は海を飛び、
    無意識は海へ還ろうとする。

  • 全身不随になり「依存する生活」に嫌気がさした主人公が尊厳死をかなえるためにいろいろする話。

    生命倫理初心者が見ましょうー

  • 観たのは2~3回目くらい。

    カトリック国スペインにおいて、公の場で初めて「尊厳死」を望んだラモン・サンペドロの余生を描いた作品(キリスト教では命は神から与えられたものであるから、命は自分のものではなく、自殺は神への反逆という価値観がある)。

    「尊厳死」というテーマについて、それに関わる様々な論点が提示されます。
    ◆自分が生き続けることに尊厳はなく、死ぬことが自由への開放だとするラモン。
    ◆そんな彼を介護するうちに、彼の「自由」を許容し始める義姉。
    ◆「神の御望みになる限り生き続けなければ」と語る彼の父親。
    ◆生きること=善という考え方に基づき、五体不満足になったことで、本当の愛を感じることができると諭す神父さま。
    ◆「年上の俺に従え」というように家父長的にラモンの死を拒否する兄
    家族の視点、キリスト教的価値観に基づいた視点、家父長的エゴ、そして「自由が代償の人生など人生でない」というラモンの視点。
    各々が考える、「幸せ」「自由」「命」のあり方がぶつかり合う中で、見ている自分も、何が幸せなんだろう、自由ってなんだろう、という風に考え始めます。


    自分の親、祖父母、兄弟姉妹が、そして自分自身が、様々な理由で「尊厳死」を望むことは、身近に起こりうることだと感じます。その意味で、とても身近な話題だと感じました。

    最終的にラモンは青酸カリを飲んで「自由」になれるのですが、その後がとても切ない。
    自らも認知症の恐れがあり、ラモンに想いを寄せる女性弁護士(名前忘れた)。劇中では「一緒に死のう」とまでラモンに言いよるまでの関係になっていたのにも関わらず、ラストでは認知症が進み、ラモンのことを全く覚えていません。
    記憶が消えてしまえば、誰が生きていようと死んでいようと、どちらでも同じです。(語弊がありますが)神父さんがすがりつづけていた「命」や「生」はこんなにも儚く、脆いものなのだと、最後のシーンがラモンに代わって静かに語りかけてくるようです。

    「僕を本当に愛する人は、僕を死なせてくれる人なんだ」
    「僕がこの状態生き続けることは、失った自由の残骸にしがみつくことなんだ」
    そんな風に言うラモンを前にしたら、あなたはどうしますか。


    余談ですが、物語の舞台になるスペイン、北西部のガリシア地方のラ・コルーニャの風景がに目を惹かれます。
    日本のように緑豊かに連なる山々が美しく、ガリシア地方独自のタイル屋根のお家にも雰囲気があります。

  • (2005年5月のブログより転記)

    公開前から観たいなあと思っていたのに、こんな話だとは全然思っていなくて、その分ずしんときました。
    「尊厳死」という非常に重い問題がテーマであり、またこれはスペインで実際にあった、いわゆる事実に基づいたお話、というものなのですが、この作品自体がひとつの問題定義として存在していて、考えさせられました。
    大学のときに、尊厳死を認めるか?というテーマのディベートをやった記憶があるけど、わたしは「尊厳死を助長するわけでも好ましく思うわけでもないけど、人が自分で意思決定できる自由のひとつとして認められるべき権利である」というような、今思えば随分と幼稚で何の創意工夫もない平面的な意見を述べたものですわ。
    これは単なる一般論で、現実として身近な大切な人が、あのような状態で「死」と望んだら、罪に問われないからといってもそれを幇助できるのか?難しいな。ああでも、やっぱり人の権利としてやはり認めるべきものな気がする。彼は間違っていなかったし、彼らも間違っていなかったし乗り越えて生きていかなければいけないのでしょう。できることなら、そんな局面には遭遇せずに生きていきたいな、と思うわたしは、結局何もわかっていない逃げることのできる人間なんですね。

    まあまあ、そんな小難しいことを考えなくても、とてもいい映画なのでおすすめします。泣ける。

  • 題材は興味深い。答えはない。

  • 尊厳死の話。悲しい作品だ。心に重くのしかかる。でも、考えさせられる良い作品だった。

  • アカデミー賞をとったことに納得。でもあんまり好きじゃない。途中から早送りで観た。
    というのも、ストーリーが奇抜なだけで、これを映画にした意味がよくわからない。おっ、と思わせられるような映像がひとつもなかった。

