内臓のはたらきと子どものこころ (1982年) (みんなの保育大学〈6〉)

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  •  当時出版されていた『みんなの保健大学シリーズ・全13巻』のうちの一冊です。うちの本棚には,このシリーズの本(神さんが大学時代の授業で使ったという本)がもう一冊ありました。今はもう見当たりませんが。
     さて,本書は,前に紹介した『胎児の世界ー人類の生命記憶』(中公新書)の著者である三木成夫さんの講演記録です。「プリントの次の項目に入ります…」などという言葉もそのまま収録されていて,臨場感バッチシです。この講演の最後の方に,いま『胎児の世界』という本をまとめているという話も出てきます。というわけで,時代的には,この本の方が先なわけです。

     本書の内容については,『胎児の世界』の中身とかぶるわけですが,先述したように,講演である分,分かりやすいです。この講演を聴いた斉藤公子さんは,本書巻末の付言「内蔵の感受性のゆたかな子に」で,講演の内容を次のように述べています。

    三木先生は、子どもが生まれるや、母の乳房に吸いつき、やがて溢れ出るようになった母乳を十分吸い、六ヵ月頃寝返りができるようになるや、畳を這い廻り、異常な好奇心で畳や手にふれたものをなめ廻し、排泄も膀胱から教わって素直に感受できるように育てられたものは、実に内臓の感受性が豊かに育ち、こうした子どもは満一歳頃から呼称音を伴う指差しが出て、やがて、人間だけがもつ強烈な衝動"遠い世界がみたい"という立上りの衝動で直立をしてゆく、という。これこそ心のめざめであり、人間らしく脳が育ってきたことをみせてくれることであり、その後は一層の好奇心で、歩いていっては、"コレナーニコレナーニ"とくりかえしいうことばの世界を急速にひろげてゆき、思考の世界にはいってゆける子どもに育ってゆくのだ、と話して下さった。「思」という字は脳と心(内臓)を合わせたもの、とは実にすばらしい語源である。(本書183ぺ)
     

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