それから [DVD]

監督 : 森田芳光 
出演 : 松田優作  藤谷美和子  小林薫  美保純  森尾由美  中村嘉葎雄 
  • 東映ビデオ
3.39
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988101121045

感想・レビュー・書評

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  • ちょっと演出が前衛的過ぎる気がする。
    もうちょっとオーソドックスな演出で良かったんじゃないかと。
    実相寺昭雄の映画を観てる気分だった。

  • 「あの青春の、決着はついていない」


    明治後期の東京。
    長井代助は、三十歳になってもあえて定職を持たず、本を読んだり界隈を散歩したり、毎日を気ままに送る思索者である。しかし生活に困ることはない。父・得は大実業家で、兄・誠吾がその事業を継いでおり、次男の代助に多大な援助を与えていたからだ。おかげで、代助は別宅を構え、老婢と門野という書生を置いていた。父や兄は、そんな代助に、早く身を固めろと説き、しきりに縁談を持ち込んだが、その都度、何らかの理由をつけてはそれを拒んできた。そんな代助を、兄嫁の梅子や子供たちの縫と誠太郎が好ましい視線で見ていた。
    ある朝、代助に、親友・平岡常次郎からの便りが届いた。平岡は代助とは異なり、大学を出るとすぐに大手銀行に入社し、地方の支店に勤務していたが、部下が引き起こした問題の責任を負うことになり、辞職し東京へ戻るというのだ。平岡とは三年ぶりの再会になるが、それは、また彼の妻・三千代との再会をも意味していた。三千代は、かつて大学時代、代助が想いを寄せていた女性で、親友・菅沼の妹であった。が、平岡もまた三千代に惹かれていることを知り、自らの義侠心にのっとった友情で、三千代を平岡に嫁がせたのであった。
    上京した平岡は、明らかに変っていた。彼の三年間の社会人としての生活は、平岡を俗人に変貌させていた。金のために働くことには意味がないと言う代助に、それは世に出たことのない男の甘い考えにすぎないと、平岡は非難をあびせた。が、そんな代助に、平岡は自分の就職の相談を持ちかけるのだった。
    一方、三年ぶりに会った三千代は、生活にやつれている様子はあるものの、以前にも増してしっとりとした美しさを備え、代助の心に不安な胸騒ぎのような感情が湧くのだった。平岡のために、住居を手配し、果ては借金の口ききまで奔走する代助は、やむなく兄に頭を下げた。そんな代助を見て梅子が力を貸してくれた。用立てた金銭のことで幾度となく三千代に会ううちに、代助は、過去に自分が選択した道が誤りであったことを深く実感した。平岡に三千代を譲るべきではなかったと。そして、三千代もまたかつてより押えていた代助への愛が押えきれなくなっている自分におののきを覚えていた。
    一方、家の繁栄のために、長井家とゆかりの深い財産家・佐川の令嬢との縁談を望む得と誠吾は、強引に代助に見合いをさせた。音楽会、食事会と次々に見合いの席を用意し、代助も、素直にそれに臨んだ。
    しかし、縁談が順調に進めば進むほど、代助の中で、ある一つの決意が固まっていた。「昔の自然に今、帰るのだ」。三千代に自分の気持ちを打ち明ける決意をした代助は、思い出のある百合の花を飾り、三千代を家に呼び寄せた。代助の思いきった告白に、三千代は涙を流した。なぜ、もっと早くに言ってくれなかったのか。あなたは残酷な人だ、となじりながら、その中には喜びが含まれていた。「覚悟を決めます」という三千代を代助はみつめた。しかし、この二人の決意は、二人の社会からの離反を意味していた。
    得の家に縁談をことわりに行った代助に、三千代とのことを平岡からの手紙で知った誠吾が罵声をあびせた。ついに、得は、代助に言い切った。「出ていけ!」。
    今は無一文になった代助は、それからを思い、ひたすら、歩き続けるのだった。

  • 夏目漱石原作とクレジットしちゃいけない。酷い。

  • 松田優作はヤクザとかチンピラのイメージがついてたけど、こういう役もこなせるのか
    代助のぼんやりした眼差しと、どこか所在なげな穏やかな口調、首元に漂うだるさ
    バリバリの働き者平岡の、10メートル先にいても聞こえるだろうハキハキした喋り口調と動き、常に伸びた背筋
    この二人の対比によって、原作を読んでいなくとも代助が世間知らずのお坊ちゃまだとわかる

    三千代がラムネをぐっと飲むシーン、良かったなぁ

  • 松田優作の、日本家屋にまったく合ってない身体も含めての代助ぶりが見事。素晴らしい演技。この解釈は面白い。
    百合の花、赤、の使い方も良かった。三千代が花瓶の水を飲むシーンは原作でも大好きだけど、素晴らしい映像化がなされていて感激。
    ラムネを飲んであのキラー台詞を言うところも良い。
    最後は赤い影だけだったのが少し物足りなかったかな。でもあの赤い影がにょきっと現れるのにはゾクゾクした。んー、あの赤は「こころ」のKを思い出すな。

  • 優作の作品の中で一番好き

    役者の台詞の間・背景・仕草・・・・など、すべてにおいて美しい・・・

    ‘におい’を感じる作品

  • キッチンの監督。

  • 森田芳光監督作品。淡々と。

  • 働くことと働く人を確かな価値観の上に軽視する主人公、
    裕福な家庭に生まれ、高等遊民として毎日を過ごす。
    好きな人を心から愛していながらも、その人を自分のものにしようとしなかった。
    その罰が苦しみとして今になって回ってくる。

    美しい日本語。美しい風景。雨に打たれる花。夢のような明治の世界。

  • 小説より先にこれをみてしまった

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著者プロフィール

1950年、東京都渋谷に生まれ育つ。日本大学芸術学部放送学科卒。81年、「の・ようなもの」で監督デビュー。「家族ゲーム」で数多くの映画賞を受賞。以後、「それから」「失楽園」「阿修羅のごとく」など次々とヒット作を放つ。2011年12月、急性肝不全のため死去。享年61。

「2015年 『小説 の・ようなもの のようなもの』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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