心の壁、愛の橋<リミックス&デジタル・リマスタリング>(CCCD)

アーティスト : ジョン・レノン 
  • EMIミュージック・ジャパン
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感想 : 1
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  • Amazon.co.jp ・音楽
  • / ISBN・EAN: 4988006835689

感想・レビュー・書評

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  • ヨーコと別居していた「失われた週末」を過ごしていたときに作られたアルバム。
    邦題の優れたものが多い。
    歌詞も寂しげなものが多く、何か共感を覚える時がある。
    しかし、それとは対照的に、その内容をポップで「走り抜けるように」歌っていることが印象的であった。
    そして、ビートリーなアルバムだという印象を受けたのは私だけだろうか。

    ベスト盤に入っているものは、「真夜中を突っ走れ(WHATEVER GETS YOU THRU THE NIGHT)」と「夢の夢(#9 DREAM)」の二曲でありこのアルバムの「売り」かもしれないが、
    自分にとって心に残っている曲は、「ホワット・ユー・ゴット(WHAT YOU GOT)」と、「愛の不毛(NOBODY LOVES YOU WHEN YOU DOWN AND OUT)」であり、このアルバムをひときわ際立たせている名曲である。

    WHAT YOU GOTでは、「失って初めてそれが大切だって気がつくんだ。失うまでそれが大切だって気付かないんだ。」とミュージアムでは暗く訳されていたが、それが歌では、何かを訴えかけるように元気に歌われている。
    これは、ジョンの空元気なのだろうか、何か行き場のない気持ちを訴えているのだろうか。
    一方では、BLESS YOUでは、「幸あれ」という内容が寂しげに歌われている。

    最後を飾る「愛の不毛」。訳せば「自分がダメでどうしようもない時に限って誰も自分を愛してはくれない」という風になるのだが、こういった感覚は私たちにもあるのではないだろうか。
    一転して曲調が変わるところがまた傑作である。
    「僕に言えることはただひとつ―この世は、ショービジネスさ。」

    その前にある、インストゥメンタルの「ビーフ・ジャーキー」が「愛の不毛」を際立たせている。

    ジョンは、本当の「孤独」を知っている。そして、それと向き合い曲を生み出すすべも知っていたのではないか。だからこそ、本当の「やさしさ」もこのアルバムにはあるように感じる。それが私たちをひきつけてやまないのだろうと思う。

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著者プロフィール

1940年10月9日、イギリス、リヴァプール生まれ。1957年にクオーリー・バンク校の友人たちとクオーリーメンを結成、のちにポール・マッカートニーとジョージ・ハリスンが加わり、ビートルズへと発展する。1962年6月にEMI傘下のパーロフォン・レーベルと契約、リンゴ・スターの加入を経て10月5日に〈ラヴ・ミー・ドゥ〉でレコード・デビューを果たす。1969年9月にビートルズ脱退をメンバーに告げると、同年3 月に結婚したオノ・ヨーコとの音楽活動を開始する。1975年からは主夫として第一線を退くも、1980年11月に『ダブル・ファンタジー』をリリースしてカムバック。それから約3週間後の12月8日夜、ニューヨーク市内の自宅前で襲撃されて死去する。

「2018年 『ジョン・レノン 音楽と思想を語る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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