指輪物語〈6〉第3部 王の帰還 (1977年) (評論社文庫)

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制作 : 瀬田 貞二 
  • 評論社 (1977年4月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (395ページ)

指輪物語〈6〉第3部 王の帰還 (1977年) (評論社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 2016/6/25読了。
    幻想文学の定番と知りつつ恥ずかしながら初読。映画は見ていない。
    著者のトールキンは、この物語が寓話として読まれることを拒んだという。だがどうしたって寓話に読める。指輪を滅ぼし終えて地元に帰ってからの地味な一悶着まで含めて、重なる寓意がまったく何も浮かんでこないようなら、少し社会や国語などを勉強しなおして、周りをよく見て物事の構図を考えながら生きるよう心がける必要がある。世界や戦争という大きな枠組みでなくとも、重ねるべき寓意は僕たちの周囲の至るところにある。最終的には僕たちの頭の中にある。
    この物語は単なるお伽話でも特定の状況の例え話でもなく、あらゆる状況の本質を照らし出す力を持っている。これこそ著者が生み出した現代文学のジャンルとしてのファンタジーの真骨頂だろう。

    ロールプレイングゲームやライトノベルなど西洋風の味が付けてある現代日本のファンタジーは、そのルーツを遡っていくとすべていったん本作に行き着くとよく言われるが、それも合点がいった。
    数十次だか何百次だか分からぬ創作逃避的な表層再生産の元ネタ、あるいはそのような再生産に堕することを避けようとする創作者にとっての基準点。漫画で言うところの手塚治虫、音楽で言うところのビートルズのような、サブカルチャーのDNAのひとつになっているのだろう。本家を知らずにカバーされたリメイクや模造品の方を好む無邪気な消費者が大量に存在するのも、この物語が強靭極まりない定番ブランドであることの証拠だ。

    指輪を滅ぼす旅の最後の行程での、サム・ギャムジーの姿のあまりの崇高さに、危うく涙が出るところだった。旅の終わりに近いある時点まで読み進んだとき、最後の最後で彼に課せられることになるであろう行為に思い至って戦慄した。もしこの想像通りに話が進むとしたら、これは何という残酷な物語だろう、と。
    結局、あるキャラクターの存在のおかげで、サムは僕の想像した行為に及ぶことなく、この物語は徹底的に残酷な話にはならずに済んだ。だがそういう結末を想像させたことがこの物語の凄いところでもある。自身はあくまでファンタジー物語の体裁を取りながら、しかし現実にはハッピーエンドには至りえない世界の姿を、読者の想像力を外部から起動して雄弁に語ったとも言えるからだ。
    普通の読解力と想像力を持った読者ならば、強烈な理解を強いられることになるだろう。指輪とは、かくも恐ろしく、滅ぼしがたいものであると。

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