大誘拐 RAINBOW KIDS [DVD]

監督 : 岡本喜八 
出演 : 風間トオル  北林谷栄  樹木希林  内田勝康  西川弘志  緒形拳 
  • 東宝
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988104033727

感想・レビュー・書評

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  • BS松竹東急で放映していた『大誘拐 RAINBOW KIDS/1991』を観ました。

    -----story-------------
    「独立愚連隊」「ジャズ大名」の岡本喜八監督が、3人組の若者に誘拐された老女が、それを逆手に若者たちを手玉にとって事件に関わる人々を翻弄するさまを描いた痛快コメディ。
    ある夏の日。大富豪の老女が3人の若者グループによって誘拐される。
    誘拐の報に、老女を生涯最大の恩人と慕う凄腕の警部が捜査に乗り出す。
    一方、誘拐犯が要求しようとしていた身代金が5千万と知った老女は激昂、百億にしろと言い放ち、3人を従え、自ら身代金強奪の指揮をとり始める……。
    主演の北林谷栄が快活で人間味あふれる老女を好演、この年の映画賞を総ナメした。
    -----------------------

    鬼才・岡本喜八が日本推理作家協会賞を受賞した天藤真の小説を映画化した痛快犯罪コメディ作品… 先月、原作を読んで映画の方も観たいと思っていたのでタイミングが良かったですね。

    刑務所を出所したばかりの正義と平太、健次の三人組の若者は、紀州一の大金持ち、柳川とし子刀自を誘拐… しかし、彼らが身代金を5000万円と考えていることに憤った刀自は、何と100億円を要求するよう命令、、、

    かくして誘拐犯と人質の関係は逆転し、おばあちゃんvs.猪狩ら和歌山県警との壮大なる駆け引きが始まった! 世界が注目する身代金受け渡しだが、そこには刀自のしたたかな計算が隠されていた。

    原作にほぼ忠実に老婆誘拐事件の全貌がコメディ・タッチで描かれていました… いやぁー面白かった! 原作も良いのですが、映画の方も良かったですねー 

    何と言っても、誘拐される柳川とし子刀自を演じた北林谷栄の巧みな演技が素晴らしかった! 原作のイメージそのままで、本作品を支えている感じですね… 誘拐する立場だった青年3人が、いつの間にか彼女の指示に忠実に行動するあたりのおかしさや、老婆の知略に翻弄される警察側もユーモラスでいい味を出していましたね。

    そんな中でも印象的だったのはエンディング… 柳川とし子刀自と和歌山県警の井狩大五郎が正面切って対峙しあう様を描いた数分間は、穏やかな雰囲気の中でお互いのせめぎ合いを感じさせる見事な幕切れで良かった、、、

    斬新かつ奇抜でスケールの大きな事件、予想もつかない展開、存在感のあるキャラクター、洗練された文体とテンポの良い話運び、ユーモア精神あふれる雰囲気、そして意外な結末と真相… 原作に負けず劣らずの名作でしたね。

    -----staff/cast-------------
    監督:岡本喜八
    製作:岡本よね子
       田中義巳
       安藤甫
    プロデューサー:森知貴秀
            水野洋介
    原作:天藤真
       「大誘拐」
    脚本:岡本喜八
    撮影:岸本正広
    美術:西岡善信
       加門良一
    編集:鈴木晄
       川島章正
    音楽:佐藤勝
    ナレーター:寺田農
    出演:
     北林谷栄 柳川とし子刀自
     風間トオル 戸並健次(雷)
     内田勝康 秋葉正義(風)
     西川弘志 三宅平太(雨)
     緒形拳 井狩大五郎
     神山繁 柳川国二郎
     水野久美 柳川可奈子
     岸部一徳 柳川大作
     田村奈巳 柳川英子
     松永麗子 吉村紀美
     岡本真実 邦子
     奥村公延 安西
     天本英世 串田老人
     本田博太郎 高野
     竜雷太 佐久間
     嶋田久作 「東京」
     常田富士男 古参刑事
     橋本功 鎌田
     樹木希林 中村くら
     松澤一之 長沼チーフアナ
     藤木悠 和歌山放送社長
     上田耕一 WTV報道局長
     中谷一郎 WTV社長
     山本廉 警官
     大木正司 警官
    特別出演
     山藤章二
     景山民夫

  • 制作年:1991年
    監 督:岡本喜八
    主 演:北林谷栄、風間トオル、樹木希林、緒形拳
    時 間:120分
    音 声:日:ドルビーサラウンド


