ウィタ・セクスアリス (1960年) (岩波文庫)

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感想・レビュー・書評

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  • 自伝的な体裁をとった小説。
    注意して読むと、 医学、心理学、哲学、文学など、当時最先端の知見をなんでも織り交ぜてあることに気づく。

    かつて幕府や明治政府は風紀紊乱を厳しく取り締まる傍らで、色街の存在を公認しており、いわば白黒のはっきりした時代であった。
    それが非公認とされるに及んで、猥雑なものが市井に無遠慮なかたちで溢れ出しているのが現代か。

    性的放縦を厭いつつ自らを律して学問に打ち込んできた主人公「金井」を描くことで、かえって健全なる性欲発達史ともいうべき模範が示されているような。
    このような真面目な内容だから、同時に、本書を閲して即発禁にした明治政府の浅慮っぷりも顕わとなろう。

  • 人生はせいよくのみではない、ということを暗示しているのである。

    当時の小説が、性欲的色調のものさえかけば、人生に触れているといったような面持ちをしているのが、正常な性欲から異常なものまでしってた鴎外からほ滑稽だった。
    (以上解説より)

    大学図書館913.6

    夜はいよいよ更けて、雨はいつのまにかやんでいた。樋の口から医師に落ちる
    点滴が、長居間をおいて、馨を打つような響きを刺せている。P98
    世間の人は性欲bの虎を放し飼いにして、どうかすると、その背に乗って、滅亡の谷におちる。自分は性欲の虎を馴らして押さえている。羅漢に跋陀羅というのがある。鳴らした虎をそばに寝かしてい置ている、同時がその虎を恐れている。Bhadaとは賢者の義である。あの虎は性欲の象徴かもしれない。ただ馴らしてあるだけで、虎のあそるべき威は衰えてはいないのである。



    ボクハどんな芸術品でも、自己弁護でないものはないように思う。それは人生が自己弁護であるからである。あらゆる生物の生活が自己弁護であるからである。木の葉に止まっているあまがえるは青くて、壁に止まっているのは土色をしている。Mimicry1は自己弁護である。文章の自己弁護であるのも、同じ道理である。
    P83

    Cynic という語はギリシャのkyon犬という語から出ている。犬学などという訳語があるからは、犬的といってもいいかもしれない。犬が汚いものげ花を突っ込みたがるごとく、犬的な人は何者をもきたなくしなくては気が済まない、そこで神聖なるものは認められないのである、人は神なるものを多く有してるだけ、弱点が多い、犬的な人にあってはかなわない。P38

  • 難しい・・・かった。

  • 主人公が自然主義の主張する「性生活=人生」という論理に疑問を感じ、自分の性生活を振り返るという態をとった小説です。

    舞台はもちろん森鴎外の生きた幕末~明治という時代なので、その当時の様子もうかがえて非常に面白かったです。

    「性」というものに焦点をあてているので、外で読むのに抵抗があるような内容かと思ったけれど、生生しい表現があるわけではなく、論理的で読みやすいものでした。
    基本的に主人公が自分の性欲の存在を疑うような人物なのだから、生々しいものになり得ないですね。

    森鴎外の主張は「性欲だけが人生のすべてではない」ということです。
    私ももちろんその主張に賛成です。

    人間は自分の子孫を残すという本能的欲望を持っているわけだけど、それを満たすだけに人生を費やすのでは野生の動物となんら変わらない、というかもったいないと思います。

  • 一応自伝的な作品と言うことなのでこのカテゴリーで。

    学生当時にストームの描写が気になって(笑)買ったわけですが、そのシーンなんかほとんどありませんでしたね。
    ただやっぱり、軟派だの硬派だの、学生寮で先輩に可愛がられるだの、学生が芸者に入れあげたりだとかの描写には時代を感じてそそられます。

  • ドイツ語わからないので(概念語ぽかったし)理解度は78%くらい。

  • 薄いから借りた
    セックスどげんよ、みたいな

  • 緑5-3

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著者プロフィール

森鷗外(1862~1922)
小説家、評論家、翻訳家、陸軍軍医。本名は森林太郎。明治中期から大正期にかけて活躍し、近代日本文学において、夏目漱石とともに双璧を成す。代表作は『舞姫』『雁』『阿部一族』など。『高瀬舟』は今も教科書で親しまれている後期の傑作で、そのテーマ性は現在に通じている。『最後の一句』『山椒大夫』も歴史に取材しながら、近代小説の相貌を持つ。

「2022年 『大活字本 高瀬舟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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