小公女 (1953年) (新潮文庫)

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著者 : バーネット
制作 : 伊藤 整 
  • 新潮社 (1953年発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (303ページ)

小公女 (1953年) (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 主人公は母親の顔を知らずに育った「セアラ」。

    金銭的にめぐまれ何不自由ない生活を送っていたセアラ。
    7歳になったとき、当時の風習にのっとり、母親の母国イギリスの寄宿学校に入学することになった。
    学校の経営者ミンチン先生により、セアラを特別待遇で迎え入れられ、周囲にうらやまれるほど贅沢な生活を送ることになる。

    しかし、唯一の肉親である父親、クルウ大尉の突然の死と事業の失敗を機に、サアラの生活は一変する。

    朝から晩まで下働きをさせられ、小さな子達の教育を担当する。
    十分な食事は与えられず、寝に帰る部屋は、これまた十分な生活の道具は備えられていない屋根裏部屋。
    どんなに悲しいことが起きても、「私が公女様だったら」と寒さ想像をし、耐え忍ぶ。

    そんなセアラを探していた父親の友人で事業の共同経営者により、
    どん底の生活から救い出されるのだ。



    逆境に耐え忍んでいた主人公が、最後に大逆転劇を演じる。
    しかも本当にお姫様のようになってしまうなんて、
    大人になってもあこがれる、展開です。

    いちおう寝る場所と、最低限の食事(時々仕置きとして食事なしにさせられることもあるが)は確保されていたので生きてはいける。
    でも今までいっしょに過ごしていた寄宿舎の生徒の前で、みじめな姿をさらさなければならないのは、
    心が強くなければ耐えられないだろう。
    「私が公女様だったら」と想像したところで屈辱に耐えられるだろうか。
    甘やかされて育てられたにしては、すばらしい心根の持ち主だ。
    たとえばマスコミをにぎわせている海外セレブなんて、すぐにダメになってしまうんじゃないかしら。

  •  厳格な寄宿舎付学校でよく学び、格別な待遇を獲得していたセアラお嬢様は、父の訃報が届いて株価急落、下働きの扱いに変えられ、薄汚い屋根裏部屋をあてがわれる――。

     検索エンジンで『小公女』をキーワードにかけたら、バーネットの作品をさしおいて、かつてのアニメの関連サイトがたくさん引っかかってきました。巨大なくりくりおめめをしたアニメのセーラちゃんも可愛いけれども、本を読んでイメージする彼女とはおおよそかけ離れた絵ですね。
     ああいう可愛らしい女の子だと思ってもらっちゃ困るのよ。彼女の面白さは、子ども離れした気ぐらいの高さ、小生意気さにあるのですから。

     自分が小さな王女さまのつもりでいるセアラさん。着ているものがぼろでもバリバリの敬語で受け応えし、「わたくしはあなたを許します」とでもいうように聖女のようにほほえみ、完璧なフランス語でミンチン女史のコンプレックスを刺激。ひそかに嫌味たっぷりなんじゃないか……? 捨て台詞のヴァリエーションも多彩。この子、本当に扱いづらいよ。

     憎たらしい上品さがユニークで、味つけをかえたらコメディーになりそうですが、優雅に正統派文学っぽい文体で書き抜かれています。

     確かにひとたび王女様モードに入ればセアラは無敵。けれど、彼女とて突然にこのような境遇に突き落とされて、ショックを受けているのです。彼女の王女様モードやあまたの空想は、前向きな現実逃避でした。頼る者のない少女は、みずからの窮地を本人の空想力で切り抜けるしかないのです。

     屋根裏部屋って何だか勝手にときめきを感じるのだけど、本には汚いとか寒いとかさんざん書かれています。そこで現実のわびしさを見ずに、セアラはここではない、もう一つの屋根裏部屋を心に築いて住まうのです。
     ある日汚い小部屋に魔法がかかり、空想が本物へと変わる展開は、「少女趣味かもなぁ…」と思いながらも夢見心地にさせられました。お金持ちの家もいいけれど、魔法の屋根裏部屋で暮らした数日間こそが、セアラにとって宝物のように輝く記憶となったのでは……?

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