    ある夏の日の朝、大阪刑務所に仲間の正義と平太を迎えに行った健次は、二人に誘拐の計画を話す。
    最初は反対する二人だったが、健次のねらいは紀州一の山林王・柳川とし子刀自。
    さっそく計画を実行する三人。
    ところがこのおばあちゃんただ者ではなく、やっと山中で拉致に成功した彼らに向かって和歌山県警本部長・井狩の知るところとなれば逃げるのは難しい、と落ち着いた表情で論じ始める始末。
    こうして三人は刀自に用意させた家に身を隠すことになる。
    この家は柳川家の元女中頭だったくーちゃんことくらの家だった。
    そのころ、和歌山県警本部では“刀自誘拐”の連絡が届き、刀自を生涯最大の恩人と敬愛する井狩が火の玉のような勢いで捜査に乗り出して来た。
    連絡を聞いた刀自の子供たちも次々と柳川家に到着。
    騒然とした空気の中、刀自救出作戦が開始された。
    一方、三人は隠れ家で身代金要求の策を練っており、その額が五千万円だと知った刀自はいきなり表情を変え、「大柳川家の当主なんだから百億や!」と三人に言い放つ。
    それによって誘拐犯と刀自の立場は完全に逆転してしまい、事件はいつしか刀自と井狩との知力を尽くした戦いになっていた。
    そしてついに身代金の受け渡しの日がやってくる。それは前代未聞の全世界へ生中継されるにまで至っていた。
    こうした大騒ぎの中で百億は犯人に渡され、事件は終わった。
    三人組はそれぞれの道を歩んでいき、数日後、柳川家に戻った刀自の前に事件の全謀を察した井狩が姿を現わし、刀自はその真実を打ちあけるのだった。

  • 1991年当時の私は映画や読書等、全く興味無く、勿論この映画についても知らなかったのですが、若き頃の風間トオルさんや既に大女優の道を歩んでいた樹木希林さん、名俳優・緒形拳さん、天本英世さん等を観れて感慨深いものもありました。肝心なストーリーなのですが、前科者3人が和歌山の大富豪・柳川家のとし子おばあちゃん(北谷谷榮さん)を誘拐して身代金5,000万円を要求しようと計画するのだが、そのおばあちゃんから3人組に対し、5,000万円なんてはした金じゃなく100億円を要求する様に提案。誘拐された事を全く悲観せずに逆に犯人達に更なる身代金を提案するとし子おばあちゃんの意図するものとは!? 30年前の映画ですのでノスタルジックに観れますし、ストーリーも良いので気になる方は是非、観て下さい。

  • 「誘拐」というシリアスナテーマを、コミカル路線へともっていくのは、やはり岡本喜八監督の手腕によるところが大きい。また、のんびりとした口調でほんわかとしたおばあちゃんが随分ハッスルした演技をしてくれる。
    予想以上に楽しめた。

  • 1991年の作品でキャストが懐かしすぎて仕方がない。今、こんなことはできなよね。

  • さすが、岡本喜八。素晴らしいとしか言いようがない。

  • 「復讐するは我にあり」(1979) を鑑賞してすぐ後であったこともありパッケージの緒形拳の顔に惹かれて手にしただけというきっかけではあったが、そこにはおまけがついてきた。

    おまけその1は岡本喜八監督・脚本作品であったこと。ATG映画祭を通して観た「肉弾」(1968) が自分の中での鮮烈デビュー作品だったとはいえその後にはまだ「大菩薩峠」(1966) を鑑賞しただけにとどまっていた。こうして本作がそこに加わったことは幸せ。彼の作品一覧には他にも気になるタイトルがたくさん。着々と前進してゆきたい。

    おまけその2は北林谷栄。前述の「肉弾」での神々しいおばあさん役の印象が記憶に新しく、最近「となりのトトロ」(1988) を劇場で鑑賞する機会にも恵まれたお陰で、かんたのおばあちゃん役として再会することができたことも二重の喜び。元来ちょい役が多い役者さんであるがゆえ本作での主演女優ぶりとその台詞の多さはかなり貴重。改めて彼女の出演作品歴が多岐にわたっていることに驚かされつつまだまだ観たい作品がたくさん埋もれている。個人的に北林谷栄映画祭を主催しようかなんて思ってみたり。

    脇役陣では樹木希林と天本英世で拍手。おぉ、ナレーターはこれまた「肉弾」での好演が記憶に残る寺田農でありました。

  • 大好きで何度も観ている映画です。
    誰も傷付かない、わくわくして少し切なくて、優しい世界です。
    今回もとても楽しく観ました。
    若者に誘拐された大富豪のおばあちゃんが、誘拐犯の主犯となり、100億円の身代金を要求する…わくわく。
    北林谷栄さんのとし子刀自がとてもキュートで素敵です。全ては彼女の手のひらです。
    樹木希林さんの佇まいはこの頃から、演技しているのかしていないのかわからないほど自然ですごい。そして何気ない仕草も面白いです。
    緒形拳さんや嶋田久作さん、若い岸部一徳さんも好きです。
    虹の童子の面々が微笑ましく思えるほど、とし子刀自と井狩さんの対戦でした。
    ラストシーンのふたりのひとときも好きです。戦い済んで…のような。
    国を相手取った、82歳のおばあちゃんのメルヘンでした。

    今度、ドラマ化されるようで…どうしてもこの映画と比べてしまうでしょうが、楽しみです。

  • 嶋田久作は伊藤雄之助そっくりだな。

  • 久々の視聴。誘拐されたお婆ちゃんが犯人たちを手玉にとって犯行をエスカレートさせていくというプロットが秀逸。で、なぜお婆ちゃんがそんな行動を取ったのかという動機が深いことにも感銘を受けます。身代金受け渡しのアイデアにもうちょっと工夫があれば、文句のつけようがないですね。

    天藤真による原作が傑作なので、この映画のクオリティがその原作に因っているのは確かなのですが、「日本のおばあちゃん」こと北林谷栄の演技もまた素晴らしいのです。やはり日本映画史に残る傑作でしょう。

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