「アフター6ジャンクション」の特集「映画「ガンヘッド」ブルーレイ発売記念!あの頃日本は、高嶋政宏に守られていた!その戦いを振り返って感謝を捧げる特集!」(ガイガン山崎、タカハシヒョウリ)を聞いて気になっていたが、
最終的に背中を押してくれたのは、「少女 歌劇 レヴュースタァライト脚本家の樋口達人のお勧めということで。
「ガンダム」のサンライズと、実写特撮の東宝が組む、という肝いりメディアミックス作品群の看板だったが、興行的には……。
確かに変なところは少なくない。
いつの間にか人が死んだり、いつの間にか戦いが始まっていたり。
むしろ80年代当時の視聴者の目が肥えていた(洋画やアニメの延長線上に、邦画でも越えられそうだという想像を描けていた)からこその、ギャップで今ひとつに感じられたのだろう。
が、三十数年経た今でも、古くない、というか当時の雰囲気込みで新鮮かつ郷愁、という時期なのではないか。
なかなか楽しめた。
・押井守「ケルベロス地獄の番犬」の超・超・豪華版。鉄への偏愛含め、本当はこんなのを作りたかったのでは。押井の意見を知りたい。
・当時の洋画受容とインスパイアについて。「ターミネーター」「ブレードランナー」「エスケープフロムL.A.」「エイリアン」など。
・それに係ると思うが、チャンポンというのとも違う、英語話者は英語で、日本語話者は日本語で話し、スムーズに会話できている、というていの演出。面白い。たまに「ナメンジャ・ナイヨ」「ユウキ・ヲ・ダシテ」とか。日本語も英語っぽくナチュラルに喋れと言われていたらしく、仄かな面白み。
・ライティングとスモークと。カラーマネージメントもいい。
・鉄っぽい巨大構造物もよい。ロボットだけでなく、「BLAME!」とか「ジャンク・ヘッド」とかのように舞台全体がとにかく鉄・鉄。少なくとも小規模な工場ロケ、とは感じられなかった。奥行きと広がりと巨大さを想像できた。「アーマード・コア」も連想。
・前後してしまうが、台詞回しの小粋さもよかった。半分滑っているような滑稽さ含め。ガンヘッドが最も人間臭い台詞を吐くのも、キュート。
・音楽はなんだか「ゼイラム」っぽいと感じたが、時代なんだろう。実は作曲者は伊丹十三組らしい。
・人物配置もコンパクトでよい。序盤はミッキー・カーチスはじめ7人もいるが、生き残ったのは1人で、そこで出会った女と行動を共にする、というのも割り切っていてよい。少年と少女(セヴンとイレヴン)はどうかと思うが。
・敵役たるバイオドロイド……デザインに飴屋法水が関わっている。いきなり見知った名前で驚いた。
・自分のための作品というほど引き付けた楽しみ方ではないが、総じて面白かった。