君主論 (1959年) (岩波文庫)

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制作 : 黒田 正利 
  • 岩波書店 (1959年発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (186ページ)

君主論 (1959年) (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 謀略の重視だとか実践的知だのとか、ずいぶんいろんなことを言われるマキャベリの代表作。どんな風にものを考えているのか見ていこうじゃないの。
    たぶんこのひとの一番の考えどころは、国家と君主を、人間の関係性に落とし込んで考えたところにあるんだと思う。人間関係をどのように構築し、維持するかという点にかけて、彼は考えているのだ。別にプラトンを否定するとかそういうのはあまり感じられない。彼にとって国家とは自明の事実であって、それを前提にして疑ってはいないのだ。プラトンと考えている次元が違う。
    やはり、政治戦略を人間関係として捉えたのは、非常に的を射ている。政治とは人間の利害の調整であるから、何が利益で何が損害か、時代や立場が異なれば簡単に変ってしまう。
    人間関係は状況によっていくらでも変わりうるから、同じ政策が効果が出る時とそうでない時がある。寛大であればそれだけでよいわけではなく、苛酷であってもそれだけではいけない。ひとに合わせてそれらを使い分けること、これが生き残るすべであると。彼の主張はだいたいここに集約される。そして、独立の維持のために外部の勢力に頼らない、この点も強調している。
    言われてみれば当たり前のようなことかもしれないが、当時、彼をしてこのようなことを書かせしめたのは、やはり彼の生きたイタリアという世界の置かれた現状がそうした主張を必要としたためであろうか。謀略と侵略の繰り返された当時のイタリアにおいて、いかに独立を保っていくか、どれほど大変な事であったか。
    さらに、この君主論でとりあげられた考えるべき点は、君主というものが、血筋や家柄に関係なく、すべての人間に可能性として開かれている点である。世襲でなくても、時機や偶然、運によって、家柄関係なくひき受けなければならないし、なってしまうこともある。そこに着目しているあたり、かなり画期的なのだと思う。フランス革命がこの300年以上後であることを考えると、大分時代の先取りをしている感じである。
    彼が国というものをどんな風に捉えていたのか、そこまではわからない。なぜここまでして彼は国の維持を説いたのか。時代の波に振り回されてもなお、困窮にあえいでまで、政治の世界に舞い戻ろうとしたのはなぜか。何がそこまで彼をかきたてたのか。この著作は彼の思想の断片しか示していない。他の著作からの引用もずいぶんある。彼の晩年の書簡からは、書かずにはおれない、熱意がもてあそばれている。
    歴史を顧みて、彼がのぞいたものは何だったのだろうか。現在からみれば、いくらでも歴史に対して説明はつけられる。うまくいったものそうでなかったもの、現在の人間について、過去の人間について。彼はそのことに気付かなかったのか。

  • 目次
    ロレンヅォ・マニフィコ・ディ・メディチに奉る書
    第一 国家の種類とその獲得の方法
    第二 世襲君主国について
    第三 混合君主国について
    第四 アレクサンドロス王に征服されたダレイオス王国が、アレクサンドロスの死後も、その後継者にそむかなかった理由
    第五 合併以前自治の下にあった市、または国はいかに統治すべきか
    第六 自己の武力または能力によって新らたに獲得した君主権について
    第七 他人の武力を借りて、または僥倖によって得た新主権について
    第八 非道によって主権を獲得した者について
    第九 市民的主権について
    第十 国力はいかにしてはかるべきか
    第十一 宗教的主権について
    第十二 軍隊の種類と傭兵について
    第十三 援兵と混成軍と国民軍について
    第十四 国民軍に対する主権者の義務
    第十五 世人に、とくに君主に褒貶の原因となるもの
    第十六 寛大と吝嗇とについて
    第十七 冷酷と仁慈、および恐れられることと慕われることの優劣
    第十八 君主の契約履行について
    第十九 侮辱と憎悪を避けること
    第二十 城塞その他君主がつねに頼みとするものについての利害
    第二十一 君主は尊厳を受けるためにいかに振舞うべきか
    第二十二 君主の側近に使う国務長官について
    第二十三 いかにして阿諛を避けるべきか
    第二十四 イタリアの君主が領土を失った原因
    第二十五 人事における運命の支配力とそれに対抗する道
    第二十六 よろしくイタリアを外蛮の手から回復せよ
    附録 フランチェスコ・ヴェットリに送った手紙

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