河 [DVD] FRT-255

監督 : ジャン・ルノワール 
出演 : パトリシア・ウォルターズ/エイドリアン・コリ/ラーダ/トーマス・ブリーン/アーサー・シールズ 
  • ファーストトレーディング
3.83
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4560285902957

感想・レビュー・書評

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  • 柔らかい光を織り交ぜた明るく豊かな色彩と、異国情緒溢れるインドの風景や歳時記をとらえて丁寧に撮られた、映像美に満ちた作品。

    ストーリーは取り立てて大きな展開をするわけではないけど、インドに住む英国人少女ハリエットの視点で、初恋の淡さと愛おしさ、そして人生でぶつかる悲しみを、キリスト教にはないヒンドゥー教の死生観を交えながらうまく感傷的に表現していて、じんわりと胸に残ります。

    フランス人のジャン・ルノワール監督による、彼にとっては初めてのカラー映画。
    印象派を代表する画家ピエール=オーギュスト・ルノワールの次男で、父親譲りの色彩感覚を世間に認めさせた作品とされています。

    確かに、淡く柔らかい色の配置の仕方や光の織り込み方が、とても父ルノワールに近い気がします。
    1951年といえば、白黒映画が主流でカラー映画がまだまだ珍しかった時代なので、前例少なくこれだけ色彩に優れたのものを撮ったのは、やはり才能ですね。

    でも、ハリエットの友人ヴァレリーは、父ルノワールの描く柔らかな雰囲気の美女というよりは、イギリスの画家ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティの絵画からそのまま抜け出してきたような、硬質な印象の口元のハッキリした美女でした。
    そのおかげか、フランス人監督によるインド舞台の映画なのに、どことなくイギリス風味が入っていた気が勝手にします。

    映画を展開ではなく、色彩の美しい動く絵画として楽しめる方にオススメ。

  • “クリシュナとラーダ”に扮した幻想的な舞踊がさえていて、魅せる。

    一見すると、ルノワールらしさが隠れていると思われるかもしれないが、こうした造形美こそ彼の神髄ではないか、と感じられる。

    【ストーリー】
     英国人の製麻工場支配人の子沢山一家の長女ハリエットは14歳になった。18歳になる工場主の娘ヴァレリーと、隣家の米国人の退職者ジョン氏の現地女性との混血娘メラニーとは大の仲良しだった。ジョン氏の甥で、やはりジョンという名の若い退役軍人(従って当初は大尉と呼ばれている)がこの地を訪れてから、三人はそれぞれ初めての恋に胸ときめかせる。
     ハリエットは詩を愛する少女で人知れず日記にその想いを書きつけるだけだが、ヴァレリーは大胆に彼に接近する。メラニーはもっと深いところでこの感情を受け止め、インド人と白人社会の相克に悩む。
     合間に四季折々のベンガルの祭りが挿入され、少女たちの煌めきと妙なる唱和を成す。大戦の英雄、青年ジョンは実は戦闘で片足を失い義足の身だった。周囲の哀れみを逃れて、ここまで流れてきたのだが、ヴァレリーと遊ぶうち転んで、助け起こそうとする彼女にかんしゃくを起こし、再び塞ぎ込んでしまう。
     一方で、ハリエットの弟ボビーは蛇使いに夢中だった。菩提樹の根元にコブラを見つけ、結局はその毒牙にかかって死んでしまう。ショックでその晩床を抜け出したハリエットは河を舟で彷徨うが、漁師に連れ戻される。
     ジョンは少年の葬儀でやっと目覚めて、祖国へ帰った。そして春を迎え、ハリエットにもう一人妹ができたとき、ジョンから結婚を伝える便りが届き、三人の少女は感慨深げに河に眺め入るのだった。 
     印象派画家の第一人者、父オーギュストの絵画に匹敵する色彩に溢れた、J・ルノワールのこのインド随想には、三人の少女の恋の芽生えが一応の筋立てとしてある。しかし、それは表層で、主人公は題名の河--聖なるガンジスとそこを中心に営まれる人々の生活であり、そこに育まれた彼らの哲学と神話がある。ゴッデン女史の半自伝的小説に圧倒されたルノワールが彼女の脚本協力を得て取り上げた心洗われる、癒しの文明論に、ハリエットが語って聞かせる、“クリシュナとラーダ”になる村の恋人たちの逸話の幻想美が加わり、圧巻だ。

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