吉里吉里人 (1981年)

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著者 : 井上ひさし
  • 新潮社 (1981年8月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (834ページ)

吉里吉里人 (1981年)の感想・レビュー・書評

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  • 星雲賞と日本SF大賞をW受賞している作品なので、いつか読もうと思って数十年。本の厚さと文字の小ささにおののきながら、最初の1文を読むと300文字前後あった。これは作者の読者に対する宣戦布告ではないかと思ったら、見事その予感はあたり、苦行のような読書体験であった。長いのは覚悟のうえだったが、会話文の多くが方言で読みにくく、笑えないエピソードや下ネタのオンパレードに、脱線に次ぐ脱線と読者の忍耐力を試すような作者の意図がありありと感じられた。双頭の犬が登場したあたりから少しSFチックなムードが感じられ、後半は前半の伏線が回収されるなどやや読みやすくはなったが、作者自身が文中で言っている通り、よっぽどの物好きでないと読み進めることはないと思う。一番ネックになるのが数多く登場する吉里吉里人のキャラクターが基本的には同じで途中で飽きてしまうということだ。外見は様々なのだがその行動様式や性格は似たようなものなので、後半はまた同じようなのが出てきたなで終わってしまう。防衛、金融、医療などに関して日本の問題点を登場人物に語らせているのも、議論になっていないので上滑りしている感じが強い。小説も生ものと考えると発表から数十年後に読んで文句を言うのもフェアじゃない気がするが、文学作品に時事評論のようなものが混じると作品の価値が下がってしまうような気がする。とは言うものの途中やめしなかったのは結末がどうなるのか気になったからだ。結局吉里吉里国は滅亡してしまうので、作者が吉里吉里人に語らせていた様々な主張を支持しているのかも判断がつかない。読み終わって感じるのはたった二日間の物語をこれだけの文章量に引き伸ばした作者の執念とそれに負けずに読み切った自分の忍耐力に対する称賛の想いであった。

  • この本は井上思想の集大成なのではないでしょうか。
    井上靖の主張自体については賛美両論あります。しかしこの本は読んでいてとても面白いです。

    ぜひ手にとっていただき、国家とは、国防とは、など物語が進んでいく中で考えさせられるテーマをその都度考えてみてください。

  • この小説は、同市の作品の内有名な作品です。

  • つまらなくはない。そして設定は色々考えられていてすごいと思う。
    けど、最後まで読むのは大変だった。厚さ的な問題じゃなく、内容の問題で。

  • 読売文学賞(純文学)と日本SF大賞(SF)を受賞したというとんでもない作品である。何と上下二段組み834頁の大作として1981年に出版された。
    岩手県と宮城県の県境付近にある寒村が日本国にいやけがさして独立するというけったいな話を技術立国というアピールで世界に認めさせようといういきさつを東北弁を駆使して描いている。あんまり長すぎて、一気に読まないと全体の話がわからなくなる。(経験者は語る)

  • 終盤が慌ただしく暴力的だったのには驚かされたが、小国と大国の関係性を象徴していたように感じた。
    主人公に据えられた男の間抜けさが、かえってこの真剣なはずの内容に合っていた。書き手にあたる記録係のわたしの正体も最後の最後で暴露され驚く。
    30年以上も前に、未来を見越したような内容。最初は、出だしの一段落(つまりは一文)が気になって借りたが、引き込まれる自分がいた。
    さすが井上ひさし氏。

  • (1984.08.18読了)(1981.12.20購入)
    第2回(1981年) 日本SF大賞受賞
    *本の帯より*
    東北の一寒村が、突如日本から分離独立した!
    老若男女が痛烈にして珍無類の活躍。おかしくも感動的な新国家を描き大国日本を鋭く撃つ!
    全編ユーモア、爆笑また爆笑の大百科。

