クイズ・ショウ [DVD]

監督 : ロバート・レッドフォード 
出演 : ジョン・タトゥーロ  ロブ・モロー  レイフ・ファインズ  デイヴィッド・ペイマー  ポール・スコフィールド 
  • ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
3.46
  • (15)
  • (44)
  • (70)
  • (8)
  • (1)
本棚登録 : 223
感想 : 32
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4959241930774

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「やらせ」と「ショウアップ」、どちらもやってることは同じことなのだが、言葉の印象はかなり違う。過去もこれからも、テレビのバラエティ番組から「やらせ」がなくならないのは、「ショウアップ」という聞こえのいい逃げ道が用意されているから。その進化系が「ドッキリ」で、本人以外の全員が「やらせ」だと知っていて、最後にネタ晴らしで「ごめんなさい」「だまされるあなたが悪いのよ」で終了。これほど堂々と「やらせ」ができる檜舞台は放送業界が長らく待望していたものだったに違いない。
    こうした悪乗りの影響が、報道やドキュメンタリーにまで侵食していったのは、ある意味当然か。
    主人公役のレイフ・ファインズが若かりし頃のハリソン・フォードにそっくりなのも見どころかな。
    本作は1994年ロバート・レッドフォード監督映画ですが、ラストの孤立無援状態が監督の目指したものだとしたら、少し寂しい。
    ところで、ドラマ『古畑任三郎』の「VSクイズ王」はこの映画を下敷きとしていました。

    『クイズ・ショウ』(Quiz Show)は1994年制作のアメリカ映画。1950年代に実在したNBCの人気テレビ番組『21(トウェンティワン)』をめぐるスキャンダルを、ロバート・レッドフォードが監督して映画化した。原作者はリチャード・N・グッドウィンであり、映画にはディックとして登場する。
    ストーリー:
    1950年代後半、アメリカではテレビが勢いを増し、民衆は裕福な生活を渇望している時代だった。高額賞金で国民的人気のクイズ番組「21」で連勝中のユダヤ人、ハービー・ステンペル(ジョン・タトゥーロ)は、華のないその容姿からスポンサーである製薬会社から疎まれており、番組制作会社のプロデューサー、ダンとアルはハービーに代わるヒーローとして、クリスチャンで容貌、教養、家柄において文句のない白人大学講師(週給86ドルと薄給)、チャールズ・ヴァン・ドーレン(レイフ・ファインズ)に目を付ける。ダンとアルはクイズの問題と解答を教えようとチャールズに持ちかけるが、フェアに戦いたいとチャールズは断る。
    最近「21」の視聴率が横ばいなのは、常勝のハービーが視聴者に飽きられているのが原因かとプロデューサーも感じ始め、放送局(NBC)社長からもチャンピオン交代の暗黙の指示が。プロデューサーはハービーをレストランに招き、次回の出演で間違えるように指示する。「1955年のアカデミー作品賞は?」厳重に本番直前まで金庫に保管されているはずの問題を、プロデューサーはハービーに伝えた。現在の賞金7万ドルで手を打つことを強要されたのだ。家に帰りやらせで敗退することを承諾したことを妻に打ち明けると、猛反対されてハービーはプロデューサーの指示に従わない決意をした。
    しかし対決の日、敗退を迫られていたハービーはためらいながらもわざと誤答し、チャールズへの問題はオーディションの時に出された彼の知っているものだった。ついにチャンピオンが交代した。優勝賞金2万ドルを獲得し、やらせの嫌な後味が残るものの、教育水準向上の一助になると言いくるめられたチャールズは、その後も不正を続けて行く。容姿端麗の独身の白人男性がチャンピオンに変わったことで、番組の視聴率は鰻登り、ついにはNBCはトップに躍り出る。一方冷遇され憤慨したハービーは「21」の八百長を大陪審に告発するものの、なぜか封印されてしまう。
    たまたまその封印の新聞記事を読んだ立法管理小委員会の捜査官、ディック・グッドウィン(ロブ・モロー)は封印ということに不思議を感じ、テレビ局の不正を裁こうとニューヨークに向かい、調査に乗り出す。ハービーにはユダヤ人なのによくハーバード大学を出られたなと驚かれる。やがて、コロンビア大学教授になったチャールズの人柄とヴァン・ドーレン一家の知性に魅力を感じ始め、妻から「あなたはユダヤ人のアンクル・トムよ」「チャールズが出ないのはハムレットのいない『ハムレット』」となじられる。ダンらはハービーの精神状態が問題だったという。ハービーも答を教えてもらったことがあると告白。しかし、録画を確認していて、八百長を証明する新たな証人と確かな証拠が見つかる。チャールズは15週目の対戦でチャンピオンの座を降りる。ディックはチャールズが笑っていたといって八百長だという。
    全米放送史上空前の一大スキャンダルに発展する。立法委員会に証人喚問されたハービーがリハーサルもあったと八百長を告白。全米のマスコミが注目する中、チャールズはピューリッツァー賞詩人の父と話し、喚問されていないのに聴問会に証人として出席して不正を認める声明を発表する。ダンたち製作陣は解雇されたが、チャールズの態度は1名を除く裁判官から感動したといわれるが、大学からは辞任を勧告される。ディックは「テレビは勝ち残る」といって、暗澹たる思いに包まれる。(ウィキペディア)

