殺人に関する短いフィルム [DVD]

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監督 : クシシュトフ・キェシロフスキ 
出演 : ミロスワフ・バカ 
制作 : クシシュトフ・キェシロフスキ 
  • ショウゲート (2005年12月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988102189938

殺人に関する短いフィルム [DVD]の感想・レビュー・書評

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  • 監督のキェシロフスキが語るように、暴力についての映画。前半、殺人の加害者であった主人公が、後半、暴力の被害者となる。クライマックスを肯定する人、殺人という暴力を根拠にクライマックスを肯定する人は、その瞬間に暴力の加害者に転化してしまう。暴力に反対しながらも、暴力を行使せざるを得ない矛盾に気付かない鈍感で恐ろしい人々が、現代にはたくさんいるように思う。無駄のない、とてもいい映画だと思う。

  • ものっすごく好きな映画。
    この映画の着眼点とか語れることは様々あるんだろうけど、自分が着目したのは法をめぐる正義と悪の問題だった。例えば被害者の男は明らかに誰から見てもクズで救いようのないひどいやつだった。道徳的に許されない悪の象徴ではあったけど社会的に裁かれるような行いはしていなかったがために「普通の市民」として存在を許されていた。一方で社会に対する諦念と反抗心を持っている若者は、人を思いやる気持ちはあるのに、行き過ぎてしまい重罪を犯した。故に裁かれた。
    でも、結局それは誰から見てどう「悪」なのか?ルールの問題?ルールさえ守っていれば善良なる市民として許されるのか?
    おそらく弁護士とかはこのテーマに深く興味を抱くと思う。国家の持つ法律という制度への疑問を駆り立てる映画。
    あと単純にポーランド映画を見たことがなかったのでいい作品つくるじゃん、と好感を抱いた。

  • この映画自体の問題ではないが、大島渚の傑作「絞死刑」を見てしまった身としてはどうしてもそれと比べてしまう。大島のほうがずっと先だしね。ただ、絞首刑のシーンで死後に失禁するところを撮っていたり、また看守が必死になってロープを巻き上げるあたりの描写はよかった。でも美術とか、看守などの人物描写がある分、大島のほうがやっぱりいい。
    また、死刑判決を受けたあとの若者の独白もガッカリ感が強い。彼は自分の妹を間接的に殺してしまったことで自暴自棄になったというのだが、そんなことで行きずりの殺人を犯されても困るというもので、ちっとも同情できないし、それは単なる自己正当化でしかないと思う。
    と言った具合に、文句をたくさん並べてきたが主役の若者もいいし、撮影もいい。裁判所で死刑判決が出るまでの話の語り方はとても雰囲気があってよかったと思う。

  • 主人公の持つ閉鎖的な雰囲気が画面からひしひしと伝わってくる程の画面の薄暗さ、視界も心なしか狭い。
    死刑を取り扱った物語なのに、たんたんと話は進む。内容の割りに客観的と言うか、熱く語る人を冷たく映してると言うか。
    問題に対する自分の無関心さを指摘されてるような気持ちになった。

  • カメラの一部をフィルターみたいなもので覆っている。その「暗さ」が映画全体に与える雰囲気が効果的だ。

    ざらっとした空気と、東北の寒村のようなポーランドの風景が、何とも言えず、「いいね!」

    【ストーリー】
     青年は、タクシーを拾い、町外れの川堤まで走らせた。停車させた所で、その青年は突然バックから白いひもを取り出し、タクシー運転手の首を後ろから締める。
     強く抵抗する中年男のハンドルを握る手を棒で叩きつぶし、車から引きずり出した青年は、血だらけの男の顔に毛布をかぶせ、大きな石を両手で掴んで一撃二撃と降りおろした。弁護士は彼の死刑中止を訴えたが、その熱弁も空しく、ついに最後の朝がやって来くる。
     ある一人の青年が衝動殺人に至り、そして極刑を執行されるまでを克明に追って描いた。ポーランドの抱える様々な矛盾や問題点をしっかりした視点で捉え、告発する姿勢を保ち続けているクシシュトフ・キエシロフスキー監督の描くこの作品は、まるでこの主人公の後をつけて撮った様なリアリズム溢れるドキュメンタリータッチの映像に加え、常に冷めた視線でこのテーマを描いている。
     もっとも根源的な人間の抱える矛盾と常に対峙して来た、キエシロフスキー監督がが提示する強烈なメッセージである。

  •  何かにおもねることもなく、情に流されることなしに、痛みに満ちたものをもあるがままにざくざくと撮りきる。監督の特徴だが、これほど冷静に観察に徹したものは、他にないだろう。

     突き放した視点で見れば見るほど、殺した者も殺された者も、刑を受ける側も裁く側も、誠意のある人間もない人間も、みなが加害者であり被害者として、この目に映ってくる……

     だが、殺人は殺人、刑罰は刑罰で、暴力は暴力でしかない。暴力そのものとして、それ以外の見方にぶれることなく、映画はみつめ続ける……


    Review Japan掲載評<暴力は暴力として暴力そのものをみつめて>より

  • ワルシャワ、ポーランドなどを舞台とした作品です。

  • 旧約聖書の十戒をモチーフに撮られた『デカローグ』。それは、キューブリックに「過去20年で最高の映画」と言わせただけあって、第2話を筆頭に珠玉揃いなのだが、第5話の「殺人」だけは90分という尺に置き換えられたこの作品で観た方がいい。映画はプロットだけではないと改めて確信させてくれる。この衝撃作によって自分の映画に対する姿勢を変えさせられたのだ。個人的には入れ歯のシーンが強烈。

  • この監督の作品では一番問題作扱いされている代物。実際に問題作だけども。死刑を題材にした映画はいくつかあるけれど、これほどまで淡々と残酷なのはないと思う。ポーランド映画の真骨頂

  • 全体の色調もトーンも重い。観た後すぐに立ち直れない…。物語の展開の結末に異議は無い…のに、なんでこんなにやるせなくなるんだろう。
    私的な殺人も、公的な殺人も、観てて重い。
    被害者にとどめをさすべく、石を持ち上げて頭を叩き潰そうとする。しかしそれが出来なくて…どうしたかと言えば、石をもっと低い位置に持ち直し、勢いをつけて打ち付ける。
    あの些細な部分にゾワッとする。殺すことには変わりない。けど、わずかな事でだけど、そうかも知れない…と思ってしまう。出来るだけ酷い状況を目の当たりにはしたくないのだ。彼だって、自分でやったくせに「ひでぇ…」とつぶやいている。
    公的な殺人、死刑もそう。殺害される側よりも、機械的に殺人をこなしているようにみえながらも、でもやはり平静ではいられないのだろう方に目が行く…ロープを巻き上げている人の、義務的なかけ声が消えない。死刑囚の叫びよりも、そっちの方が辛かった。

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