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- / ISBN・EAN: 4988105051713
感想・レビュー・書評
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妙なテンションの高さ、芝居じみたおおげさな演技。これがつかこうへい味なのだろうか。このくさい芝居にまず目を奪われます。だから最初観た感想はノリと元気の良い楽しくて熱い映画でした。
そして今回10数年振りに観、楽しさと暑苦しさはそのままでしたが、その裏っ側に隠された人間の意地や葛藤に心を奪われました。映画って味わい深いものですね。
わがままガキ大将の銀ちゃん。金魚の糞である大部屋の子分達を本音では邪魔臭く、そしてプレッシャーになっているくせに、親分の意地を張り、でもやっぱり押しつぶされる弱い男。
大部屋俳優ヤス。故郷の期待を背負いスターを夢見たけど夢は銀ちゃんに託し、今や大部屋俳優に甘んじ、いや大部屋俳優に己の生き様を賭けて生きています。
落ち目女優の小夏。最低だけど夢のある男を放っておけず、総てのわがままを許してしまういい女だけどダメな女。そんな自分を大事に、頼りにする人が現れ、その人達のためにも、女の意地に掛けて、しっかり生きようと決意します。
登場人物達がみんな、若くない、無防備に夢を見れない年齢っつうところがまた味噌なんです。味わい深いんです。
松竹の象徴”蒲田行進曲”を東映出身の深作監督が撮ったことに嫉妬した松竹出身の野村芳太郎が、万感の想いを胸に送り出したのが「キネマの天地」だそうで。ここにも映画人の意地がありますな。
とんねるずの憲武ヤスと石橋銀ちゃんのコント「銀ちゃん、かっこうぇい」、これも傑作でした。
〔080830鑑賞〕詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
古いのに新しい
滑稽なのに泣ける