ヴォネガット、大いに語る (1984年) (サンリオ文庫)

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制作 : 飛田 茂雄 
  • サンリオ (1984年3月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)

ヴォネガット、大いに語る (1984年) (サンリオ文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 以前、友人に借りて読んだものの、もう一度読みたくなって、
    たまたま古本屋さんで発見し購入。運が良かった!

    この本では、「スラップスティック」の構想が語られており、
    そして拡大家族の必要性がこれまたしつこいくらい説きに説かれている。
    彼の言っていることは、他の長編やエッセイやインタビューとなんら代わらない。
    彼は、言ってる事が全部同じ。何冊読んでも同じ。

    しかし、ヴォネガットのエッセイのなかでも、この本と「死よりも悪い運命」は群を抜いて重い。
    内戦が続く現地への取材旅行がどちらにも含まれていて
    (「死よりも」はモザンビークの取材)、そのせいもあるのかもしれない。
    ビアフラのナイジェリアからの独立運動の失敗による、国民の危機的状況は、
    冗談でも言わなきゃやっていられない。
    といいながらも、もうすっかり笑う力すら残っていない。
    そんなヴォネガットが、そこにいる。生々しいのだ。
    人間くさいし、あがき、悩んでいる。

    わたしはこの本を含む、残り3冊のエッセイの再販を、心から望む。
    かつて、エリオット・ローズウォーターは、人生について知るべきことは
    『カラマーゾフの兄弟』の中にある、と言い、そしてこうつけ加えた、
    「だけどもう、それだけじゃ足りないんだ!」。
    わたしたちは、「国のない男」だけじゃもう足りないんだ!

    どうせつくなら、気分のいい嘘をつこうじゃないか。
    未来は暗く、生きることはつらい。それでも人生は続く。
    なあ、赤ちゃん。こんな地球にようこそ。
    でも、きっと人の親切が、君の心を明るく楽しいものにしてくれる。

    アメリカ人のこの作家は、そんなたわごとを一所懸命書き続けてきたおじさんなんだ。
    こんな人がいたなんて、それはきっと素敵なことに違いない。わたしはそう信じている。

    余談:
    原題の「Wampeters, Foma and Granfalloons」は、「猫のゆりかご」にでてくるボコノン教用語。
    「ワンピーター」は「カラース」の中心となるもので、「カラース」は特別な理由もなく人生に関係してくる
    人々の集まりのこと。「フォーマ」は無害な非真実。ボコノン教の経典とか。
    そして「グランファルーン」は、間違ったカラースで、本当はありもしないのに
    何らかの関係があると考えている人々のグループ。たとえば、会社組織とか。なんと辛らつな。

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