石灰工場 (1981年) (ハヤカワ・リテラチャー〈25〉)

3.00
  • (0)
  • (0)
  • (4)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 9
感想 : 2
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 偏執的誇大妄想狂の言動をほぼ伝聞で偏執的に延々と記述し続ける小説。初めのうちは繰り返しを多用する偏執性の表現に面白さを感じていたのだけれど、コンラート夫妻の膠着状況を聞かされているうちにだんだん気分がじっとりと落ちてくる。どうせわたしも自分の「石灰工場」にこだわって取り返しのつかない状況に陥っているに違いない、今は気が付いていないだけなんだ、という気分になってくる。延々と読んだ結果大したオチもつかないのに、もうそれもどうでもいい。軽く洗脳してくる本。

    栄光の一瞬を求めて待ち続ける点はブッツァーティの『タタール人の砂漠』と共通しているが、こちらは寒々しく身も蓋もない。夫婦が互いを苦しめる部分、とてもリアルに感じた。実はよくある話なのでは。

  • 作者名がデータに入ってませんね。
    トーマス・ベルンハルトです。

    もの凄く異様な小説。狂人の独白、と思いきや独白ですらない。

全2件中 1 - 2件を表示

著者プロフィール

Thomas Bernhard, 1931-1989
20世紀オーストリアを代表する作家のひとり。
少年時代に、無名の作家であった祖父から決定的感化を受ける。音楽と演劇学を修めつつ創作をはじめ、1963年に発表した『凍』によってオーストリア国家賞を受賞。一躍文名を高める一方で、オーストリアへの挑発的言辞ゆえに衆目を集めた。
以後、『石灰工場』『古典絵画の巨匠たち』『消去』『座長ブルスコン』などの小説・劇作を数多く発表。1988年に初演された劇作『英雄広場(ヘルデンプラッツ)』でオーストリアのナチス性を弾劾するなど、その攻撃的姿勢は晩年までゆるがなかった。
1975年に発表された『原因』のあと、『地下』、本書『息』、『寒さ』、『ある子供』が続けて刊行され、自伝的五部作をなした。1989年、58歳で病死。

「2023年 『息 一つの決断』 で使われていた紹介文から引用しています。」

トーマス・ベルンハルトの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×