  • テレビのヤラセは今では「そんなこともあるよね」と視聴者側も冷めた目でみるだろうけれど、この実在の事件が起こった時は大スキャンダルだった。誘惑に負けてしまう人間の弱さにハラハラするし、前クイズチャンピオンのステンペルの空気の読めないキャラと新チャンピオンのチャールズの絵に描いたような華のあるキャラも面白い。
    ラスト、後味の悪い結末だけれど現実通りだというのが切ない。

  • いわゆるやらせの話。

    アメリカの人気視聴者参加型クイズ番組のクイズ王は作られたもので、視聴率が伸び悩んだりするとその首を挿げ替えられてしまう。

    場の空気が読めず見た目もパッとしないユダヤ人のステンペルは、名門の生まれで頭もよいイケメンのヴァン・ドーレンにクイズ王の座を奪われ、テレビ界から干されたことを恨んで、そのクイズ番組はやらせであることを法廷に訴える。

    立法管理委員会のグッドウィンは、テレビ界の不正を暴くために公正に調査を行うが、そうすればするほどステンペルの俗物臭が鼻につき、ヴァン・ドーレンに友情のような物すら感じ始める。
    しかしヴァン・ドーレンの証言なしに不正を証明することはできないのだ。

    “私は子供のように、自分のしたことは消えると思ってました。
    でも馬鹿げた夢でした。
    私は怖かった。私は確固たる信念がなかったからです。
    私を救う道はひとつ、真実を述べることです!
    陳腐な表現ですが、私はやっと自分を取り戻しました。
    私は今迄、『役』を演じてきたのです。
    私は、自分以上の実行力をもった男を演じてきたのです。
    私は運に恵まれ、私は、自ら泥にまみれて、人生を築くことをしないで借り物の翼で舞い上がっていました。
    その結果が今のわたしです。全てが安易にすぎました。”

    ヴァン・ドーレンは法廷で真実を語り、結果、勤め先の大学を追われることになる。
    対してテレビ局は、担当プロデューサーこそ更迭されたが数年で復帰。社長やスポンサーは最後まで知らぬ存ぜぬをとおして逃げ切る。

    グッドウィンとヴァン・ドーレンが友情をはぐくんでいくところがとてもよかっただけに、テレビ界の不正を追っていたはずが個人の責任に矮小化されてしまったグッドウィンと、その後の人生をひっそりと生きたヴァン・ドーレンが残念でしょうがありませんでした。

    しかし、しょせんクイズ番組なのです。
    問題をまたは答えを教えてもらうことが、やらせで作られたクイズ王が、そんなに悪いことなのだろうか?と考えてしまいました。
    視聴者が望むものを見せる。
    真実を見せる。
    その線引きは、誰がどのように決めるべきなのか。

