グッドナイト&グッドラック 通常版 [DVD]

監督 : ジョージ・クルーニー 
出演 : ジョージ・クルーニー  デヴィッド・ストラザーン  ロバート・ダウニー・Jr.  パトリシア・クラークソン 
  • 東北新社
3.51
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4933364611307

感想・レビュー・書評

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  • 愛国主義も度を超すと、疑わしき者は一様に罰するようになる怖さを描いた社会派映画。裏付けのない密告や形式的関係性があると疑われただけで、一方的に共産主義者だというレッテルを貼られ、一度張られたレッテルはそうでなくても、職を失わせ家族を崩壊させる結果を招く。(一方、共産主義国家である中国でも1966年「文化大革命」という権力闘争が行われ、妬みや密告などでとんでもない数の罪なき人の命が失われたのはある意味歴史の皮肉か、はたまた歴史は繰り返すのか)
    そうした思想言論の自由という民主主義の根幹を揺るがす「マッカーシズム」という赤狩りに、真っ向から挑んだのがCBSテレビの報道スタッフ。赤狩りに異議を唱えるだけで、自ら共産主義者として標的にされることをおそれて萎縮していたマスコミやスポンサー企業の中で、自らのキャリアや命をかけて職業倫理を守ろうとしたアンカーマンたちの勇姿を描いた作品。カッコイイ大人たちを見られる映画です。
    ここで、なぜ一人の議員の影響がこれほど無視できなくなったのかの経緯を簡単に。
    “ジョー”ジョセフ・レイモンド・マッカーシー(Joseph Raymond "Joe" McCarthy, 1908年11月14日 - 1957年5月2日)は、ウィスコンシン州選出の共和党上院議員(任期:1947年1月3日 - 1957年5月2日)。
    1950年から1953年の間マッカーシーは、政府が内部にいる共産主義者を扱うことに失敗しているという非難をし続けたが、一方で彼が一夜でスターダムにのしあがったことは、力ある国民的追随者とかなりの収入を得ることになった。彼の収入は上院の委員団により調査され、その結果、彼のキャンペーンにおける問題ある行動と財政的な不正行為が明らかとなったが、法律的行動に出るための根拠を見つけられなかった。マッカーシーの赤狩りに告発者として協力したのは、ロナルド・レーガン、リチャード・ニクソン、ウォルト・ディズニー、ゲイリー・クーパー、ロバート・テイラー、エリア・カザンらだった。ウォルト・ディズニーは、激しい右翼として全米にその名が知られていた。また、エリア・カザンは映画界の仲間を売ったという十字架を、生涯背負うことになった。右派の政治家と、右派活動家だったニクソン、レーガンの両名は後に大統領にまで上り詰めたが、ニクソンはウォーターゲート事件のため、不名誉な辞任をせざるを得なくなった。赤狩りでは、いわゆる「ハリウッド・テン」が訴追され追放された。また、チャーリー・チャップリンやジョン・ヒューストン、ウィリアム・ワイラーらも影響を受けた。グレゴリー・ペック、ヘンリー・フォンダ、ハンフリー・ボガードらの俳優は、赤狩りに反対した。
    1952年における共和党の選挙勝利(大統領選勝利は、20年ぶり)には彼の攻撃が助けとなった。敗北した民主党候補者のうち、少なくとも一人は、マッカーシーによる非難に原因の一端がある。選挙勝利後、党の指導者は彼の人気の大きさをリベラルな民主党員を攻撃するための武器と認め、彼を上院政府活動委員会常設調査小委員会の委員長に任命した。しかし彼が信頼できないところ、及び言い逃れしようとするところは、決して党(特にドワイト・D・アイゼンハワー大統領)に完全には信用されていないことを意味した。
    マッカーシーが、批判の矛先をアメリカ陸軍にまで向けたことが、彼の命取りとなった。マッカーシーは、まず陸軍内にスパイ網が存在すると主張したがそれを立証することができなかった。
