アマデウス (1984年)

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感想・レビュー・書評

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  • 大渕朗先生(理工学部応用理数コース)ご推薦

     ピーター・シェファーの「アマデウス」はミロス・フォアマン監督のアメリカ映画で有名ですが、原作は芝居で、翻訳者の江守徹によれば1979年のロンドン版と1980年のニューヨーク版の二つがあって、映画にも出て来た、灰色の服を着た謎めいた男からの依頼である「レクイエム」のエピソードは、翻訳のニューヨーク版では映画よりずっと凝縮された形になり、劇の最後で非常に効果的な扱われ方がされています。
     この芝居でも映画でも感じる事ですが、人間の才能とは何なのだろうと思います。
     主人公のサリエリはアントニオ・サリエリと言ってモーツアルトの時代には大変有名で影響力のある作曲家でしたが、次第に忘れ去られ今ではその音楽を知っている人は多くありません。そのサリエリを主人公にした芝居です。この芝居でサリエリが会ったモーツアルトは軽薄な野獣の如き不快極まりない人間だったのですが、モーツアルトには普通の出来事をも天国で奏でる様な素晴らしい音楽に昇華させる素晴らしい才能が与えられていました。しかしサリエリに与えられたのは、このモーツアルトの能力が理解でき、しかも自分の能力が二流だとはっきり解ってしまう、こう言う能力でしかなかった。この事を明確に理解したサリエリの叫びにも似た悲痛な台詞(第一幕の幕切れ)は他人事ではありません。才能は不平等に与えられると言うテーマは重苦しいものです。
     サリエリが神を妨害してやると叫び、その神との戦いとしてモーツアルトを破滅させてやると言うのは下品な嫉妬ではなく、サリエリが心の底から神を称え優れた作品を書きたいと思っていた事の裏返しなのでしょう。サリエリは悪い人間として描かれていますが、本当に可哀想に思えてしまいます。
     とても暗い話なのですが、人間とは何なのか、その才能と言うのは何なのかと言う事について深く考えさせられる素晴らしい芝居の台本だと思います。この芝居に基づく映画では、少しばかり脚色が強い気がしますけれど、この芝居の雰囲気に、何とエンターテイメント性まで取り入れられていて(わぉ~!)、良く作られた映画になっていると思います。出来たら両方楽しんで頂けたらなと思います。

  • 映画は2回ぐらい見てもあまりタイプではないけど、戯曲はスピード感があって面白かった!サリエリが自分の感情を観客に向かってダイレクトに伝えてくる姿は迫力を感じた!演劇的な演出ともいえばいいのか、そういった演出にも惹かれた!

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