阿Q正伝・狂人日記 (1981年) (岩波文庫)

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感想・レビュー・書評

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  • 日本で言うと明治時代くらいの中国を舞台とした時代小説
    『故郷』などの描写は時代「小説」というより「随筆」の分類に近いが
    『狂人日記』『阿Q正伝』のコメディ(もちろんこの場合「喜劇」と書くべきくうき)「小説」話のほうが
    読み取り手次第で解釈が多様で有用なんであろう
    随筆評論エッセイよりも小説の方がそういう場合において優れていることを良く示している
    「小説」は「ここで作者は何を言いたいのか」がテスト問題作成者次第なのだから
    作者がどう思って書いていようとも

  • 自分の能力では理解できない本であった。「読み終わった」というチェックが心苦しい。

  • 当時の中国情勢や文学者同士の交友に関して興味がある人には良書となり得ると思う。
    特に興味も前知識もなく読むには当時の中国社会は独特過ぎ、文章から情景や心情を察するのに苦労する。

  • 周りの人間は、自分を食べたがっていると思い込んでいる主人公。「狂人日記」というタイトルになっているが、実際にある意味、人間は他人を食べていく生物ではないのだろうかと思えてくる。人間だけではなく何もかもを食べて自分に取り込んでやろうとするのは人間の本質かもしれない。

  • 中学校の教科書に故郷が載っていてそれ以来の魯迅だった。
    正直に言ってあまり好きではない。
    文学としての価値はわかるし、
    一作ずつ読めば面白いと思う。
    でも一冊通して読んでみるとあまりにも心がさむい。
    こんなにも仄暗いうら淋しいところで
    ただ生きるしかなかった大勢の人たち。
    気が滅入る。

    塾で教わった猹の捕まえ方を思い出して
    ちょっと愉快になった。
    でも環境を考えずに育った子供の頃の思い出たちだけが
    救いになりえる世界には居たくない。

  • いわゆる吶喊。思えば、魯迅との出会いは「故郷」で、教科書だった。なかなかいい作品だったが、陰影のような印象が濃く、はまりきれず。今回、読んだ動機は授業で「孔乙己」の原文を扱ったため。当時の口語で書かれているはずだが、今原文で読むと、現代作品である例えば史鉄生や梁暁声のそれに比べて、読みにくい。 「狂人日記」がおすすめ。序文もよい。竹内好氏の訳も簡潔達意。 魯迅の寂寞が根底か。ある意見を賛成も反対もなく、アパシーもて反応された場合に感じる寂寞。その寂寞のせいで思わず吶喊が口から出る。それがこの作品群ということなのだろう。 ややそれるが、興味を覚えたのはここ。中国の現状と覚醒の必要性の喚起。A.「仮に、鉄の部屋があるとする。窓は一つもないし、壊すことも絶対できない。中には熟睡している人間が大勢いる。まもなく窒息し、みな死ぬだろう。だが、昏睡状態から死へとそのまま移行するから、死の悲しみを感じない。今君が、大声を出して、数人の者を起こしたとしたら、この不幸な少数者に、どうせ助かりっこない臨終の苦しみを与えることになる。それでも彼らに対してすまないと思わぬかね?」B.「しかし数人が起きたとすれば、その鉄の部屋を壊す希望が、絶対にないとはいえないんじゃないか」 

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著者プロフィール

本名、周樹人。1881年、浙江省紹興生まれ。官僚の家柄であったが、21歳のとき日本へ留学したのち、革新思想に目覚め、清朝による異民族支配を一貫して批判。27歳で帰国し、教職の傍ら、鋭い現実認識と強い民衆愛に基づいた文筆活動を展開。1936年、上海で病死。被圧迫民族の生んだ思想・文学の最高峰としてあまねく評価を得ている。著書に、『狂人日記』『阿Q正伝』『故郷』など多数。

「2018年 『阿Q正伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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