- Amazon.co.jp ・映画
- / ISBN・EAN: 4571169961519
感想・レビュー・書評
-
カフカ、最期の未完長編小説『城』を、ミヒャエル・ハネケ監督が映画化。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
映画としての出来は良い。
ただただ、伝わらないということを伝えるのは、ハネケの得意とすることでは?
ただし、内容としては、官僚制の不可思議な部分をユーモアに描いたってだけの原作どおりであり、特別おもしろいものではない。 -
ムカつく(笑)。
すべてが癇に障るカフカの文体を忠実に再現してるので、そこは好感が持てます。日曜の夜にみてはいけません。それにしてもどうしてこんなにムカつくんだろうこの映画 -
ぉーう。 未完か。
ハネケ監督。ファニーゲーム見ました。
どちらも、うーん、と唸ってしまう。
「城」は読みかけだけど大まかに読んだことがある。
そのときのイメージのままだった。
服装が思ったよりも現代的だったけど、
寒い道を歩く様子、部屋の寂れ具合は、自分が頭に思い描いて読んだものにすごく近かった。
不条理さを読み説いてみるのならば、
主人公は、城の領土に入ることによって、ゲームに参加することを強いられた。
どんなゲームなのかは聞いてはいけない。ゲームのルールを了解していないのは(恐らく)新参者の自分だけであるのだから。
そのゲームに参加していくことで、主人公はルールを学ぶ。それは「対処の仕方」と言ってもいいかもしれない。そんな主人公と一緒で、領土内にいる人間は皆、実はゲームの参加時期が違うだけで、「対処の仕方」をどの程度知っているかくらいの違いしかない。でもルールを聞いてはいけないのだから、「このゲームをよく分かっている」態度を取らなくてはならない。
これってきっと、私たちが産み落とされた社会の状況と一緒なんだと思う。
だから、ゲームの首謀者はだれなのか(この場合統治している「城」と言うことになりますが)誰がこのゲーム(システム)を始めたのかなんてことは重要じゃない。然るべき対処を取ってうまくやっていくことだけが求められてる。
それでも、このお話に物理的に存在している「城」。ない核心に触れたくて触れたくてしょうがないけれどたどり着けない不条理さ。
未完で終わっているけれど、主人公はもがき苦しんでたどり着けない城を目指し続けるか、いずれ「城」の存在なんて気にならないものになって領土内に住みつきとけこんでいくかのどちらかなんじゃないか。
気になるのは、主人公は、なぜ仕事依頼のミスと割り切ってそこを立ち去らなかったか。
あと、上記に挙げた結末以外に、他にどんな結末が考えられるか。
カフカさんに限って、いきなり城の住人が現れて、今までの一切合財を説明してくれるなんてことは、ないんじゃないかな。 -
カフカは短篇しか読んだことないけど、その時感じた八方塞がりな迷路、砂や粉が舞う息苦しさ(本作は雪)、視覚的な暗さがそのまま見られる。終わりがいい。安心のできる整った終わりなどない。答えなんか与えられない。