誘惑者 (1976年)

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著者 : 高橋たか子
  • 講談社 (1976年発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)

誘惑者 (1976年)の感想・レビュー・書評

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  • 無意識という無限の黒い波に脅かされ、生きていたくない女学生、鳥居哲代。死にたい友人、砂川宮子と2度の自殺未遂の経験のある友人、織田薫。この2人の友人に頼まれて哲代は別々に、京都から大島の三原山火口での自殺につきそう。何故哲代は2人の自殺のお膳立てをするのか。それは「死の構造」を知りたいという欲求。2人の自殺行を経験し、哲代は自分のわからなさ、不可解さ、どうしても釈明出来ないもの、何をしでかすかわからないもの、あらゆる制止を超えて何でも出来るというものが悪魔の領域だという事に思い当たる。途中に出てくる悪魔学の泰斗、鎌倉に住む松沢龍介はあの人がモデルの様です。

  • ・自分の内にある〈暗く重い波濤=死への親しみ〉を畏怖する鳥居哲代。砂川宮子や織田薫は死を検証するための道具立てでしかなかったのではないか。彼女の意識は常に内側を向いており、台詞は呟きが多い。
    ・自殺者二人は生への志向や実感も持っていた人物なので、人間らしさに共感できる。一方、鳥居は本来人が備えている防衛本能のようなものが欠如しており、快とも不快ともつかぬ不安に慣れ親しんできた。その結果、自分自身が火口となり同じ不安に引き寄せられた者を呑み込むのである。

    ・加賀乙彦と著者の対談が付録。加賀は他人の生き方を全面的に「肯定する」鳥居に「温かみ」を感じて涙が出たと語るが…それはない! しかし、鳥居を「あたしの文身」と言う著者もすごい。

    ・高橋の言う「夜の海」や三島やヘッセの言う「荒野」のような空虚な孤独は、すべての人の内に存在しているのだろうか? いずれにしろその感覚は知らない方が幸せ、という意味であまり精神衛生上良くない本である。

    ・鳥居は旧制の京都大学文学部生(心理学専攻)。文学部本館・分館や図書室が登場する。

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