エレニの旅 [DVD]

監督 : テオ・アンゲロプロス 
出演 : アレクサンドラ・アイディニ  ニコス・プルサニディス  ヨルゴス・アルメニス 
  • 紀伊國屋書店
3.62
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本棚登録 : 67
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4523215015523

感想・レビュー・書評

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  •  この映画について、このタイミングで書くことになろうとは思いもしませんでした。今(2011年3月)、テレビもラジオも災害情報を報じ続けていて、水害の映像に胸が痛みます。ためらいもあるけれど……、こんな時だからこそ、水が印象的に登場する傑作として、『エレニの旅』を挙げることから逃げずにいたいと思いました☆

     決して映画の中身が幸せなものでなくとも、アンゲロプロス作品と出会えたのは圧倒的な幸福でした。何作も観ました。どれもが素晴らしかった! 空も草も静かに青ざめ、土は冷たく湿ってる★ その「色味のない色遣い」で映るもののすべてを、凍えるような思いで観ながらも魅了されたのでした。

     ある一人のギリシャ人女性が水のように生を流れ続ける『エレニの旅』も、印象深い作品の一つです☆ 一か所に落ち着くことなく、旅しなければならないエレニ。彼女を押し流す力があるのです。映画全体を浸し、村を沈めてしまう、「水」のような力――

     当時のギリシャ人の生は政情と切り離すことが不可能。エレニさんもごく平凡な女性らしいのですが、平凡ということも激動の内側にあるのです★
     エレニを押し流す「水」は赦さないのです。一つの場所に留まること、根づくこと、愛するひととともにあること、人として当たり前の願いを、あたかも罪悪であるかのように。
     悲劇に違いないのに、彼女を打ちのめす「水」の厳しさをえんえんと撮ったその映像は美をたたえ、気高ささえ感じさせます。そして、「かわいそう」「痛ましい」というお安いクローズアップで解決をはからず、エレニは流れに流れてゆくのです。

     生きることに、着地点なんてない。生は自分の思い通りには運ばず、さまざまなことが起き、説明なんてつかない。水とともに流れるしかないのでしょう。
     楽しい話ではないので、エレニを観たことをずっと重荷に感じていたけれど、今は奇妙にすっきりしています★

  • 水に沈む村、いかだに乗って送り出される死者、大木にぶらさげられた羊たち、風にはためく無数のシーツ……最初に画のイメージがあってそこからエピソードが生まれたんじゃないかと思うくらい映像の一枚絵としての強度が高い。エレニたち夫婦を送り出す楽団の演奏シーンのような、思いやりに満ちた美しい瞬間もあるが、そういった幸福な記憶は銃声や怒号によっていつも中途半端なかたちで終わってしまう。繰り返し状況に打ちのめされ、終始うなだれるだけだったエレニがこらえきれずに最後に上げた声がどこにも届かないものであることが辛い。
    “看守さん、私は難民です。いつどこへ行っても難民です。……”

  • どんなに映画として優れていても好きになれない作品もあるし、優れた作品とは言えないけれど、好きな作品もある。
    だから映画は面白いのだけれど、本作は私の中では前者にあたります。

    作品の冒頭ですぐに、この監督の力量が並々ならぬものだということが分かります。
    とても優れている作品かと思います。
    ですが、やはり好きにはなれないんですよね。
    もう一度観たかと問われれば、答えは「ノー」です。

    主人公エレニの過酷な人生があまりに辛く、あまりに重いからです。
    そんな人生の中にも、美しい瞬間、幸福な瞬間は存在するのですが、なにせ本作は辛い部分が多すぎます。
    中盤からは、本当に観るのが辛かったです。心理的に。

    しかしながら、ギリシャの巨匠と呼ばれるテオ・アンゲロプロスの映像美は感嘆ものでした。
    映画好きなら一度は観ておくといい監督さんかもしれません。

    先日お亡くなりになられたテオ・アンゲロプロス監督のご冥福をお祈りしての追悼レビューでした(あんまり良いこと書いてませんが。。。)。

    (2004年 フランス/ギリシャ/イタリア)

  • 対象を静かに写し取るカメラワークが素晴らしかった。

  • 最初から結構ヘビィな感じで。

    途中から(?)戦争も絡んできたりして、
    また後半ちょっとヘビィな感じになって。


    約3時間の映画。
    ゆったりとした。

    中盤は音楽に溢れている。

  • 希神話がモチーフでない映画。仏、伊、希で作った映画でヨーロッパ映画賞にもノミネートされた作品。露革命の影響で運命に翻弄され、大道芸人となった主人公達の人生が描かれた質の高い映画。

  • ひたすら映像美に凝った映画
    一瞬一瞬の画面を楽しめる方にはおすすめ、なのかな
    ただ私にはちょっと?うーん、難しい!

  • NHK BS2にて2010/08/27/Fri 00:15〜03:05鑑賞。

  • こんな静謐で美しい映画は久しぶりに観た。
    はっと息を呑む絵画のようなカットがどんどんこぼれてくる。
    音楽もぴったりと映像に合っていて視覚を邪魔しない。

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