白鯨〈上,下巻〉 (1952年) (新潮文庫〈第297,298〉)

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感想・レビュー・書評

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  • 寓話的で聖書からの引用や、当時の風俗が分からなければ理解できない描写も多く難解だった。
    エイハブがモビーディックに復讐を果たそうとする本筋のほかに、捕鯨船の事細かな描写や、鯨の生態の記述には、まるで学術書を読んでいるかのように感じてしまった。インターネットで検索をしても簡単に見つからない専門用語も非常に多くて読むのに苦労した。古臭い言葉使いと挿絵が全くないことで、より難解に感じてしまった。
    ラストの白鯨との闘いの描写は迫力がありよかった。白鯨は神の象徴で、エイハブは神に逆らう愚かな男のように感じた。
    語り手のイシュメールが生き残ったのは、白鯨(神)の凄まじさを伝える人間が必要だったからではないか。

  • 読了。

  •  上下巻あわせて1000ページ超なうえに、注釈を確認しながら読んだのでものすごく時間がかかりました。特に聖書からの引用が多かったので、聖書を読んでからのほうが楽しめたのになーと思いました。
     世界三大悲劇に数えられる作品ですが、語り部イシュメールの(時には可笑しな)哲学あり、小説の7割近くを占め多岐にわたる鯨学あり、戯曲のような凝りに凝った台詞あり、航海士や銛打ちたちの俗だが小気味の良い掛け声あり。そしてなにより世界のすべてを占めているようにも感じられる壮大な鯨と海の描写、そこから浮き彫りされてくる船長エイハブの狂気、空転、ちっぽけさ。ラストシーンは壮大な神話の終わりを想起させられます。
     個人的な解釈になりますが、本来、黒色である抹香鯨を白―日本では白い動物は神の使いとされ、海外でもおそらくそれに近い意味を持っている色―として、人間対鯨としている点も、運命的な結末を意図したもののように思えます。

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著者プロフィール

(1819年8月1日 - 1891年9月28日)ニューヨーク出身。著作は代表作『白鯨』の他、『代書人バートルビー』『ビリー・バッド』などがある。

「2015年 『白鯨 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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