城の中の城 (1980年)

著者 :
  • 新潮社
3.43
  • (0)
  • (3)
  • (4)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 14
感想 : 4
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (297ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 桂子さんシリーズ第二作目。山田桂子さんとなり、智子さん、貴くんの母となった30歳くらい?の桂子さんの話。面白くて時間見つけては読んでしまうタイプの小説だった。
    夫が秘密裏にキリスト教の洗礼を受けていた、これは家庭内戦争であるという話。付録として付いていた「作家の自由と批評家の不自由」というインタビューもニマニマしながら読んでしまった。これは反キリスト教文学ではなくて、何の変哲もない小説であると。また、もともとキリスト教の人々から「あはれ、心奢れる者よ、蒙昧なる者よ」と憐れまれるのではないか、そうなったらこっちが怒り心頭に発する番だと思ってたのに、、、なんて笑えることを書いている。特に最後の「信に至る愚」というパートは倉橋さん自身のモヤモヤなのだと思うと、なるほどねえと思いながら楽しみました。(どちらかというと自分も桂子さん側の思想なので。あそこまでラディカルには言いませんが)
    最終的には夫君に勝利し、第三子を妊娠した、というところで話は終。この次に発行順で『シュンポシポン』⇒『交歓』と読もうと思っていますが、どうなることやら…。『夢の通ひ路』の黒猫の話で出てきた「夫君」はやはり山田信(マコト)氏なのだなあ。

    あと星野さん経営するロアジスにて林さんとご飯を食べているときに、林さんが知り合いに会って目礼する場面がありました!が!
    …知人と会つたせゐか、林さんはここで長く閑談を続ける気持ちがなくなつたやうに見えた。その知人らしい人に目礼をすると、林さんは玄関の方へ歩きながら小声で言つた。「あそこにゐたのも自殺しさうにないしぶとい男ですよ。不滅なるものを信じてゐましてね…」…(p203)
    この知人!ってもしやもしや入江晃さんだったりします!?伏線引いていますって作者が言っていたので、そわついてしまいました。

  • 収録作: a 人間の中の病気/城の中の城(第一章〜第十七章)/b 信に至る愚

    ■新潮社 1980.11.5
     新潮社版装画 山下清澄
     新潮社版オビコピー「著者十年ぶりの風刺長編小説!」「ある日突然、夫が妻に無断で受洗した 棄教か離婚か? 近親相姦・夫婦交換・一夫多妻主義・禁忌の愛を、キリスト教を背景に描く 久々の風刺文学!」
    ※ 新潮社版オビには「波」1980.11月号掲載の倉橋由美子コメント抜粋掲載
    ■新潮文庫 1984.8.25
      著者覚え書より---各章の出典
      解説/向井敏
     新潮文庫カバー 山下清澄

  • 2009/11/3購入

全4件中 1 - 4件を表示

著者プロフィール

1935年高知県生まれ。大学在学中に『パルタイ』でデビュー、翌年女流文学賞を受賞。62年田村俊子賞、78年に 『アマノン国往還記』で泉鏡花文学賞を受賞。2005年6月逝去。

「2012年 『完本 酔郷譚』 で使われていた紹介文から引用しています。」

倉橋由美子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×