アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (1977年) (ハヤカワ文庫―SF)

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制作 : 浅倉 久志 
  • 早川書房 (1977年3月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)

アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (1977年) (ハヤカワ文庫―SF)の感想・レビュー・書評

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  • ブレードランナー2049の上映に合わせて、30年近く本棚に眠っていた本書を再読。やっぱりいい。テーマはレプリカント(人造人間)と造反したレプリカントを追いつめ抹殺するバウンティハンター(映画ではブレードランナー)の間で生命と機械の間に移ろう境界であり、ロボットが今日ほど生活に身近になかった当時としては衝撃的なインパクトだったことを思い出した。レプリカントは人造人間であるが、人間の組織を忠実に模した有機体であり、感情も持ち合わせている。我々が感じているロボットと人間ほどの距離はない。然るに人間との判別には特殊な鑑定機を用いる必要があるほどで為政者もレプリカントが人間を駆逐することを恐れ、反乱を起こしたレプリカントには賞金を掛けて狩り出し、秩序を保つことにした。しかし、高性能になったローゼン協会(映画ではタイレル社)のNexus6型は知性に優れ、バウンティハンターに壮絶な闘いを挑んできた。主人公のデガードは、モノとして接し、処理してきたレプリカントの感情に触れ、境界が曖昧になることでバウンティハンターを続けられなくなる境地になる。現実社会においても人型ロボットの進化の先に人間ような情動を持ち、見た目にもわからなくなるようになれば、この問題は小さくない。

  • 再読。

    アンドロイドを狩る警察官の、波乱に満ちた一日を描くSF小説。アクションもさることながら、人間とアンドロイドとの差についての視点と、その展開が面白い。人間とアンドロイドとの唯一の違いは共感能力を持つか(他者に感情移入できるか)否かだ、というのがその主題であり、作中に登場する「マーサー教」という架空の宗教がその陰影をさらに深めている。
    「マーサー教」は受難者・マーサーをシンボルとする宗教であり、人々は共感ボックスを介してマーサーと一体化し、その苦しみや、共感ボックスで繋がった人々の喜怒哀楽を共有するというもの。しかし物語終盤、マーサー教はペテンであることがアンドロイドによって証明されてしまう。マーサーの姿は三流俳優の演技に過ぎず、聖なる光景は単なる書き割りだったことが人々に知らされる。だがそれでも人間たちはマーサーへの共感を止めず、むしろ場合によってはさらに一体感を深めていく。
    訳者あとがきで引かれている後藤将之「フィリップ・K・ディックの社会思想」を孫引きすると、ディックの作品において「コピーも現物も、親切であればすべて本物であ」り、「『人間』として登場する者も、『アンドロイド』として登場するものも、全て、『人間』であり、かつ『アンドロイド』でもありうる」。アンドロイドがあるときには人間であり得るように、おそらくはマーサーもまた、まがい物でありながら、人間が共感を示す限り真実であるということなのだろう。物語の最後で、主人公の妻が示すいたわりや、新しく家に迎えられた(まがい物のはずの)電気ヒキガエルも、また真実であり、だから物語を読み終えた読み手は、殺伐とした事件続きのあとながら、不思議な安らかさに包まれるのだと思う。

    本書は映画『ブレードランナー』の原作。間もなく(2017.10月下旬)、続編『ブレードランナー2049』が公開されるところ。物語の持つ、人間と真実を巡る主題がどのように表現されるか、映画を鑑賞して確かめたい。

  • SF小説をちゃんと読んだのって、記憶にある限り初めてかもしれない。
    気が付けばタイトルだけは知っていた有名な作品で、奥付を見ると初版は昭和52年。本国でははもっと前に書かれているわけだけど、今読んでも面白い。
    そこに驚いた。
    SFってほとんど知らないんだけど、多分、現代に書かれたものならもっとリアルで楽しめる作品てあるんじゃないかとは思う。
    でも、書かれて何十年たっても面白いのは、人間の本質がテーマの幹になっているからなんだろうな、と思う。

    と、思ったら、訳者あとがきに

    「人間とは何か?」という大きなテーマに取り組んだのがこの長編なのですが、

    という一文がありました。

    蛇足。
    人間とすぐには見分けがつかないアンドロイドがいる時代に、主人公が読んでいる書類がカーボン複写のタイプされたもので、文字がぼやけてしまっている、と言うのが、ちょっとご愛嬌だと思ってしまいました。