    マッカーシーの厚顔無恥な攻撃に激怒した陸軍は、反撃に出た。陸軍は、過去にマッカーシーの事務所で働いていて当時徴募されていた兵士デイヴィッド・シャインについて便宜をはかるようマッカーシーとコーンが軍に依頼していたことを暴露し、さらにコーンとシャインが同性愛の関係にあったとみられることをマスメディアにリークした。1954年4月から上院において陸軍・マッカーシー問題特別委員会が開かれ、これがテレビで中継されたことで、アメリカ国民のマッカーシーに対する支持率は急落し、共和党政治家の中にもマッカーシーを見限る者が現れ始めた。
    これとほぼ同時に、ジャーナリストのエドワード・R・マローによるCBSテレビのドキュメントシリーズ「See it Now(今それを見よ)」が放送された。1954年に放送された番組内で、マローはミシガン州空軍予備役のマイロ・ラドゥロヴィッチ中尉が、「父親と妹が共産主義者だという内部告発があった」というだけの理由で、ミシガン州空軍からの除隊勧告を受けたことに対して異議を申し立てた。当然のことながらマッカーシーは自分の方針に沿ったこの空軍の決定に対し支持を与えていた。なお、このような番組を流す動きに対して空軍からCBSに対して圧力があったものの、マローらはこれをはねつけ放送を行った。
    またこの放送に続いて、1954年3月9日に放映された「See it Now」の30分間の特別番組「A Report on Senator Joseph McCarthy(ジョセフ・マッカーシー上院議員についてのレポート)」の中で、当時アメリカ中のあらゆるマスコミが、自分自身が赤狩りの標的になることを恐れてマッカーシーに対する批判を控えていた中で、強引かつ違法な手法で自らがターゲットとした個人や組織への攻撃を行うマッカーシーのやり方を鋭く批判した。この回の放送のほとんどはマッカーシー自身の過去の演説のクリップで、このクリップの中でマッカーシーは民主党を「20年間にわたる裏切り」(1933年 - 1953年)と非難し、陸軍大将を含む証人をどなりつけていた。
    その後番組内における反論の機会を得たマッカーシーはマローのことを、「ソ連の秘密警察と関係がある団体と関係を持っていた」、「政府からテロ組織と指定された団体の構成員であった(これらのような事実はない)」などと非難したものの、マローによるこの一連の放送は、陸軍との対立により強まってきていた大衆によるマッカーシーに対する不信を後押しし、反マッカーシー派を勇気づける結果となった。この経緯は後にジョージ・クルーニーにより『グッドナイト&グッドラック』として映画化されている。なお、ラドゥロヴィッチ中尉への除隊勧告はその後ミシガン州空軍内で調査が行われた結果を受けて撤回された。
    なお、後世に良く言われるように「上院の譴責決議の前にマッカーシーが大衆の人気を失っていた」という報道は事実に反している。マローの番組をはじめとするマッカーシーへのバッシングがピークに達し、上院の譴責決議まであと数ヶ月という時のギャラップ世論調査では、マッカーシーの行動への支持率は50%、不支持率は29%だった。1950年から1954年(マッカーシーの反共運動期間)にかけての同調査では、カトリックのマッカーシー支持者が56%、不支持者が29%、プロテスタントの支持者は45%、不支持者は36%であった。
    マッカーシーは大酒飲みで、このことにより多くの記者との忌憚のない関係が築かれたが、上院での譴責とその後に巻き起こった批判、その結果の没落はマッカーシーに怒りと落胆を引き起こし、身体を蝕んだ。上院での譴責を受けて事実上失脚したマッカーシーはその後表舞台へ出ることもなく、その後急性肝炎でベセスダ海軍病院で1957年5月2日に死去した。48歳没。(ウィキペディア)
    赤狩り協力者として名前の挙がったウォルト・ディズニーやゲイリー・クーパーには驚いた。反対したのは、グレゴリー・ペック、ヘンリー・フォンダ、ハンフリー・ボガードらという事実は記憶しておきたい。

