半分以上が、「経済学とは何か」という叙述に費やされている。本来は「経済発展の理論」の前に読むべきであったような気はするが、逆をたどってみた。
いくつか気になった要点を挙げてみる。
・客観的な価値は存在しない。価格は実際的に存在し、市場に対する事故の影響を無視する個人の立場から見れば、客観的に見えるに過ぎない。
・個人の具体的行為をも、また具体的経済状態をも、我々は完全に説明しつくすことはできない。そして我々のただ一つの努力は、それにもかかわらずあたかも力学が、運動及び運動する物体の他の諸特性を、詳細に基礎づけることなく運動を記述するのと同じように、我々もまた当然にただ形式的で一般的な内容を持ちうるに過ぎない、何らかの諸命題を見出し得ないか否かを、考察することでなければならない。
振り返ってみると、以上の二つくらいしか思い浮かばなかったが、やはり政策と科学は別であり、科学に党派があるのかと云っている。特に二番目の下りはかなり好きではある。
とはいえ前も書いたが、かなり複雑で回りくどい表現が多い。翻訳はいいのであろうが、シュンペーター自身の文章が周りくどく難解なんであろうと考える。