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- / ISBN・EAN: 4560285903206
感想・レビュー・書評
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1953年日本公開。私は監督にこだわりなく映画を観ます。しかし、ヴィトリオ・デ・シーカ監督作品は3本目です。過去に「自転車泥棒」「ひまわり」を観ています。この作品の感想としては他の方も書いていらっしゃるように、古いタイプのメロドラマ、言い換えると、よろめきドラマかなあ。10分くらいにまとまる話を90分に引き延ばした感じです。もったいぶった女と女々しい男。でも、素晴らしいと思ったのは映画の舞台をターミナル駅にしているところでしょうか。いろんな人間が行き来する、それぞれにいろんなドラマを抱えていそうな人間たち、そちらに興味をそそられます。それからモノクロの映像。登場人物たちは、どんな色の服を着ているのか駅の色目はどんなものなんだろうかと想像するのが楽しい。作品自体の感想とは少し外れましたが。
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5分で済む駅での別れを90分で描いた。
モンゴメリー・クリフトの顔が画面いっぱいに出ずっぱりなのはよかったが、筋的にはいまいちだった。役の性格はイマイチな男。「陽の当たる場所」のアリス的なところがある。
1953イタリア、アメリカ
2020.5.12アマゾンプライム無料 -
アメリカ人の人妻メアリーが、妹家族の暮らすローマを訪れ、そこで知り合ったイタリア人の青年教師ジョヴァンニと恋に落ちます。この2人を演じているのが、ジェニファー・ジョーンズと名優モンゴメリー・クリフトなんですねぇ。
メアリーは自分が夫と幼い娘を持つ身であるということに罪の意識を感じ、突然ローマを立って母国へ帰ろうとします。そのことを察知したジョヴァンニが駅へ駆けつけ、いまにも旅立とうとするメアリーをつかまえるところから映画は始まります。
その後約1時間30分にわたって、ローマ中央駅での切ない別れのシーンが延々と繰り広げられます。2人のロマンスの内容は、まったく描かれていません。これはまさに、映画史に残る男女の別れの苦悩を描いたメロドラマの傑作ですネッ。
そもそもこの映画は、ハリウッドのプロデューサーであるセルズニックが、名作『逢びき』に匹敵するものを創ろうとして、巨匠ヴィットリオ・デ・シーカ監督をわざわざイタリアから招いたんだそうです。では、どうしてセルズニックは、この映画を手掛けたのでしょう?そこには秘密がありました。
実はジェニファー・ジョーンズは、以前からセルズニックに結婚してほしいと言い寄っていたそうです。で、すでに妻帯者であったセルズニックも悪い気がせず、ジェニファーに参っちゃったみたいです。
いい気になったセルズニックは、ジェニファーのやりたい映画撮ってやると言い出し、するとジェニファーも、では『風と共に去りぬ』以上の映画撮ってほしいとおねだりして、そうして出来上ったのがこの『終着駅』だったそうですよ。ジェニファーも結婚はしていたのですが、女優魂がそうさせたのか、けっきょくセルズニックに乗り換えてしまったみたいですネ。この映画は、ジェニファー・ジョーンズの女優としての野心が、形になったものかもしれませんねぇ。
ちなみに『終着駅』という日本語は、この映画がきっかけで出来た言葉のようですよ。
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