  • 一気にひき込まれたように読んだ本。
    アンドロイドと人間の違いは、「感情移入」できるかどうか、要は相手のことを思いやれるかどうか。誰にでも人間的な面、アンドロイド的な面があるのだろうか。

  • 20年くらい前に旧作映画(ブレードランナー)は観ていて、新作映画(ブレードランナー2049)の前に原作を読んでみました。小説を読み終えてから復習のために旧作映画を見直したので、小説と映画を比較しながら感想を書きます。

    主人公の内面描写
    小説では、本物の生き物への憧れや、アンドロイドへ感情移入への戸惑いなどが描かれ、主人公に共感しながら読むことができました。映画ではどちらかと言うとロイの心情の方にスポットが当たっていたように思います。

    湿度の違い
    映画では冒頭の屋台から、ロイとの決闘まで、雨のシーンが多いです。汗だくでウェットな印象。小説では明確な天候の描写は無かったように思いますが、死の灰が降り積続けているので、ドライな感じがします。

    生き物の存在
    どちらの世界も生き物が高値で取引されている事になっていますが、映画は湿度が高いこともあってゴキブリやネズミがたくさんいそうです。小説ではそういった虫よりも、アンドロイドの方が価値が無いとされています。主人公の本物の生物への強いこだわりが、キャラクターを引き立てています。

    J・R・イジドア
    小説では、アンドロイドを追い詰めるデッカードと対をなすように、アンドロイドに共感するキャラクターで、もう一人の主人公のように描かれています。もう少しデッカードと価値観の衝突があったら良かったのにと思いいました。映画では利用されて殺されるだけの役に。

  • 人間なのか、アンドロイドなのか。人間と見分けがつかないくらいのアンドロイドを作れる技術が開発された世界では、それは大きな問題となるだろう。
    そして、フィリップ・K・ディックは、「共感」という一つの答えを提示する。
    そうであるならば、これは、リックがアンドロイドから人間になるまでの物語でも有り得ると思う。
    生物に対しても、機械に対しても、共感し得る能力。
    元の問いが生物と機械を区別できないという見地に立っているのだから、当然そうなる。
    しかし実際のところ、人間であっても共感能力のない場合もある。だから、人間であるかアンドロイドであるか、というよりも、人間的であるかアンドロイド的であるか、に対する答えと言った方がより正確だろう。
    記憶の操作ができるのであれば、自分が何者であるかを正確に言い当てることは難しい。また、どこまで機械化されると人間ではなくなるのか、など。だからもっと根本に立ち返って、自分は人間的に生きているのか、という自問が必要だと、そういうことを言っているのだと思う。たとえ機械仕掛けの生物であったとして、生物に違いないのだ、と。

  • 浅倉久志の訳。古典SF。

    最終世界大戦後、生きた動物は希少で価値のあるものとされた。アンドロイド狩りのバウンティハンター(賞金稼ぎ)リックは、電気で動く模造品の羊、電気羊を飼っているが、模造品ではない本物の動物を飼いたがっていた。しかし本物の動物はどれも高価でリックには手が出ない。そんなとき、新型アンドロイドを狩る仕事が舞い込んできた。アンドロイド狩りの任務を遂行する中で、アンドロイドへの同情心や自分もまたアンドロイドなのではという疑惑が浮かんでくる。

    物語中盤、リックを出し抜こうとするアンドロイドたちとのやりとりには夢中になった。誰が人間で誰がアンドロイドなのか、ハラハラしながら先へ進んだ。複雑でやや難しい内容だったが、訳本が苦手な自分でも楽しめた。

  • 何度読んでも秀逸。
    新版は字体がイマイチ。雰囲気変わっちゃいます。

  • ディックの読みやすい名作   
    表紙   7点中西 信行
    展開   8点1968年著作
    文章   7点
    内容 744点
    合計 766点

  • SFの大作だと言うので、読んでみた。

    自分としてはマーサーの存在が今ひとつはっきりせずに、
    ひっかかりを残した。

    古い時代のSFのせいか、
    未来的要素もちゃちい気がした。

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