日経サイエンス2017年1月号

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  • 日本経済新聞出版社 (2016年11月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・雑誌
  • / ISBN・EAN: 4910071150176

日経サイエンス2017年1月号の感想・レビュー・書評

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  • 今号の特集は「ブラックホールとワームホール」。
    理論物理の話は、とかく、直感的にわかりにくいものが多い。ブラックホールもその1つだし、量子もつれもそうだろう。
    こうした現象は数式を解いていった結果、予測されるものだが、はたしてそれが実際に起こっているのかは観測による裏付けを待たなければならない。
    一方で、数式を実際に解くことができるのは、高度な数学的・物理的知識を有する学者のみで、一般の人にはなかなか理解しがたい。そうしたときにしばしば使用されるのが、「例え話」である。シュレーディンガーの猫などは好例だろう。
    特集記事では、ブラックホール・ワームホール・量子もつれをロミオとジュリエットの例え話も使って解説する。
    ブラックホールは多くの人が名前は聞いたことがある概念だろう。重力が大きいため、すべてのものを閉じ込めてしまい、光すら逃さないため、真っ黒に見える天体である。性質上、直接には観測できないが、間接的な観測から、ブラックホールであると考えられる天体が存在している。
    「ワームホール」とは相対性理論から予言されているもので、時空の離れた2つの領域を結ぶ「近道」と見ることができる。もしも通過可能な構造であれば、理論的には瞬間移動も可能である(「ワープ」のようなもの)。ワーム(worm)とは虫で、ワームホールは虫食い穴、つまりリンゴの虫食いをイメージしていただけばよい。こちらは観測はされていないようだ。
    「量子もつれ(quantum entanglement)」とは、量子力学の理論から予測されているもので、2つの物体が物理的なつながりを欠いているようにみえるにもかかわらず、相関関係を示す状態を言う。実験によって確認されている性質である。
    本稿では、ブラックホール同士をつなぐワームホールと、ブラックホールが量子もつれ状態になっていることは等価ではないかと論じている。これが何を意味するかというと、量子力学と時空の理論を統合した「量子重力理論」を打ち立てられる可能性があるというのだ。量子と時空の関係について、より深い理解が可能になり、一般相対論と量子力学の統一が実現に向かう、のかもしれない。
    さて、例え話の方は。両家の不和から引き離されたロミオとジュリエット。2人は別々の銀河に送られる。しかし2人は実はとても賢かった。ワームホールでつながった2つのブラックホールを造ったのだ。一方はロミオの銀河に、もう一方はジュリエットの銀河に。そして2人はそれぞれのブラックホールに飛び込む。外から見れば2人は飛び込み自殺をして帰ってこないことになるが、内部では、再会を果たせた可能性がある。しかし、哀しいことにワームホールの構造は安定ではなく、束の間の幸せの後に、架け橋は崩れ、2人も命を失うと考えられる。愛と物理に殉じるわけである。

    もう1つの特集は、2号連続企画の「人新世を考える」(前号)。後半は加齢や人類自体の存続などを考える。シンギュラリティ(技術的特異点:人工知能が人を超える時点)と併せて、ヒトの脳をロボットにアップロードすることで「不死」が達成できると考える科学者もいるというが、その場合、「意識」はまた別物なのではないかという疑問もわく。

  • 特集「ブラックホール ワームホール」を目的に読んだ。量子もつれとワームホールが実は同じものなのではないかという説が興味深い。ワームホールは巨大で、量子もつれは極微の世界という印象を持っていたが、よくよく記事を読むと、確かに同じ現象に見えると納得した。

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