    【目次】
    第一章 あんだ旅券ば持って居だが
    第二章 俺達の国語ば可愛がれ
    第三章 吉里吉里人は眼はァ静がで
    第四章 これがまんず最初の切札なんだっちゃ
    第五章 降ってきた煙草の番号はァ一〇〇〇一六一一〇す
    第六章 此処らで第二の切札ばだすべがな
    第七章 双頭の犬は吉里吉里名物なのっしゃ
    第八章 俺達は泣ぐが嫌さに笑って居んのだよ
    第九章 糞喰らえ、とはまごど美すい言葉でがすなあ
    第十章 吉里吉里人ば止めだげりゃ止めだんせ
    第十一章 取って食え、これァ俺の身体でがす
    第十二章 実に珍宝公は男の履歴書なんだっちゃ
    第十三章 俺も今がら吉里吉里人でがす
    第十四章 兄弟は切っても切れねえ五本の指でがス
    第十五章 病棟雑役夫たる俺は、医師と看護婦の指示ば、知的かつ誠実に遂行すっ事ば誓うものでガス
    第十六章 妾の胸さ輝ぐのは三個のナイチンゲール記章でガス
    第十七章 労働銭ンコ制は吉里吉里国の基本理念でごぜーます
    第十八章 妾ァ誉れの吉里吉里綿吹き娘でごぜーます
    第十九章 冷凍人間ば起したのは何処のお節介焼ぎだべな
    第二十章 わし、冷凍睡眠中の世界医学哲学界の巨人なんだもんね
    第二十一章 恋さ心ば乱す者よりも黄金さ心ば乱す者の方が多いんだっちゃ
    第二十二章 貴方ァ第一回吉里吉里文学大賞の栄ある受賞者さ決まり申した。受げで貰えっぺがなス
    第二十三章 ヘリコプターの大群とイナゴの大群と、どっちが怖いべがなス?
    第二十四章 独り立ちしたい者ァこの指さ止まれ
    第二十五章 何人もその思考さ対すて刑罰ば受ぐるごどなし、でガス
    第二十六章 タッチだ、タッチだ、誰が早ぐ俺の手さタッチして呉ろや
    第二十七章 古橋先生てば、化粧の仕方ば教えであげっぺが
    終章 古橋大統領様、其様な事ば喋っては駄目だ!

    ●仙台駅(10頁)
    「しんだぇ、しんだぇ。どなたさまも落ちる方が死んでからお乗りください」

    ☆関連図書(既読)
    「青葉繁れる」井上ひさし著、文春文庫、1974.07.25

  • 新刊で買って,寝ずに読んだ本。
    ハリーポッターの前というときりきり人まで飛びます。

    井上ひさしが,ひょっこりひょうたん島,ネコジャラ市の11人などですきだったことと,何冊か本も読んでいたことと関係があるかもしれない。

  • 東北の一地方が独立宣言を行う、という設定にまず惹かれました。
    本の取材で偶然その地方に訪れていた売れない小説家がその独立した「吉里吉里国」を巡りながら色々な事件に巻き込まれます。

    表皮はシモネタ満載の下品なコメディなのですが、その一枚奥には「国の独立とは何か」という深遠なテーマが流れており、そのギャップに魅了されました。

    「文化武装、文明武装」という単語が作品内に登場します。
    他国に、その国が保持する文化、文明を破壊することで自国にも多大な損失が出る、と思わせることで国を守り、維持するという思考です。
    作品内では、金本位制の独自通貨や世界に先駆けてガンの治療を可能にした吉里吉里国立ガンセンター、そしてその裏に隠されたもう一つの世界唯一の技術などを「国の存在価値」として提示することで独立を成し遂げていく様子が描かれます。
    これこそが資源小国である日本が目指すべき道でないのか、と思いながら読むのですが、しかし次のページでは主人公が女性の尻を追い掛け回しているのです。
    ユーモアとはこうあるべきです。
    名作。

  • いい話なんだけどね、、ちょっと長すぎ。冗長さを感じたので2つ星。シリアスなSFタッチで書くとか、もっと淡々と簡潔な話にするとか。いろいろなバージョンが考えられそう。それだけ、物語の骨子は面白いんだけど。
    中学生の頃、友人が真剣に読んでいて、今度読もうと思って、約30年たちました。ようやく読めたのは嬉しかった。

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