    個人的にはドラマでは上手に嘘をついて世界を構築してほしいし、バラエティでは作り物でない笑いを見せてほしいと思うけど。

  • 心理戦の巧妙さと、
    人間のもろさのようなものが交錯する物語に、
    世の中にはおもしろい映画があるものだと、
    子ども心ながらドキドキと興奮し、
    感動した記憶がある。

    ロバート・レッドフォード監督だったか。
    改めて観てみたい。



    懐かしい!
    これも21年も前の作品か…。
    10代の頃、たくさん映画を見ていてよかった。

  • 1950年代アメリカの人気TVクイズ番組で行われた不正の裏側を描いたロバート・レッドフォード監督作品。
    同業者が過去の不正を映画化するのは、とても勇気のいる事だと思います。
    主演のレイフ・ファインズは「イングリッシュ・ペイシェント」であまり良いイメージがなかったけれど、この作品は良かったです。キレイなお顔だと初めて知りました。

  • 1994年公開
    監督 : ロバート・レッドフォード

    豊かな暮らしに誰もが憧れた50年代アメリカの象徴的なクイズ番組で起こった、八百長疑惑事件の実話をもとにしたお話。

    冒頭、放送時間に間に合うように、
    人々が一斉に家路を急いだり、
    家族どころかご近所さんまで茶の間に集合したり、
    アメリカンドリームとして名もない若者が祭り上げられていたり、
    なんだか当時の、みんなが大体同じ豊かさを向いていた日々の描写が、
    とってもみずみずしくて一周回って新鮮でした。

    スポンサーがうるさいとか、
    視聴率を気にするディレクターとか、
    その辺の描写もいかにもっていう感じで楽しめました。

    後半、訴訟になって証拠集めに奔走する捜査官目線になってから、
    ちょっとなかだるんだ感は否めませんが、
    総じて、なかなかおもしろかった、というのと、
    メディアと人々との関係性についていろいろ考えさせられる作品でした。

  • 米NBCの人気クイズ番組「21」で1950年代後半に起きた八百長問題に題材を取った作品。勝ち残り式のクイズ番組で、毛並みの良いイケメン(レイフ・ファインズ)を勝ち残らせて視聴率を稼ぐため、イケメンをそそのかし、クイズの答えを教えたり、他の出演者に対しては、イケメン対戦でわざと負けるよう要請などしていたというもの。

    若い捜査官が調査に乗り出し、八百長の証拠を掴むが、当時はクイズ番組における八百長を違法とする法律がなかったため、案の定、問題の末端であるイケメンと外部プロダクションが社会的制裁を受けただけで、NBC本体と、八百長を促したクライアントについては不問に付されたということ。ただ、この事件の後でクイズ番組の八百長を罰する法律が立法化され、高額賞金のクイズ番組が減ったらしい。そういえばアメリカはクイズ番組少ないなという印象を持っていたのだけれど、この件と関連があるのかな。ただ、基本的に誰が損するというわけでもないし(対戦相手もしぶしぶ同意)、娯楽番組で楽しませているわけで、視聴者もジョン・タトゥーロよりレイフ・ファインズを長く見ていたいし、アイゼンハワー大統領はとても怒ったらしいが、誰のどういう法的利益を守るために罰が正当化されるのかと考えると面白い。

    父親と叔父がピューリッツァー賞受賞者という軽率なイケメンと、家名に泥を塗られた一族が一番割りを食って気の毒だったけれど、教授職を解かれたイケメンは百科事典の編纂者とな
    り、そちらの方がよほど性に合っていると後日語っていたりして、予定調和な八百長追求ドラマよりも、こちらの人間ドラマに焦点を当てたほうが深い話になったような。でも面白かった。

  • 最初の方は「ネットワーク」的な映画かと思っていたら大分違いました。ドラマ性といい……
    途中グッドウィンが調査するシーン、監督をやっているレッドフォードの「大統領の陰謀」と被りました。
    「自分の都合だけでネタを追うのがマスコミか」「テレビは勝ち続ける」この二つの台詞は胸に刻んでおおかなきゃな、と思いました。
    グッドウィンがハーバード卒っぽくなくて、すごくいい感じのキャラクターで好きです。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×