詐欺師の楽園 (1968年)

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感想・レビュー・書評

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  • 某超人テニス漫画の登場人物の一人にこの本を好む者がいるそうで、その人物をこよなく愛する友人に紹介されて興味が湧きタイトルに惹かれて読みました。
    歪んだ環境下で少年時代を過ごした主人公の手記という一人称小説です。虚構の重なり、主人公の独特な皮肉めいた言い回しがとても面白かったです。愉快であると言えます。
    本物とはなんなのかについてと動いていく社会が並列で進んでいきます。ただ作者の生きた時代のドイツについて詳しくないともしかすると想像しづらいかもしれないですね。
    でも面白かった。一見嘘や虚構、詐欺は開くという認識を持ちやすいですがその中にある技術、そして真実とはではなにかを考えさせその行為たちの善悪とはを問うているようにも思います。もう一度読めばまた何か違ったものが見えるかもと次読むときが楽しみでたまらないですね。

  • 贋作がテーマの小説。ドイツらしくないと感じるほど軽やかでユーモラスな語り口ながら、作者の視線は本物/偽物をめぐるドタバタの馬鹿馬鹿しさを突き通して社会に向かっているようで、微笑んでいるけれど目は笑っていない感触。「ドイツ」「贋作」から、本作の発表前年にリューベックで起きた贋作スキャンダル(種村季弘『贋作者列伝』参照)を思い出したのだけれど、それを踏まえての本だったとしたらヒルデスハイマーの偽物に対する苦い気持ちが想像されないでもない。

    ところでこの本では贋作だけではなく張りぼてな人物も槍玉にあげられているのだけれど、彼らについてはなんだか気の毒なような気がしてしまった。それで困る人がいないんだったら、真実の追及なんて大きなお世話だと思う。人の人間関係を偽物認定するって、いささか不遜なんじゃないですかね。面白かったですけど。

  • 学生のころから現実と虚構を題材にしたお話が好きだったので、
    話の筋に驚かされたり、解説まで読み込んだりで楽しめました。

    嘘がホントで、ホントが嘘で……がまかり通ってしまう世間。
    世間のことつつくならやっぱりフィクションの出番なのかなーと思ったり。
    絶版本で古本価格高めですが、大きめの図書館にはあるみたいなので是非どうぞ。

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