開幕ベルは華やかに (1982年)

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感想・レビュー・書評

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  • ミステリーとはつゆ知らず・・・。

    実際読んでみると・・・うーん。
    ミステリーとして読むものではない気がします(笑)

    実際前半にミステリー要素は皆無です。
    半ば近くまで読んで唐突に事件が始まり、
    また唐突に新しい人物が登場して、
    事件はいきなり解決します。

    だからミステリーと言われると、
    なんだこれ??って、感じになってしまいますが、
    この本は事件が解決したあとがいいんです。

    解決した後に関係者からの調書の形で、
    人間関係やその人物像が鮮やかに浮かび上がってきます。

    そしてずーっと最初に出てきた人を主人公と思って
    読んでたけど、
    最後にあぁ書きたかったのはこの人だったのかなと
    間違いに気付かされます。
    そこはまさに有吉さんの作品だなぁという感じ。

    最後がよすぎて前半がとても無駄に思えます。
    なんでこんな形を取ったのでしょうね??

    その部分をもっと濃密に書いてくれてたら
    もっとよかったのにと、
    有吉さんにしては少し残念な感じのする作品でした。

  • すっごい久しぶりの有吉佐和子。一時期学生の時はまって読んでいた。再熱の予感。
    これ、調べたら彼女の最期の作品みたい。
    始まりは離婚した夫婦の電話から始まる。元夫は元演出家、現ミステリー作家。元妻は現脚本家。ひょんなことから、大御所脚本家加藤が下りることになった演劇を公開直前になってこの元夫婦に託されることになる。その中で、この舞台演劇のキーパーソンである大女優、八重垣光子に対して殺しの脅迫電話を受け、舞台を延長しながら犯人を追い込んでいくストーリー。

    サスペンスなんて有吉佐和子さんが珍しい、と思ったけど、やっぱり有吉佐和子。人情物語である。

    この本読みながら、この世界は能だけあってはだめで、運も華もないと生き残れない世界なのだとしみじみ思う。そして根性もね。華というのは本人がどうすることもできないものだけど、それを知らぬ間に背負い込んだ八重垣は、周囲を嫌でも脇役に扱き下ろし一歩でも上えと階段を昇っていくしかない運命。だって、能も運も華もあるんだもん。

    最期の解説で、この八重垣さんを否定的には書かれておらず時にはその才能ゆえに肯定し賛美せしているが、その八重垣に一番近い存在だったのは天才的な才能で読者を魅了し続けた有吉佐和子自身なのではないかと述べている。

  • 何か古そうな話だな~っとちょっと嫌煙してたけど、暇に負けて読み出しました。
    だって劇が舞台で、しかも歌舞伎役者チックな御老人がメインでしょ・・・

    そして更に不思議なのが・・・脅迫事件メインの筈が事件自体が本の半分すぎたところでようやく起こる・・・

    いつも血みどろ殺人事件から物語が始まるのに慣れてる自分には違和感がありました。


    でもそのお陰で、登場人物がはっきりキャラ立ちしてましたね。
    特に主演女優!うざいったらありゃしない!
    でも最後には舞台監督が言う用に、『この人はこの性格も含めてすばらしい!』と思える書きかたがすごいと思った。

    ま、一度読んだらそれで良いですけど。

  • 普段知りようもない舞台裏を覗けたみたいで楽しかったです。
    事件が起こる前から半数以上の登場人物たちに、「殺してやる」「撃ち殺す」など物騒な言葉を何気ない会話に幾度となく使わせて、徐々に物語に緊迫感を与えて盛り上げていく所が凄いと思いました。

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