  • スペインの映画。

    登場人物のそれぞれが魅力的でテーマが
    重い割にはそれを感じさせない不思議な作品。

    窓の外の草原、愛する人、家族との別れ、都市の夕日、
    印象に残るシーンがたくさんありました。

    尊厳死というテーマだけで観るにはもったいない映画です。

  • 一口に<尊厳死>と言えど、そもそも<尊厳>とは何か。生と死は必ずしも表裏一体なのか。いつか向き合うべき<死>と、常に感じるべき<生>の存在が重厚に描かれている。この作品を観て、感じること考えることの多さ深さに圧倒された。主人公のラモンだけではなく、彼を取り囲む家族や弁護士などの描写も丁寧で、無理な話なのにそれぞれ皆の思いが報われればいいと、いつの間にか心の底から願う自分がいた。

  • 役者さんも上手くて、最後まで飽きずに見てしまうけど、悲しい。

  •  四肢まひで28年間寝たきりの男性が、カトリックの国スペインで尊厳死をするまでの話である。そこに男性の詩集の出版、尊厳死を助けようとする認知症にかかりつつある女性、失業した女性、家族などの人間関係が描かれている。

  • Huluで映画を観ようということになってひょいと探し当て、アーメナバルの名前だけで決定した作品でしたが、これは良かった。
    主役のハビエル・バルデムの笑顔がなんとも言えない。

  • 尊厳死をどう考えるか・・・。
    正しいか正しくないか、それは誰がきめるのだろう?
    その答えは見つかるのだろうか。

  • ラモンは首から下をまったく動かすことができない。
    スペインの田舎。20数年もベッドの上で、家族の助けを得て暮らす。
    そこに、女性弁護士フリアが招かれる。彼女は、ラモンが合法的に尊厳死できるよう手を尽くすために現れた。暖かい家族に囲まれたラモンはなぜ死を求めるのか。

    尊厳死の是非にテーマがあるわけではなく、そこに苦悩する人々のドラマに焦点がある。本当に生に向かって生きているのはラモンのほうかもしれない。実在の人物の物語。
    2004年ヴェネチア国際映画祭審査員特別賞、2005年アカデミー賞外国語映画賞

  • 尊厳死という重いテーマを、とても分かりやすく親しみやすく(?)映画にしているなと感心。

    死ぬ自由さえ奪われてしまった時、自分ならどうするか?
    愛する人がいて、愛されているからこその苦しみや葛藤が切なくて胸を締め付けられました。

    ハビエル・バルデムはホントに凄い俳優ですね。
    直前に観たノー・カントリーが吹っ飛びましたもん。

    個人的にはハッピーエンドだと思います。
    選択肢がある間に選択出来るか否か。
    自分に出来るか?

    ・・・多分、出来ないと思いました。

  • シネマカフェというコミュニティで教えてもらったDVDチェック。

    四肢麻痺の人間、つまり自殺ができない人が尊厳死を希望することの是非、といった問題提起もさることながら、映像がキレイ。
    動けないときっていうのは、空想が拡がるし、空の青さ、山の緑が鮮やかに映ること思い出した。

    四肢麻痺での人生がいいことなどなかった、、というのは、重い。五体満足な評者では、どのように思うのかが全くわからない。。

  • 何度観ても素晴らしい。特にハビエル・バルデムの演技力には脱帽。尊厳死という難しく重いテーマの作品ですが、宗教を含め死生観について深く考えさせられる。ラモン・サンペドロ氏の書いた原作を読んでみたくなった。

  • 生きることと死ぬことについて考えさせられる映画。

    「尊厳死」という、私が前から興味のあったテーマを扱っている。

    自分ならどうするだろうとまだ考えている。

  • 考えさせられる映画。

    肢体不自由の人の想いは計り知れないけど、どうして車椅子が嫌だったのかな。風にあたりたいとか景色を眺めたいと思う事は無かったんだろうか。

    自力で死ぬ自由さえ奪われたと思うと、死に執着してしまったりするのかもしれない。

    あまり意識はしていなくても、死のうと思えばいつでも死ねるという自由が、生きる気力になる瞬間もあったように思う。

  • 「潜水服は~」を思い出しながら観たんですが こっちも実話だった
    バルデムさんはもう ノーカントリーと同じ人とは思えない

    義理のお姉さんが一番よかったな

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