フィンランド語は猫の言葉 (1981年)

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感想・レビュー・書評

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  • 黒田龍之助さんの『外国語の水曜日』で取り上げられていて、興味をもったので、図書館で借りて読んだ。

    筆者のフィンランド語の留学体験記である。

    フィンランド語について詳しいことは、ほとんど書かれておらず、留学先の大学の授業でのできごとや下宿先のことなどその他たくさんのことが、実におもしろいユーモアを交えた文章になっており、あっという間に読んでしまう。

    この本は、1981年に出版されており、よって、1970年後半が時代背景になっている。
    21世紀のように、簡単に言葉を調べられ、日本との家族・友人とのやりとりも簡単にできる時代とは違い、30数年前は、そのどれもが困難だった時代である。
    まして、フィンランド語という多くの人が学んでいない言語を専門的に学ぼうというのである。
    言語を学ぶ大変な苦労・困難が、実に活き活きと描写されている。とても数十年前の体験・記録とは思えない。

    お気に入りの章は、「フィランド語の古文」と「フィンランド語の方言」など。
    特に後者では、興味深いエピソードがあり、最後の一文がよい。
    語学を学ぶというのは、大学だけでなく、身近なところからも学ぶこともあり、また、語学以上の特別な体験をももたらすということだと。

    フィンランド語は実に難しい言語だと思うが、本書を読んでいると、筆者の魅力的な文章のためだろうか、学んでみたくなる。
    いや、機会があれば、筆者が最初に取り組んだ『フィンランド語四週間』をとっかかりにしたい・・・とおもったが、絶版のようだ。別の本で学ぶしかない。

    ちなみに、書名にもなっている「フィンランド語は猫の言葉」というのは、本書の最後の方に書かれていて、「なるほど」ということである。


    図書館で借りてきた本だが、『外国語の水曜日』と同様に、手元に置いておきたい大事な一冊になった。
    また、語学学習のおもしろさを味わった。

    独学しているドイツ語の励みにもなった。

    筆者に感謝である。

  • フィンランドに3年ほどフィンランド語を勉強しにヘルシンキ大学に留学した著者のエッセイです。
    フィンランドとはというような言語の話はあまりなく、
    留学中に行った旅行の話や、サマーコテージ、コーヒーの話などフィンランドの雰囲気がわかる話でおもしろかったです。
    また、最近書いたのかと思ったぐらい書き方が今どきで42年前に発行されたとは思えないぐらいでした。内容はスマホもなく、国際電話も大変な時代だったんだなぁと
    感じる部分はありましたが。
    フィンランド語は猫の言葉というタイトルの理由は最後の最後にならないとわかりませんが、途中もしかしたらフィンランド語は鶏の言葉?という話が出ていて面白かったです。

  • フィンランド語の訳書をおおく手掛けている著者の、フィンランド留学エッセイ。行った学科はフィンランド語学科とのことだけれど、語学留学というレベルではなくて、言語学を学びに行ったという感じのよう。フィンランド語は他のヨーロッパの言語とも大きく異なっていて、お隣のスウェーデン語とも全然違う(一番近いのはエストニア語)らしい。また、フィンランド語で書物が本格的に著されたのは1500年台が最初とのことなので、言語の歴史としても比較的浅いらしい。今日でも新聞などの公的な出版物にも文法的な誤りが散見されるようで、言語としての確立の途上にあるのかな。
    著者の語り口がとても面白い。冒頭の「芬学事始」は、杉田玄白の蘭学事始になぞらえて、全く見知らぬ言語を学ぶことの困難さを書いているのだけど、ユーモアたっぷりで面白かった。フィンランドの滞在期間は3年間だったようだけど、書かれている出来事が濃密で、10年くらい滞在していたんじゃないかと思っていた。

    カレワラ、ガッレンカッレラ、シベリウスについて調べてみたいと思った。

  • 以前読んだ『世界の言語入門』で作者の黒田さんが紹介していたフィンランド留学エッセイ。

    これはおすすめ!

    留学のエッセイは旅行記のような物が多いけど、これは大学の授業内容やその中での交流などがメインに書いてあって、しかも文章がとても面白い!
    読んだ著者がフィンランド語学者になりたい!と思ったのもわかるわー。

  • なぜ北欧には洗練されたシンプルなデザインが多いのか。
    長年の疑問を文中の一遍の詩が解決してくれました。

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