    『グッドナイト&グッドラック』(Good Night, and Good Luck)は、2005年公開のアメリカ映画。
    「赤狩り」の猛威が吹き荒れる1950年代のアメリカを舞台に、実在したニュースキャスターであるエドワード・R・マローとCBSの番組スタッフが、真実の報道のために「マッカーシズム」に立ち向かう姿を描いたノンフィクションドラマ。
    製作会社はワーナー・インディペンデントで、監督・脚本・出演はジョージ・クルーニー。主演はデヴィッド・ストラザーン。全編モノクロである。なお、タイトルは「See it Now」エンディングでのマローの挨拶「Everybody, good night and good luck」(皆さん、おやすみなさい、幸運を。)にちなむ。
    第62回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門正式出品、男優賞(デヴィッド・ストラザーン)と脚本賞を受賞。2006年の第78回アカデミー賞では6部門(作品賞・監督賞・主演男優賞・脚本賞・撮影賞・美術賞)でノミネートされた。またサウンドトラックでダイアン・リーヴスが第48回グラミー賞ベスト・ジャズ・ヴォーカル賞を受賞した。

    ストーリー:
    1958年10月15日、シカゴ。テレビ、ラジオの報道担当者協会(RTNDA)年次総会に集まった報道番組の責任者たちを前にジャーナリストであるエドワード・R・マローの記念講演がはじまる。舞台は過去へ遡る。
    1950年代の冷戦下のアメリカ。ジョセフ・マッカーシー上院議員が中心になって推し進める赤狩り(「マッカーシズム」)が吹き荒れるなか、法的な手続きを無視して「共産主義者」の排除を推し進めようとするだけでなく、自分の意にそぐわないものを「共産主義者」と決めつけ攻撃するマッカーシーの手法に対して疑問をもつ良識的なアメリカ人も多かったが、誰もが自分自身が標的にされることを恐れ、マッカーシーの手法を表面だって批判する者はいなかった。
    しかしそのような風潮の中で、エドワード・R・マローとそのスタッフ達は、マロー自らがホストを務める「See it Now」の番組中で、ミシガン州空軍予備役のマイロ・ラドゥロヴィッチ中尉が、「父親と妹が共産主義者だという内部告発があった」というだけの理由で、空軍からの除隊勧告を受けたことに対し異議を申し立てる。さらに次々とマッカーシー上院議員を批判する材料を取り上げる一同に対し、新聞記事もその姿勢に賛否両論を示す。政府やスポンサー、視聴率の問題など、経営者側は政治的・時事的な番組制作に懸念を持つが、番組は1954年のマッカーシー上院議員に対する議会の譴責決議採択の引き金となった。
    最後は再び1958年に場面が戻る。後々まで語り継がれる有名なスピーチを、マローはテレビを配線と真空管の詰まった箱にしてはいけないと結び、グッドナイト&グッドラック、でスピーチを終える。(ウィキペディア)

  • ジャーナリズムの良心とはこのことなのかもしれない。

  • 1950年代、アメリカに吹き荒れた赤狩りを、堂々批判したCBSの人気キャスターとプロデューサー。モノクロの画像にジャズが流れ、ひっきりなしにタバコの煙がただよう。いやもうほんと、ずーっとタバコを吸っているのだ。仕事をしながら、酒を飲みながら。今のアメリカ社会から見たら卒倒しそうになるんじゃなかろうか。


    タイトル「グッドナイト&グッドラック」は、キャスター・マローの締めくくりの言葉。なんとなく笑顔で言うのかな、とイメージしていたのだが、映画の中のマローはニコリとも笑わない。笑わないどころか、ほとんどにらみつけるように画面を見て、かみつくようにそのセリフを言う。し、新鮮…。


    最後は、CBSの会長から、番組の放送時間変更とスタッフの削減を言い渡されているので、道は険しく続くのかな…という感じなんだけど…でも冒頭で、マローを称えるパーティーが開かれているし……うーん…?


    巨大な権力に、チームで立ち向かう男たちの世界。女は必要なさそうですね、って感じ。ステキではあるんだけど、マロー、あるいはマローとプロデューサー・フレンドリーの内面などに、もっとクローズアップしていてもよかったかも。

  • 事実としては価値があることだと思うが、映画としてはいまいち。

  • 赤狩りマッカーシーに立ち向かうエド・マロー。渋い。
    さすが、フリースピーチの国。

    でも…これはしょせん、
    古き良きアメリカをうつした映画に過ぎないと思う。
    いまどき、エド・マローぐらいの気概を語る人には、
    自己陶酔してるんじゃない?と感じてしまったりする。
    ジャーナリズム不信?

    • komusumeさん
      とりあえず時代背景は理解できている。理解できている人にはすごくいい映画だと思う。

      エド・マローはヒーロー。
      でも、ジャーナリズムを最...
      とりあえず時代背景は理解できている。理解できている人にはすごくいい映画だと思う。

      エド・マローはヒーロー。
      でも、ジャーナリズムを最近白々しく感じてしまう事が多い自分には、カッコイイ!…のか?と、手放しで誉められないところもあった。
      ただ、最後のセリフにはやられた。

      2008/09/13
  • デヴィッド・ストラザーン、時代の空気さえ体現していた。マッカーシーの本人映像と渡り合っていたくらいだし。「激流」の父さん役で出ていたと知り驚き。ジョージクルーニーの顔立ちや台詞回しなんかだと、2000年代というのが露骨にわかるが。

  • 『地球の方程式』より。報道の良心。

  • 好き嫌いあるだろうけど、時間の扱い方が自分好み。
    裏にジャーナリズムの自負、日米の差、現状への不安が匂う。 報道関係者は特に観る価値はあると思います

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