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- / ISBN・EAN: 4988104033611
感想・レビュー・書評
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かなり面白い映画でした!同じミフネ主演、三船プロ+岡本喜八監督作品の『血と砂』よりはこっちの方が好きです。★5じゃない理由、減点ポイントはミフネの年齢的に無理がありすぎるところ(笑)。当時49歳で18~9(かもうちょい上?)の役柄・・・。ミフネのキャラクターは、『七人の侍』の菊千代からの流れそのままで、ここはとても楽しくて良い。
タイトルにもなってる『赤毛』ですが、いわゆるシャグマってやつ。さらっと調べたけども、今の定説だと官軍指揮官がシャグマを着けたのは江戸城開城後で、赤=土佐、白=長州、黒=薩摩なんだとか。赤報隊のお話だけども、赤報隊ってこんなシャグマつけてなかったのでは・・・。他の舞台作品とかでも赤報隊=シャグマみたいになってますが、この流れは一体どこから来たのかよくわからない。Google検索だと『るろうに剣心』がいっぱい出てきますが(笑)、あれ相良総三と赤報隊って出てくるんですね。全然読んだことないからわからないですけど、剣心でもシャグマを着けてないですよね。着けてたらアレなのかもしれないけど(笑)。
映画だと、そういう改変されたところには改変されたなりの、なんらかの意図があると考えますが、ひとつは赤報隊の「赤」というイメージに直結させる為のシャグマ。劇中だとシャグマが錦布・錦旗と同様の意味として用いられてます。水戸黄門の印籠みたいなもんですよね。
もうひとつはこれ、「革命」のお話だからなんじゃないかと。ゾンビ映画でも何でもいいんですが、時代とリンクしてる作品はウケたり、その逆で作品というのは時代性と切っても切れない。この映画が公開されたのは1969年なので、どうしてもそういう「革命」の部分が重要だと思わされます。
これは僕自身の反省でもありますが、高校生の頃は選択で世界史を取ってたんで日本史は全然詳しくないんです。「革命」というとどうしても戦後の妙なイメージや海外のイメージで捉えられる気がするんですが、日本にも革命があって。明治「維新」って言われてますけど。江戸城は無血開城されたけど、戊辰戦争ではほんとに多くの血が流されてる。
歴史ってのは絶対に「今の我々」に地続きなんです。'80年代で「古い」とか'60年代で「古い」とか、感覚は人それぞれだと思うけど(笑)、色んなものを観たり聴いたり読んだりすると、大戦中のこととか全然古い気がしない。もっと遡って幕末でも古いと感じなくなる。幕末って比較的最近だよなあって。
なんで学校の授業で歴史を学ぶか?なんで最近のドラマでも延々と歴史ものをやるか?って、理由は一緒ですよね。
ひとつは、これまでしてきたことを学んで過ちを繰り返さないこと。
もうひとつは、人間なんてたかが知れてて、昔の人も今の人もそんなに変わらない。共通してる点が当然あるからなんです。だから歴史ものにしろゾンビものでもなんでも良いんだけども、「自分のこと」として捉えるのが非常に重要ですよね。映画も小説も一緒だけれど、そういう作品は過去の人間と現在の人間をつなぐ、一種の翻訳装置に成り得る。
この映画、全体としては当然娯楽作品!
前半はわりと淡々としつつ、いつもの喜八組の面々・・・伊藤雄之助にしろ天本英世にしろお笑い担当なので当然面白い。だけどクライマックス、終盤3~40分ぐらいのアクションが壮絶!!特に砂塚秀夫と岸田森が最高!
日本のバイオレンス映画史についても語りたかったけど、長くなるのでまた今度にします。詳細をみるコメント0件をすべて表示