- Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
感想・レビュー・書評
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大江健三郎に興味を持ち始めたのは、実は全盲のピアニスト・辻井さんが名誉ある賞を受賞なさった時のことです。
辻井さんのように、障碍を持ちながら、音楽の才能を開花させた息子さんがいるということで紹介されていたのです。
さらに、調べてみると大江氏は安部公房を愛読していたとのこと。ますます興味が深まり、ずっと気になっていたこの作品を手にとりました。
…読むまでのいきさつが長くなってしまったw
さてストーリーですが、主人公・鳥(と書いて、バードと読ませる渾名です)は第一子を儲けるのですが、その子の頭には大きな瘤のようなものがついており、医師は脳ヘルペスの疑いがあり、手術しても治るかどうか・・・もし治ったとしてもせいぜい植物のようにしかなれない、と彼に告げます。
鳥は、そこで選択―すなわち、赤ん坊が死ぬのを待つ・もしくは自ら見殺しにしてしまうか、その運命を背負って生きるか―に逼られることになります。以下、略w
全体的に暗いです。暗いの好きなんですけどね。
客観的に見て、鳥が情人を作ったのはどうしてもいただけないです・・・。妻の立場だったらね。
火見子は本当に印象的でした。
火見子はどうしてああなっちゃったんだろう。若干のヒントはあるんだけど・・・解釈しきれないです
最後の方、火見子は鳥をパートナーにしたかったのではないかと感じました。
鳥が決心をしたとき、止める火見子は彼の将来を案じてではなく、彼女自身の欲があったのではないかと思いました。
わたしたちの、を強調していたところに。
ラストは後味の良い感じでした。
大江氏の自伝ではありませんが、かなり彼の個人的な体験が生かされているというか、含まれているんじゃないかなと思います。
今後また違った作品を読んでみます。詳細をみるコメント0件をすべて表示