消費社会の神話と構造 (1979年)

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  • マルクスの疎外やソシュールのシニフェシニフィアンなどをもとに展開した論。
     資本主義下の消費社会は効用に算定されることのない生命の充溢と歓喜を自由に解き放つ。 なぜか?欲望を資本の増殖過程の一環に組み込んでいく「消費のための消費」が成り立ち、需要の無限の自己創出が循環するからだ。 そもそも消費社会ではモノはガジェット(不要で使用価値はないが、他との差異を持つ社会的な記号である商品。しかし潜在的無用性と遊び的な組み合わせによる価値を持つモノ)になる。使用価値や本来的機能から遊離し、付加価値によって規定される。
     このような「消費のための消費」の主な具体的な特徴に「ルシクラージュ(recyclage)」というものがある。ルシクラージュは仏語で「再教育」や「研修」、「生徒の課程変更」を意味する 。しかし、ここでは「誰でも左遷されたり取り残されたり排除されたりしたくなければ、自分の知識や学力つまり労働市場における個人の『実戦用装備』を時代の動きにあわせて更新しなければならないこと」を意味する 。他にもシミュラークル(大衆消費によってまがいものが本物と同等ないしそれ以上の価値になるみたいな)とかあるけど。
     結果的にこのような社会が向かう先は「他のモノとの差異」 となる。

  • 「暇と退屈の倫理学」の参考文献

  • 「記号の経済学批判」から数年の時を経てボードリヤールが辿り着いた地平線
    記号として現象し、記号として消費されていく《モノ》の体系の全面解明を試みる
    但し、内容は極めて難解なため、ボードリヤール初学者にはオススメできません

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著者プロフィール

【著者】ジャン・ボードリヤール :  1929年生まれ。元パリ大学教授(社会学)。マルクスの経済理論の批判的乗り越えを企て、ソシュールの記号論、フロイトの精神分析、モースの文化人類学などを大胆に導入、現代消費社会を読み解く独自の視点を提示して世界的注目を浴びた。その後オリジナルとコピーの対立を逆転させるシミュレーションと現実のデータ化・メディア化によるハイパーリアルの時代の社会文化論を大胆に提案、9・11以降は他者性の側から根源的な社会批判を展開した。写真家としても著名。2007年没。著書に『物の体系』『記号の経済学批判』『シミュラークルとシミュレーション』(以上、法政大学出版局)、『象徴交換と死』(ちくま学芸文庫)、『透きとおった悪』『湾岸戦争は起こらなかった』『不可能な交換』(以上、紀伊國屋書店)、『パワー・インフェルノ』『暴力とグローバリゼーション』『芸術の陰謀』(以上、NTT出版)、ほか多数。

「2015年 『消費社会の神話と構造 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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