紀子の食卓 プレミアム・エディション [DVD]

監督 : 園子温 
出演 : 吹石一恵  つぐみ  吉高由里子  光石研 
  • ジェネオン エンタテインメント
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感想 : 100
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988102333638

感想・レビュー・書評

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  • 園子温のつくる映画のなかの宗教概念みたいなものがすき。崇拝するものや自分の信じる物、信仰は力だけど諸刃の剣で、自身がぐらつけばあっという間に壊れてしまう、そこがすき。

  • 2006年 日本 159分
    監督:園子温
    出演:吹石一恵/つぐみ/吉高由里子/光石研/安藤玉恵/三津谷葉子/手塚とおる/古屋兎丸

    地方で暮らす17歳の平凡な女子高生・紀子(吹石一恵)は、妹・ユカ(吉高由里子)、地元新聞の記者をしている父・ 徹三(光石研)、専業主婦の母・妙子の4人家族。日常に違和感を感じるようになった彼女は「廃墟ドットコム」という同年代の少女たちの集まるサイトの掲示板にはまり、そこではミツコと名乗っていた。ある停電の夜、突発的に家出をした紀子は東京に向かい、廃墟ドットコムの主のような「上野駅54」を頼る。現れた上野駅54はクミコ(つぐみ)と名乗り、紀子をレンタル家族ビジネスに巻き込んでいき…。

    どうやら『自殺サークル』の続編らしいけれど、そちらはまだ未見。複数の登場人物の視点で語られる群像劇的な構成で、そこは後の『愛のむきだし』にも通じる形式。どこへ転がっていくのか全く予測のつかないスリリングな展開で、長尺だけれど飽きず惹きこまれた。

    2006年なので、まだスマホがない。パソコンはせいぜい一家に一台の時代。キャストも当然若くて、吉高由里子の可愛いこと!廃墟ドットコムの住人の一人「結界ダム」さんを演じている安藤玉恵も女子高生役。そして、つぐみがやっぱり美しくて上手くて最高。今見ると二階堂ふみに似てるけど、二階堂ふみよりも鋭角的で硬質。

    さて、そのつぐみ演じるクミコというキャラクターが強烈。上野駅のコインロッカー54番に捨てられていたコインロッカーベイビーの彼女は、ロッカーの中に虚構の思い出を構築し、さらにレンタル家族ビジネスで虚構の家族を生きている。ミツコとなった紀子は、現実の家族の虚構性に耐えられず、ここではないどこか、自分ではない私を求めて、クミコに洗脳されるがまま、虚構の役割を演じる仕事に染まってゆく。

    紀子の失踪後、新宿駅で54人の女子高生が手を繋いで飛び込み自殺する事件が起きる。姉の行方を気にかけ、姉の足跡を辿るうちに、自らも姉と同じ違和感にむしばまれていくユカ。やがて彼女も姉と同じように家出し、やがて姉のもとに辿り着くが、二人はもはや姉妹ではなく、廃墟ドットコムのミツコとヨーコ。

    娘二人が失踪してしまい、残された両親は失意のどん底、ついに妻がナイフで自殺してしまい、父・徹三は、仕事をやめて東京へ娘たちの行方を調査に赴く。彼はクミコをみつけ、彼女の背後にあるレンタル家族ビジネスと自殺サークルの存在に気づくも、闇が深すぎて手を出せない。徹三と面会するクミコの手下役を漫画家の古屋兎丸が演じていたのだけど、新興宗教の勧誘(洗脳)みたいで良い感じに気持ち悪かったです。

    ついに徹三は、友人に協力を頼んで、レンタル家族サービスの依頼者として二人の娘と母親役にクミコを指名し、実家そっくりに改装した家に彼女らを呼び出すが…。崩壊した家族の破壊と再生。突拍子もない展開だけれど、奇妙な説得力があり、見応えがあった。

  • 家族との関係や自身の現状に違和感を感じていた女子高生・紀子(吹石一恵)は、あるサイトにのめり込み東京へ家出する。サイトの主宰者と出会った彼女はミツコと名乗り、レンタル家族の一員となる。そのころ起きた女子高生の集団自殺に紀子の手がかりを見出した妹も家出。その後母が自殺し、残された父親は(光石研)娘たちの消息を追う。

    紀子(吹石一恵)、ユカ(吉高由里子)、クミコ(つぐみ)、徹三(光石研)、とそれぞれの章ごとに視点が替わり、各キャラの背景や心情を繊細に描いていきます。どのキャラも共感出来る部分がありますし、目の離せない展開で159分の長尺もあっという間でした。
    出演者皆良かったが、特に光石研とつぐみの鬼気迫る演技が秀逸。本作が映画初主演の吉高由里子も抜群の存在感でした。

  • 別途

  • この世界は虚構(ニセモノ)の楽園

    しあわせな家族って、何?

  • 崩壊また崩壊

  • ちょっとシュール過ぎて、途中で飽きてしまった。。

  • 娘としての感情、どんなものか想像つかない中のふたりの表情にひきつけられる。

    最後に父に再会しても、呼び方おじさんのままなのが期待してた重さ。

  • 小説コインロッカーズベイビーと小劇場の芝居であった家族の役割を演じる家族サークルのエピソードが絡まり合って物語は進む。ネットの中での温かい関係は理解出来るが、現代を現すのにこんな複雑な関係を描かないと時代の空気は立ち昇ってこないのか。

  • 「自殺サークル」を見ていないのでその点はなんとも言えないが、テーマは面白いのに、作りが雑なところがあって少し残念な作品である。
    ただ、吉高由里子の演技が物凄く良いので、それだけでも見る価値があるかもしれない。

    家族という役割は、当たり前のようで、不自然かつ不確かなもので、一度それに気付いて壊すと強く演じることでしか作り直せないのかもしれない。家族もイメクラも一緒。

    不自然な役割に没頭するのは逃げで、関係性を超えた自分自身の存在自体に依拠して生きていき、その結果として、その場その場の役割に身を置いて行くのが強さなのではないか。
    家を出て、自分の人生を生きよう。

    残念なのは、東京の大学進学を反対されただけで、少し仲が悪いに過ぎない家族の光子がレンタル家族の演技にハマっていってしまった過程が欠如しており、嘘を感じる。
    また、時折自殺サークルとの関連を示すんだけど、これが雑。

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著者プロフィール

1961年愛知県生まれ。大学中退後に自主制作映画デビュー。『自転車吐息』(90年)はベルリン映画祭に正式招待される。代表作に『冷たい熱帯魚』など。テレ東系列で放映中のドラマ『みんな!エスパーだよ!』も監督。

「2013年 『ナショナリズムの誘惑』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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